調剤薬局・ヘルスケア・医薬品卸を手がけるメディカル一光グループは2025年1月31日、連結子会社の株式会社メディカル一光が高知第一薬品株式会社の発行済株式を取得して子会社化することについて協議を開始することを取締役会で決議し、同社の株主との間で基本合意書を締結したと公表しました。決定ではなく、協議の開始です。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社メディカル一光グループ(連結子会社の株式会社メディカル一光が取得)(3353・東証スタンダード) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 高知第一薬品株式会社(医薬品卸事業(沢井製薬の販売代理店)) |
| 所在地 | 高知県高知市 |
| 手法 | 株式譲渡(発行済株式を取得し子会社化することについて協議を開始。基本合意書を締結) |
| 対価 | 非公表(開示資料に「客観的な基準に基づき算定した合理的な価額での取得を予定」「対価予定合計額は開示基準に該当しない」と記載) |
| 日程 | 取締役会決議 2025年1月23日(公表 1月31日)/取締役会決議・契約締結 2025年3月下旬(予定)/株式譲渡実行 2025年4月1日(予定) |
開示資料によれば、取得株式は発行済株式総数の100%を想定しているものの、すべての株主との合意が得られているわけではないと明記されています。基本合意書の締結先は一部の株主(個人)で、契約条件により詳細は非開示としています。取得価額は客観的な基準に基づき算定した合理的な価額での取得を予定し、対価の予定合計額は開示基準に該当しないとしています(出典:株式会社メディカル一光グループ 2025年1月31日公表資料)。
対象会社は1979年8月設立、資本金10百万円、売上高は1,104百万円(2024年3月期)で、高知県高知市を拠点に医薬品卸事業を営んでいます(出典:株式会社メディカル一光グループ 2025年1月31日公表資料)。
取得の目的として同社は、対象会社が設立以来、沢井製薬の販売代理店として高知県に営業基盤を築いてきたこと、医療用医薬品は公定価格が基本で価格転嫁に限界があるなか、事業規模の拡大による効率化で環境の変化に対応するために基本合意に至ったことを挙げています。
中小企業の経営者は、どう読むか
この開示は「決まった」ではなく「協議を始めた」という段階のものです。しかも、すべての株主から合意を得ているわけではないと自ら書いています。株主が複数いる会社では、一部の株主と合意しても、残りの株主との話がつくまで取引は成立しません。
だからこそ、基本合意から実行までに数か月が置かれています。この期間に何をするかを決めておかないと、日程だけが延びます。売る側は、誰の同意が必要かを先に洗い出し、その人たちにいつ・誰が話すのかを決めておくことになります。
同じ買い手が同じ年のうちに、別の県で同じ型の案件を進めています。買い手には「この地域で、この製薬会社の代理店を」という具体的な探し方があるということです。自社がどの買い手の探索条件に当てはまるかは、業界の動きを見ていれば推測できます。
価格転嫁が難しい事業で、規模の拡大による効率化を理由に挙げている点も共通しています。自力で値上げできない構造の業種では、組むことが対処の一つとして選ばれています。