ごみ処理施設やボイラを手がけるタクマは2024年10月28日、株式会社IHIから株式会社IHI汎用ボイラの全株式を取得し、子会社化することを決議したと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社タクマ(6013・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社IHI汎用ボイラ(中小型ボイラ・熱管理機器・省エネルギー機器・公害防止機器及び付帯設備の設計、製作、販売、施工、メンテナンスサービス) |
| 所在地 | 東京都中央区 |
| 手法 | 株式取得。株式会社IHIから発行済株式の100%を取得。取得の1年後に買い手の既存子会社と合併する予定 |
| 対価 | 非開示(相手先の意向により非開示。外部専門家によるデュー・デリジェンスの結果等を踏まえて相手先と協議を重ね決定したと記載) |
| 日程 | 取締役会決議・契約締結 2024年10月28日/株式譲渡実行 2025年4月1日(予定)。実行は独占禁止法第10条第2項に基づく届出にかかる公正取引委員会審査の結果が前提 |
対象会社は1978年10月16日設立、資本金400百万円で、公表時点では株式会社IHIが100%を保有していました。売上高は5,788百万円(2022年3月期)、5,973百万円(2023年3月期)、6,232百万円(2024年3月期)です。これ以外の経営成績及び財政状態は、相手先の意向により非開示とされています(出典:株式会社タクマ 2024年10月28日公表資料)。
取得株式数は800,000株で、取得後の議決権所有割合は100.0%となります。取得価額は相手先の意向により非開示とされ、外部専門家によるデュー・デリジェンスの結果等を踏まえて相手先と協議を重ねて決定し、公正妥当と考えられる金額で取得していると記載されています(出典:株式会社タクマ 2024年10月28日公表資料)。
取得の理由として買い手は、民生熱エネルギー事業を担う自社子会社が小型貫流ボイラや真空式温水発生機などの汎用ボイラの製造・販売・メンテナンスを行っており、国内の汎用ボイラ市場は成熟市場であるものの低・脱炭素化製品の市場は需要拡大が見込まれると説明しています。対象会社は全国に広がるメンテナンス網やデータを活用したサービスを持ち、その方向性が自社子会社の事業戦略に合致するとしています。
開示資料は、シナジーを最大化するため本件株式取得の1年後に自社子会社と対象会社が合併する予定であると記載しています。株式譲渡実行日は2025年4月1日を予定し、実行は独占禁止法第10条第2項に基づく届出にかかる公正取引委員会審査の結果において、実行を妨げる要因が存在しないことが前提とされています(出典:株式会社タクマ 2024年10月28日公表資料)。
中小企業の経営者は、どう読むか
売り手は個人のオーナーではなく、大企業です。グループの中で位置づけが変わった事業が、その事業を本業とする会社へ移る形です。買い手を探す相談は、後継者がいない会社からだけ来るわけではありません。
対象会社について開示されているのは売上高だけで、それ以外は相手先の意向により非開示とされています。誰が何をどこまで出すかは、売り手の意向で決まります。自社の数字がどこまで外に出るのかは、契約と開示の両方で取り決めます。
契約の締結から株式譲渡の実行まで、半年近くが置かれています。独占禁止法に基づく届出と審査が前提条件になっているためです。同じ製品の国内市場で相手と重なる場合、当事者の合意だけでは実行できません。相手が同業で規模が大きいほど、この確認が要ります。
買収の一年後に既存子会社と合併する予定が、取得の公表と同時に書かれています。買った会社をそのまま残すのか、いずれ一つにするのかを、買い手は先に決めています。譲渡を考えるなら、社名や組織がその後どうなる見込みなのかを聞いておくと、従業員への説明が変わります。
買い手が挙げている理由は、規模を得ることよりも、対象会社が持つ全国のメンテナンス網とサービスでした。売ったあとに残るものは製品ではなく、顧客との接点や保守の体制です。自社の強みがどこにあるのかを、設備ではなく関係で言えるかどうかが効きます。