中本パックスとMICS化学は2023年10月17日、MICS化学を中本パックスの完全子会社とすることを目的とした一連の取引の一環として株式交換を行うことを決定し、同日に株式交換契約を締結したと公表しました。あわせて中本パックスによるMICS化学株式に対する公開買付けの開始も公表されています。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 中本パックス株式会社(7811・東証プライム市場(2023年10月20日よりスタンダード市場へ移行予定)) |
|---|---|
| 譲渡(売り手) | MICS化学株式会社の株主(筆頭株主は持株比率49.49%の法人。公開買付けに応募した株主から買い付け、残る株主には株式交換で買い手の株式を交付する) |
| 譲渡対象 | MICS化学株式会社(証券コード7899)(多層チューブフィルムの製造及び販売等) |
| 所在地 | 愛知県愛知郡東郷町 |
| 手法 | 公開買付け(TOB)と簡易株式交換の組み合わせ。先に公開買付けで株式を取得し、続いて買い手を株式交換完全親会社、対象会社を株式交換完全子会社とする株式交換で完全子会社化する。買い手側は会社法796条2項本文の簡易株式交換により株主総会の承認を受けずに行う |
| 対価 | 公開買付価格は1株につき350円、買付代金(予定)は1,847,139,350円。株式交換の割当比率は対象会社株式1株に対して買い手株式0.28株で、交付する株式数は747,471株(予定)(出典:中本パックス株式会社 2023年10月17日公表資料) |
| 日程 | 2023年10月17日 株式交換契約の締結/2023年10月18日 公開買付期間の開始/2023年11月15日 公開買付期間終了/2023年11月22日 決済の開始日/2023年12月27日(予定) 対象会社の臨時株主総会で株式交換契約を承認/2024年1月29日(予定) 最終売買日/2024年1月30日(予定) 上場廃止/2024年2月1日(予定) 株式交換の効力発生日 |
公開買付価格は1株につき350円です。買付予定数は5,277,541株、買付予定数の下限は2,608,000株で、上限は設定されていません。応募株券等の総数が下限に満たない場合は全部の買付けを行わないと記載されています。買付代金(予定)は1,847,139,350円です(出典:中本パックス株式会社 2023年10月17日公表資料)
株式交換の割当比率は、対象会社株式1株に対して買い手株式0.28株です。交付する株式数は買い手の普通株式747,471株(予定)です。買い手側は会社法796条2項本文の簡易株式交換の手続により株主総会の承認を受けずに行い、対象会社側は2023年12月27日開催予定の臨時株主総会で株式交換契約の承認を受けたうえで行う予定です(出典:中本パックス株式会社 2023年10月17日公表資料)
開示資料は、公開買付価格の提示の経緯として、2023年7月11日に買い手が350円とする意向表明書を提出したこと、これが2023年7月10日時点の対象会社株式の終値426円に対して17.84%のディスカウントであること、2023年7月26日までの直近12ヶ月間の終値単純平均値350円を参考とした価格であったことを記載しています(出典:中本パックス株式会社 2023年10月17日公表資料)
株式交換比率は交渉のなかで変わっています。開示資料は、2023年9月26日の第1回目提案書では対象会社株式1株に対して買い手株式0.26株、2023年10月2日には0.27株、最終的に0.28株となった経緯を記載しています。対象会社の特別委員会から再検討の要請を受けたことも記載されています(出典:中本パックス株式会社 2023年10月17日公表資料)
対象会社は1971年4月設立、所在地は愛知県愛知郡東郷町、資本金は100百万円、発行済株式数は5,850,000株、従業員数は96人(連結、2023年4月30日現在)で、多層チューブフィルムの製造及び販売等を行っています。筆頭株主の持株比率は49.49%です(出典:中本パックス株式会社 2023年10月17日公表資料)
日程は、公開買付期間が2023年10月18日から11月15日まで、決済の開始日が11月22日、対象会社の最終売買日が2024年1月29日(予定)、上場廃止日が2024年1月30日(予定)、株式交換の効力発生日が2024年2月1日(予定)です(出典:中本パックス株式会社 2023年10月17日公表資料)
出典: 中本パックス株式会社「MICS化学株式会社(証券コード7899)との株式交換契約締結(簡易株式交換)及びMICS化学株式会社に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」(2023年10月17日公表)
中小企業の経営者は、どう読むか
二段構えの取引です。先に公開買付けで株式を集め、残った株主には買い手の株式を渡して会社をまとめます。現金で出たい株主と、株を持ち続ける株主の両方に道を用意する形です。
受け取るものが違います。公開買付けに応募した株主は現金を、株式交換まで残った株主は買い手の株式を受け取ります。どちらを選ぶかで手元に入るものが変わります。
公開買付けの価格は、公表の直前の市場価格を下回る水準として示されています。市場価格より高い価格が付くとは限りません。開示資料には、どの期間の平均を参考にしたかまで書かれています。
交換の比率は交渉のなかで三度動いています。相手方に置かれた特別委員会からの要請を受けて見直された経緯が、開示に残っています。条件は提示された時点で固まるものではありません。
買い手側は株主総会を開かずに進められる手続きを使っています。会社の規模の差によって、必要な手続きが変わります。
公表から完了までおよそ三か月半です。株主総会と上場廃止の日程が入るため、株式を渡すだけの形より長くなります。
中小企業の譲渡では、株主が一人か数人なので、ここまでの手続きは要りません。逆に言えば、株主が多い会社を売るときは、手続きそのものが条件の一部になります。