保育所は減っています。厚生労働省の公表統計によれば、保育所等は23,511施設で前年比215施設(0.9%)減。5年前の23,753からも減り続けています。

その一方で、定員19人以下の地域型保育事業所は7,448施設あり、定員に対する在所者の割合は91.5%。保育所等の84.9%を上回ります。本稿では小規模保育の位置を確認します。

本稿の数値は厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)によります。出典に記載のない比率は本稿で算出しました。制度・税務・法務の取り扱いはご状況により異なりますので、実際のご判断にあたっては顧問の専門家にもご確認ください。

地域型保育7,448事業所の内訳

厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)によれば、令和6年10月1日現在の内訳は次のとおりです。

事業の種類施設数定員在所者数
地域型保育事業所 計7,448120,390人110,181人
 小規模保育事業所A型5,28190,367人85,026人
 小規模保育事業所B型65710,538人9,495人
 小規模保育事業所C型81763人654人
 家庭的保育事業所7353,250人2,921人
 居宅訪問型保育事業所2479人202人
 事業所内保育事業所67015,393人11,883人

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)より作成

小規模保育A型が5,281施設で、地域型全体の70.9%を占めます(本稿で算出)。A型は保育従事者が全員保育士資格を持つ類型で、地域型保育の中心です。

定員と在所者から計算すると、地域型保育事業所全体の在所率は91.5%(小規模保育A型は94.1%)となります(いずれも本稿で算出)。同じ調査で保育所等の在所率は84.9%ですから、小規模のほうが埋まっていることになります。

保育所は減り続けている

対照的に、認可保育所の側は縮小しています。

年(各年10月1日現在)保育所等定員
令和2年(2020)23,7532,279,266人
令和3年(2021)23,8842,285,239人
令和4年(2022)23,8792,278,793人
令和5年(2023)23,7262,259,096人
令和6年(2024)23,5112,233,508人
5年間の増減△242(△1.0%)△45,758人(△2.0%)

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)より作成

施設数より定員の減り方のほうが大きい(1.0%減に対し2.0%減)。1施設あたりの定員が小さくなっていることを意味します。

令和6年10月1日現在の保育所等の内訳は、保育所型認定こども園1,756施設(定員196,598人)、保育所21,755施設(同2,028,505人)です。

なお同資料によれば、保育所等の保育士は353,943人、地域型保育事業所の保育従事者は36,083人(うち保育士資格保有者34,102人)です。

小規模だから起きること

地域型保育は、認可保育所とは制度の作りが違います。

  • 定員は6人以上19人以下。小さな物件でも開設できます。マンションの一室や空き店舗を使う例もあります
  • 対象は0〜2歳が基本。3歳以降は連携施設への移行が前提になります
  • 市町村の認可。地域型保育給付の対象で、市町村が認可します
  • A型・B型・C型で保育士の配置要件が違う。A型は全員が保育士です

この構造は、事業としての性質を決めます。1施設あたりの規模が小さいため、単独では譲渡の対象になりにくく、複数施設をまとめて運営する事業者が出てきます。

また、3歳以降の受け皿となる連携施設の確保が制度上の要件であり、ここが確保できているかは事業の安定に直結します。

承継のときに見られる点

評価の目は次のようなところに向きます。

  • 定員充足率。全国では地域型が91.5%、保育所等が84.9%。自施設がどの水準にあるか
  • 類型。A型・B型・C型のどれか。保育士の配置要件と報酬が変わります
  • 連携施設の確保。3歳以降の受け皿があるか
  • 保育士の確保と定着。配置基準を満たし続けられるか
  • 物件の権利。賃借が多く、譲渡に賃貸人の承諾が要るか
  • 市町村との関係。認可権者であり、市町村の子ども・子育て支援事業計画が新規認可の可否を左右します
  • 運営費の加算。処遇改善等加算の取得状況

少子化が進むなかで保育所の定員は減っていますが、0〜2歳に絞った小規模のほうが埋まっているというのが現在の数字です。ただしこれは全国の平均であり、地域ごとの需給はまったく異なります。商圏の状況は個別に確認が必要です。

認可保育所の動きは「保育業界の動向」に、実務は「保育園・認定こども園のM&A」に整理しています。

この数字の読み方。厚生労働省の社会福祉施設等調査は施設・事業所を単位に集計したものです。1つの法人が複数を運営していることがあるため、法人の数はこれより少なくなります。また調査日時点の値で、その後の開設・廃止は含みません。承継の検討では、事業所の数ではなく、1つの法人がどの指定をいくつ持っているかをご確認ください。

よくあるご質問

A.本稿で用いた統計は令和6年10月1日現在の施設数を示すもので、地域型保育事業所は7,448施設です。同調査で5年間の推移が公表されているのは保育所等であり、こちらは23,753から23,511へ減少しています。
A.統計は理由を示しません。事実として、定員と在所者数から計算すると地域型保育事業所は91.5%、保育所等の在所率は84.9%です。地域型は0〜2歳が対象で、この年齢帯の需要が相対的に高いことが背景にあると考えられます。
A.地域型保育は3歳以降の受け皿として連携施設の確保が制度上求められます。経過措置が設けられている場合もありますので、取り扱いは市町村にご確認ください。
A.規模の大小にかかわらずご相談は承ります。ただし1施設のみの場合、譲り受ける側の顔ぶれや進め方が変わることがありますので、状況を伺ったうえでご説明します。

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Author & Supervisor

執筆・監修:株式会社プラチナパートナーズ 取締役副社長 神垣 宏康

東京都千代田区(日比谷)のM&A仲介・事業承継アドバイザリーファーム、株式会社プラチナパートナーズ取締役副社長。中小企業の事業承継・会社売却を初回相談から成約まで一気通貫で支援しています。役員紹介・会社概要はこちら