Checklist

会社売却 準備チェックリスト

売却を検討し始めたら、まず確認したい20項目。1つでも気になる項目があれば、早めの準備が高値売却につながります。

会社売却は、思い立ってすぐに実行できるものではありません。買い手はデューデリジェンス(買収監査)を通じて会社の隅々まで確認するため、準備の不足はそのまま価格の減額や交渉の長期化につながります。裏を返せば、早くから点検を始めた会社ほど、高い評価と円滑な成約に近づけるということです。本ページでは、売却を検討し始めた経営者様にまず確認していただきたい20項目を、「株式・法務」「財務・税務」「事業・組織」「心構え・準備」の4つの分野に整理しました。印刷してのご利用にも対応していますので、社内の点検にお役立てください。

I

株式・法務

株式譲渡によるM&Aでは、株式と法的な権利関係の整理が出発点です。ここで挙げる項目の多くはデューデリジェンス(買収監査)で必ず確認されるため、先回りして点検しておく価値があります。

  • 株式の分散状況を把握している

    誰が何株を保有しているか、すぐに答えられるでしょうか。買い手は原則として全株式の取得を望むため、株式が親族や元役員に分散していると、集約の交渉に時間がかかります。名義株や所在不明の株主がいる場合は、早期の整理が欠かせません。

  • 定款・株主名簿・議事録が整備されている

    定款や株主名簿、株主総会議事録は、株式の権利関係を裏付ける基本書類です。実態と書類が食い違っていると、監査の段階で確認作業が膨らみ、成約が遅れる要因になります。日頃から最新の状態に保っておきましょう。

  • 事業に必要な許認可を確認している

    事業の継続に必要な許認可が何か、承継の方法によって引き継げるかを確認します。株式譲渡であれば会社ごと引き継げる許認可も、事業譲渡では買い手側での再取得が必要になる場合があり、スキームの選択に直結します。

  • 重要契約のCOC条項を確認している

    取引基本契約や賃貸借契約には、経営権の移動時に相手方の承諾や通知を求めるチェンジ・オブ・コントロール(COC)条項が含まれていることがあります。該当する契約を洗い出しておくことで、譲渡後の取引継続をめぐるリスクを事前に把握できます。

  • 係争・法令違反のリスクを点検している

    訴訟や重大なクレーム、行政指導の有無は、買い手が必ず確認する項目です。現時点で表面化していなくても、後から顕在化し得る論点があれば、早めに専門家へ相談して手当てしておくことが、評価の安定につながります。

II

財務・税務

価格の議論は決算書から始まります。数字の信頼性を高め、会社と経営者個人の関係を整理しておくことが、納得のいく評価への近道です。

  • 簿外債務がないか確認している

    保証債務や未計上の退職給付、リース債務など、貸借対照表に表れない債務は、後から見つかると価格の減額や交渉決裂の原因になります。心当たりを棚卸しし、あらかじめ開示できる状態にしておくことが、買い手との信頼関係につながります。

  • 役員貸付金・役員借入金を整理している

    会社と経営者個人の間の貸し借りは中小企業では珍しくありませんが、譲渡までに解消しておきたい代表的な論点です。放置すると価格調整や税務上の論点になり得るため、残高と経緯を把握し、解消への道筋を立てておきましょう。

  • 経営者保証の状況を把握している

    金融機関からの借入れに付した個人保証や担保提供の内容を一覧にしておきます。M&Aでは株式譲渡に伴う保証解除を交渉するのが実務の通例であり、対象を正確に把握していることがその前提になります。詳しくは「M&Aで経営者保証は外せるのか」をご覧ください。

  • 直近3期の決算を整理している

    価格の目安は直近の業績をもとに議論されます。直近3期分の決算書と勘定科目内訳明細を揃え、一時的な損益や役員関連費用を説明できるようにしておくと、会社の実態収益力を正しく評価してもらいやすくなります。

  • 会社の資産と個人の資産を分けている

    事業に使う不動産が経営者個人の名義になっている、会社の経費に私的な支出が混在している、といった状態は評価を曖昧にします。公私の区分を明確にしておくほど、買い手は安心して価値を判断できます。

III

事業・組織

同じ利益でも、事業の続けやすさによって評価は変わります。価格の考え方は「会社売却の相場はいくら?価格の決まり方と高く売るためのポイント」もあわせてご覧ください。

  • 経営者への依存度を下げる工夫をしている

    営業も技術も社長頼み、という会社は、経営者の引退とともに価値が失われると見なされがちです。権限移譲や情報共有を進め、「社長がいなくても回る仕組み」に近づけることが、のれん評価の安定に直結します。

  • キーマンとなる人材の定着を図っている

    技術者や営業責任者など、事業の要となる人材が譲渡後も残るかどうかは、買い手の大きな関心事です。処遇や働きがいに目を配り、急な離職のリスクを下げておきましょう。譲渡後の従業員の処遇は「会社売却で従業員はどうなる?」で解説しています。

  • 取引先の集中度を把握している

    売上の大半が特定の1社に依存している場合、その取引が失われるリスクは評価に織り込まれます。取引先ごとの売上構成比を把握し、可能な範囲で分散を進めておくと、評価は安定しやすくなります。

  • 業務のマニュアル化・見える化を進めている

    業務手順やノウハウが特定の個人に属したままだと、引き継ぎの負担が大きく見積もられます。主要業務のマニュアル化や手順の文書化は、地道ながら確実に承継のリスクを下げる準備です。

  • 労務管理を整備している

    雇用契約書や就業規則、勤怠記録の整備、社会保険の適正な加入状況は、買収監査で必ず確認されます。未整備のまま進めると減額の要因になりやすいため、早めに現状を点検しておきましょう。

IV

心構え・準備

最後は、経営者ご自身の準備です。書類の整備と同じくらい、考えの整理と情報管理が成否を分けます。

  • 希望条件に優先順位をつけている

    価格、従業員の雇用継続、社名の存続、ご自身の引継ぎ期間——すべてを満たす相手は多くありません。譲れない条件と譲歩できる条件をあらかじめ整理しておくと、相手選びと交渉の軸が定まります。

  • ご家族の理解を得ている

    会社売却は、経営者ご自身だけでなくご家族の人生にも関わる決断です。株式を保有するご親族がいる場合はなおさらで、検討の早い段階で率直に話し、理解を得ておくことが後の手続きを円滑にします。

  • 秘密保持を徹底できている

    検討中の情報が従業員や取引先に漏れると、動揺や取引条件の悪化を招き、M&Aそのものが頓挫しかねません。相談する相手を絞り、資料の管理に細心の注意を払うことが鉄則です。「M&Aと秘密保持」で情報管理の実務を解説しています。

  • スケジュール感を持っている

    M&Aは相手探しから成約まで、一般に6ヶ月〜1年程度かかります。決算期やご自身の年齢、業績の見通しから逆算し、「いつまでに何を決めるか」の目安を持って動き始めることをお勧めします。

  • 相談相手を決めている

    自己流で買い手を探すことは、情報漏えいや条件面での不利を招きがちです。秘密保持契約を結んだうえで、M&A仲介会社などの専門家に早めに相談し、選択肢を整理することが安全な第一歩です。選び方は「M&A仲介会社の選び方」をご参照ください。

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