障害のある方の住まいを担う共同生活援助(グループホーム)が増えています。厚生労働省の公表統計によれば、令和6年10月1日現在で14,241事業所、前年比890事業所(6.7%)の増加。利用者は185,349人、従事者は110,028人にのぼります。

障害福祉の全事業のなかで、従事者数は3番目の規模です。本稿では公表資料をもとに現在地を確認し、承継の観点で何が焦点になるかを整理します。

本稿の数値は厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)によります。制度・税務・法務の取り扱いはご状況により異なりますので、実際のご判断にあたっては顧問の専門家にもご確認ください。

従事者11万人、障害福祉で3番目の規模

厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)によれば、常勤換算の従事者数が多い事業は次のとおりです。

事業の種類常勤換算従事者数事業所数
居宅介護事業155,444人26,485
放課後等デイサービス事業130,073人22,643
共同生活援助事業110,028人14,241
就労継続支援(B型)事業101,309人17,973
生活介護事業92,169人10,404
児童発達支援事業80,327人14,855

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)より作成

事業所数では4番目ですが、従事者数では3番目です。1事業所あたりの人員が他のサービスより多いことを示しています。

事業所数は令和5年の13,351から14,241へ、890事業所(6.7%)の増加。利用実人員(令和6年9月末日現在)は185,349人で、前年の172,423人から12,926人(7.5%)増えています。事業所の伸びと利用者の伸びが、ほぼ同じペースです。

世話人56,472人という職種構成

この事業の性質は、職種の構成に表れています。

職種人数構成比
総数110,028人100.0%
 サービス管理責任者9,976人9.1%
 世話人56,472人51.3%
 生活支援員35,409人32.2%
 看護師329人0.3%
 その他7,842人7.1%

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)より作成

(構成比は本稿で算出したものです)

従事者の半分が世話人です。世話人は食事の提供、掃除、相談といった日常生活の支援を担います。夜間や休日を含めた生活の場を支える職種であり、事業の質はここに集約されます。

看護師は329人にとどまります。医療的な体制を前提としたサービスではない、ということが数字に表れています。

住まいを提供する事業という性質

グループホームが他の障害福祉サービスと決定的に違うのは、不動産を伴うという点です。

通所や訪問のサービスは、事業所の物件が変わっても利用者の生活は変わりません。ところがグループホームは利用者の住まいそのものです。物件を手放せば、そこに住んでいる方の生活が直接影響を受けます。

この点は承継の設計を大きく左右します。

  • 物件が自社所有であれば、不動産の評価が事業の評価と一体になります
  • 物件が賃借であれば、賃貸借契約の承継が前提条件になります。賃貸人の承諾が要る契約であれば、そこが交渉の入口です
  • 複数の住居を持つ事業者では、住居ごとに権利関係が違うことがあります

また、消防法・建築基準法上の用途の適合も確認の対象になります。戸建てを転用している住居では、ここが論点になることがあります。

もう一点、規模の作り方に特徴があります。グループホームは1住居あたりの定員が小さく、多くの事業者が複数の住居を運営する形を取ります。同じ「1事業所」でも、住居が1棟の事業者と5棟の事業者では、収入も手間もまったく違います。

この構造は、譲り受ける側にとって分かりやすい拡大の道筋になります。住居を1棟増やすには物件の確保と世話人の採用が要りますが、既に回っている事業者を引き継げば、その両方が一度に手に入ります。事業所数が6.7%伸び続けている背景には、こうした動きも含まれます。

承継のときに見られる点

評価の目は次のようなところに向きます。

  • 住居ごとの権利関係。所有か賃借か、契約期間、譲渡に承諾が要るか
  • 定員と入居率。空室は収入に直結します
  • サービス管理責任者の在籍。指定の要件です。経営者ご本人が兼ねている場合、退任の設計が必要になります
  • 世話人の確保と定着。従事者の半分を占める職種で、夜間帯を含む勤務が発生します
  • 夜間支援の体制。加算の要件に関わり、収入に直結します
  • 建物の用途と消防設備。適合状況の確認
  • 相談支援事業所との関係。入居者の紹介経路

伸びている分野ですが、伸びているのは箱ではなく人手の要る事業です。事業所を増やすには世話人を増やさなければならず、そこが制約になります。だからこそ、既に人が回っている事業所を引き継ぐという選択が取られます。

分野全体の動きは「障害福祉サービス業界の動向」に、認知症高齢者のグループホームは「認知症グループホームのM&A」に整理しています。

よくあるご質問

A.厚生労働省の統計では、令和5年の13,351事業所から令和6年の14,241事業所へ6.7%増えています。利用実人員も172,423人から185,349人へ7.5%増加しています。
A.別の制度です。共同生活援助は障害者総合支援法に基づく障害のある方向けのサービス、認知症対応型共同生活介護は介護保険法に基づく高齢者向けのサービスで、指定も報酬体系も異なります。
A.できる場合が多いものの、賃貸借契約に譲渡や転貸の制限があると賃貸人の承諾が必要になります。住居ごとに契約が異なることもあるため、全件の確認が出発点になります。
A.人員基準を満たせなくなると指定の要件に影響します。従事者の51.3%を世話人が占める事業であり、確保と定着が事業継続の前提になります。

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Author & Supervisor

執筆・監修:株式会社プラチナパートナーズ 取締役副社長 神垣 宏康

東京都千代田区(日比谷)のM&A仲介・事業承継アドバイザリーファーム、株式会社プラチナパートナーズ取締役副社長。中小企業の事業承継・会社売却を初回相談から成約まで一気通貫で支援しています。役員紹介・会社概要はこちら