M&A仲介の選考で何が見られるのかは、外からは分かりにくいと思います。本稿では、採用する側が実際に確かめようとしていることと、応募される方がこちらに聞くべきことを整理します。当社の募集要項・選考の流れは採用情報をご覧ください。
何を確かめようとしているのか
選考で見ているのは、成約させられるかどうかではありません。もちろん成果は重要ですが、それ以前に確かめたいことがあります。
この仕事は、経営者が人生で数回しか経験しない決断に立ち会います。相手は不安を抱えており、こちらの一言で判断が動きます。その重さを引き受けられるか——ここが出発点です。
具体的には、次のような点を見ています。
- 相手の話を、途中で結論に持っていかずに聞けるか
- 分からないことを、分からないと言えるか
- 都合の悪い情報を、先に伝えられるか
- 数字を、根拠とセットで扱えるか
- 一件を長期間、途切れさせずに追えるか
経験者に問われること
M&A仲介の経験がある方には、工程のどこを、どの深さで担ってきたかを伺います。
この業界では、ソーシングだけ、あるいは特定の工程だけを担当する形も多くあります。一気通貫で担当していたのか、分業だったのか。分業であれば、担当外の工程をどこまで理解しているか。
加えて、うまくいかなかった案件について聞きます。破談した案件、条件が下がった案件、受託すべきでなかった案件。何が起きて、どこで気づけたか、次にどう変えたか。
成約した案件の話だけをされる方より、失敗を構造として語れる方のほうが評価は高くなります。この仕事は、うまくいかないことのほうが多いからです。
もうひとつ伺うのが、断った案件の話です。受託を見送った経験があるか、そのときどう判断したか。断ることを覚えていない方は、案件を選べていない可能性があります。この仕事では、受けるべきでない案件を受けないことが依頼者への誠実さになります。
未経験者に問われること
未経験の方には、前職の経験がどこで活きるかを一緒に整理します。
| 前職 | 活きやすい場面 |
|---|---|
| 金融機関 | 決算書の読み方、金融機関との折衝、経営者との対話 |
| 士業・コンサル | 資料の構成、論点の整理、専門家との連携 |
| 法人営業 | 経営者との関係構築、長期の案件管理 |
| 事業会社の管理部門 | 経理・労務・契約の実務感覚、現場の理解 |
ただし、前職の型をそのまま持ち込むと合わない部分もあります。とくに営業出身の方は、「決めさせる」進め方が身についていることがあり、これはこの仕事では逆に働きます。判断するのは経営者であって、こちらではありません。
詳しくは「異業種からM&A仲介に転職するには」もご覧ください。
答えにくい質問への向き合い方
選考では、答えにくい質問もします。いくつか例を挙げます。
「成約しない期間が続いたら、どうしますか」——案件には波があり、成果が出ない時期は誰にでも来ます。精神論で答えるのではなく、原因を工程のどこにあるかで見られるかを聞いています。
「依頼者の希望と、自分の判断が食い違ったらどうしますか」——正解はありません。ただ、判断するのは依頼者だという前提を持っているかは見ています。
「前職を辞める理由は何ですか」——不満そのものは問題ではありません。それを構造として説明できるか、そして次の環境で同じことが起きないと考える根拠があるかを聞いています。
取り繕う必要はありません。むしろ、きれいに整えすぎた答えのほうが気になります。
応募される方が、こちらに聞くべきこと
選考は相互に確かめる場です。次の点は、遠慮なく聞いてください。
- 一気通貫で担当できるか——工程の一部だけを繰り返す形だと、経験の幅は広がりにくい
- 案件のソーシングを、個人がどこまで担うのか——会社の支援の有無で働き方は大きく変わります
- 同時に持つ案件数の目安——多すぎれば一件あたりの深さが落ちます
- 報酬の構成——固定給と成果連動の比率、算定基準、支給の時期
- 受託を断る判断が尊重されるか——断れない組織では、受けるべきでない案件を受け続けることになります
- コンプライアンスの運用——ガイドラインへの対応、利益相反の扱いが仕組みになっているか
当社の報酬条件は採用情報に記載しています。本稿では金額に触れません。条件は変わり得るため、採用ページを唯一の出典としているからです。
質問の仕方にも工夫の余地があります。「御社の強みは何ですか」より「直近で破談になった案件では何が起きましたか」のほうが、実態が見えます。良い話は誰でも話せますが、うまくいかなかった話への向き合い方には、その組織の性格が出ます。
まとめ|確かめ合う場として使う
要点を整理します。
- 選考で見ているのは成約力より、決断に立ち会う重さを引き受けられるか
- 経験者には、工程のどこをどの深さで担ったか、そして失敗の語り方
- 未経験者には、前職がどこで活きるか。営業の「決めさせる」型は要注意
- 答えにくい質問は、取り繕わないほうが伝わる
- 応募側も確かめる。とくに「断る判断が尊重されるか」
当社では、初回相談から成約まで一人のアドバイザーが一気通貫で担当します。仕事の中身は「アドバイザー実務のコラム」に工程ごとに整理していますので、応募前にご覧いただくと具体的なイメージが持てると思います。
よくあるご質問
Free Consultation
M&Aアドバイザーを募集しています。
仕事の中身と、当社が運用として定めていることをお伝えします。まずは採用情報をご覧ください。
お問い合わせはメール(info@platinumpartners.jp)でも承ります。