未経験からM&A仲介を目指す方から、よくご質問をいただきます。本稿ではこの仕事が実際に何をするのか、どんな力が要るのか、入る前に準備できることは何かを率直に書きます。イメージとの差も含めてお伝えするので、判断の材料にしてください。当社の募集要項は採用情報をご覧ください。

何をする仕事なのか

一件のM&Aで、アドバイザーが担う工程はおおむね次のとおりです。

  • 譲渡を検討する経営者から相談を受け、状況を整理する
  • 簡易な企業価値の算定を行い、方針を設計する
  • 社名を伏せた資料と、詳細な企業概要書を作成する
  • 買い手候補を選び、秘密保持契約を結んで打診する
  • トップ面談を設定し、条件をすり合わせる
  • 意向表明・基本合意を経て、デューデリジェンスの進行を支える
  • 最終契約の論点を整理し、クロージングまで運ぶ

期間は数か月から1年程度。この全部を一人が担う会社もあれば、工程ごとに分業する会社もあります。どちらかで働き方はまったく違うので、選考で必ず確認してください。

各工程の中身は「アドバイザー実務のコラム」に整理しています。

イメージと違うところ

率直に書きます。華やかな仕事ではありません。

実際の時間の多くは、資料を読むこと、書類を整えること、連絡を取り次ぐこと、そして待つことに使われます。決算書を3期分並べて数字を追う。企業概要書の表現を何度も直す。買い手からの質問を売り手に渡し、回答を整理して返す。

そして、多くの案件は成約しません。途中で相手が見つからない、条件が折り合わない、オーナーの気が変わる。数か月動いて何も残らないことが普通にあります。

それでも続ける理由があるとすれば、会社が続き、雇用が守られた場面に立ち会えることだと思います。ここに意味を感じられるかどうかが、向き不向きの分かれ目です。

もうひとつ、相手の人生に関わる場面があるということも書いておきます。何十年も続けた会社を手放す決断、家族との折り合い、従業員への責任。こちらの都合で急がせてよい話ではありません。待つことも仕事のうちだと思えるかは、続けられるかに直結します。

どんな力が要るか

必要な力は、大きく4つに分けられます。

領域中身身につけ方
数字を読む決算書から実態を読む。企業価値の考え方書籍と実務。入る前にも始められる
聞く結論に持っていかず、事実と意向を分けて聞く実務。意識して訓練する必要がある
書く資料を、読む人の順番で構成する実務。添削を受けると早い
律する都合の悪いことを先に伝える。断る組織の運用に左右される

このうち「聞く」がいちばん難しいと考えています。営業経験がある方ほど、相手を動かす聞き方が身についていることがあり、この仕事では逆に働きます。判断するのは経営者であって、こちらではありません。

入る前に準備できること

入社前にできることは、思ったより多くあります。

  • 決算書を読む練習——損益計算書だけでなく、貸借対照表から読む習慣をつける
  • 企業価値の考え方を知る——時価純資産・年買法・EBITDA倍率・DCF法の違い
  • 工程を理解する——ソーシングからクロージングまで、何がどの順で起きるか
  • 中小M&Aガイドラインを読む——第3版(令和6年8月)。支援機関に何が求められているか
  • 業種の知識——建設、運送、介護、調剤など、後継者不在が深刻な業種の制度と動向

資格が必須というわけではありません。ただ、決算書が読めることは前提に近いと考えておいてください。当サイトのコラムは、経営者向け・実務者向けの双方を公開していますので、教材としてお使いいただけます。

もし時間が取れるなら、実際の中小企業の決算書を一組、通して読んでみてください。知り合いの会社でも、公開されている資料でも構いません。3期分を並べて、何が増えて何が減ったか、その理由を推測する。この練習をしたかどうかで、入社後の立ち上がりが変わります。

向いている人、そうでない人

断定はできませんが、傾向として言えることがあります。

向いていると感じるのは、他人の話を最後まで聞ける方、分からないことを分からないと言える方、長く一つのことを追える方、そして数字を根拠とセットで扱える方です。

苦労されやすいのは、短期で成果を確認したい方、相手を説得することに達成感を覚える方、曖昧な状態が長く続くことに耐えにくい方です。これらは能力の問題ではなく、仕事の性質との相性の問題です。

後継者不在率は50.1%(帝国データバンク2025年調査)で、この仕事の社会的な必要性は高まっています。ただし「社会的意義があるから続けられる」とは限りません。日々の中身が自分に合うかを、具体的に想像してみてください。

まとめ|中身を知ったうえで決める

要点を整理します。

  • 工程は相談から成約まで。一気通貫か分業かで働き方が変わる
  • 時間の多くは、読む・書く・整える・待つに使われる
  • 多くの案件は成約しない。それでも続ける理由が要る
  • 必要なのは、数字を読む・聞く・書く・律するの4つ
  • 入る前にできる準備は多い。まず決算書と工程の理解から

当社では、初回相談から成約まで一人のアドバイザーが一気通貫で担当します。募集要項・選考の流れは採用情報をご覧ください。選考で確認すべきことは「M&A仲介の選考で何を見られるか」に整理しています。

よくあるご質問

A.必須の国家資格はありません。ただし決算書が読めることは前提に近く、簿記などで基礎を固めておくと入ってからが楽になります。当社の必須要件は採用情報に記載していますのでご確認ください。
A.年齢そのものより、これまでの経験がどこで活きるかを説明できるかが重要です。金融機関、士業、法人営業、事業会社の管理部門など、活きる場面がある経験は幅広くあります。一方で、前職の型をそのまま持ち込むと合わない部分もあるため、切り替えられるかは問われます。
A.案件の期間が長いため、一件を通しで経験するだけで半年から1年かかります。複数の案件を経験して工程が身につくまでには、さらに時間が必要です。短期で成果を確認したい方には、待つ時間が長く感じられるかもしれません。

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仕事の中身から、お話しします。

イメージとの差も含めて率直にお伝えします。まずは採用情報をご覧ください。
お問い合わせはメール(info@platinumpartners.jp)でも承ります。

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Author & Supervisor

執筆・監修:株式会社プラチナパートナーズ 取締役副社長 神垣 宏康

東京都千代田区(日比谷)のM&A仲介・事業承継アドバイザリーファーム、株式会社プラチナパートナーズ取締役。成功報酬型のもと、中小企業の事業承継・会社売却を初回相談から成約まで一気通貫で支援しています。役員紹介・会社概要はこちら