イオンは2023年10月6日、株式会社いなげや(証券コード:8182、東証プライム上場)の普通株式を公開買付けにより取得することを決定したと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | イオン株式会社(8267・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡(売り手) | 株式会社いなげやの株主(東証プライム上場。公開買付けに応募した株主から買い付ける形) |
| 譲渡対象 | 株式会社いなげや(証券コード:8182)(スーパーマーケット) |
| 所在地 | 東京都 |
| 手法 | 公開買付け(TOB)。議決権の51%に相当する株式数を上限として取得し、持分法適用関連会社から連結子会社とする。上限を超える応募はあん分比例の方式で決済される |
| 対価 | 普通株式1株につき1,610円。買付代金は25,256,714,000円(買付予定数15,687,400株に本公開買付価格を乗じた金額)(出典:イオン株式会社 2023年10月6日公表資料) |
| 日程 | 2023年10月6日 公開買付けの開始を決定/2023年10月10日 公開買付届出書提出・買付け等の期間開始/2023年11月21日 買付け等の期間末日(30営業日)/2023年11月29日 決済の開始日 |
買付価格は普通株式1株につき1,610円です。買付予定数は15,687,400株で、下限はなく、上限は同じ15,687,400株です。買付代金は25,256,714,000円で、買付予定数に買付価格を乗じた金額と記載されています(出典:イオン株式会社 2023年10月6日公表資料)
買付予定数の上限は、基準株式数46,435,952株に100分の51を乗じて1単元未満を切り上げた23,682,400株から、買い手が既に所有する7,899,000株と、応募しない意向が確認されている96,000株を控除した株式数です。所有割合は33.78%にあたります(出典:イオン株式会社 2023年10月6日公表資料)
買い手は公表時点で対象会社株式7,899,000株(所有割合17.01%)を直接所有する筆頭株主であり、連結子会社を通じた間接所有分96,000株(0.21%)と合わせて7,995,000株(17.22%)を所有し、対象会社を持分法適用関連会社としていました(出典:イオン株式会社 2023年10月6日公表資料)
買付価格の決め方について、開示資料は、本合意書締結日である2023年4月25日を基準日とする過去12ヶ月間の終値単純平均値1,235円に対してプレミアムが30%超となる1,610円を提案したこと、提案日の前営業日である2023年9月22日の終値1,468円に対して9.67%のプレミアムを加えた価格であることを記載しています(出典:イオン株式会社 2023年10月6日公表資料)
買付け等の期間は2023年10月10日から2023年11月21日までの30営業日です。開示資料は、法令に定められた最短期間である20営業日より長く設定したこと、対象会社が他の買収提案者と接触することを制限する合意を行っていないことを記載しています。
応募株主は公開買付期間中いつでも契約を解除でき、解除した場合でも損害賠償や違約金を請求せず、株券等の返還に要する費用も買い手の負担とすると記載されています。
開示資料は、本公開買付けが経営統合の実現に向けた最初の段階であり、2023年4月25日に3社で基本合意書を締結していること、対象会社を買い手の連結子会社とした上で、連結子会社との経営統合に関する協議を2024年11月を目途として進めることを記載しています。経営統合を実行するか否か、その手法と条件は今後の協議によるとしています。
出典: イオン株式会社「株式会社いなげや株式(証券コード:8182)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」(2023年10月06日公表)
中小企業の経営者は、どう読むか
上場している会社の株を集めるときは、市場で買い回るのではなく、価格と期間を決めて全株主に同じ条件を示します。これが公開買付けです。
価格は「市場の値段より高い」が出発点になります。株主に売ってもらう取引なので、上乗せの幅そのものが交渉の中身になります。
非上場の中小企業では、上乗せの基準になる市場の値段がありません。だから評価の方法から話を始めます。ここが上場会社の取引といちばん違うところです。
買う側は上限を決めています。全部ではなく、必要な割合だけを買う形です。どこまで持てば思いどおりに決められるかという線を、先に引いています。
上限を超えて応募が集まると、決まった比率で按分されます。売りたい株主も、全部は売れないことがあります。
買い手は、相手が他の買い手と話すことを禁じていないと書いています。売り手の側に選ぶ余地を残したという説明です。中小企業の取引で独占交渉権を求められたときは、その裏返しとして何を失うかを考えます。
この開示は、より大きな統合の最初の一段だと書かれています。買収は一度で終わるとは限りません。
価格の妥当さを、外部の評価機関の算定書に照らして説明しています。株主が多い会社では、価格が公正であることを示す手続きそのものが必要になります。