障害福祉の事業所は増えています。前稿までに見たとおり、就労継続支援(B型)は7.5%増、放課後等デイサービスは7.2%増、グループホームは6.7%増。

ところが入所型の障害者支援施設だけは、5年連続で減っています。厚生労働省の公表統計によれば、令和6年10月1日現在で5,371施設。本稿ではこの逆行を確認します。

本稿の数値は厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)によります。出典に記載のない比率は本稿で算出しました。制度・税務・法務の取り扱いはご状況により異なりますので、実際のご判断にあたっては顧問の専門家にもご確認ください。

通所・訪問は増え、入所は減る

厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)によれば、障害者支援施設等の推移は次のとおりです。

年(各年10月1日現在)障害者支援施設等 計
令和2年(2020)5,556
令和3年(2021)5,530
令和4年(2022)5,498
令和5年(2023)5,457
令和6年(2024)5,371
5年間の増減△185(△3.3%)

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)より作成

令和6年は86施設(1.6%)の減少で、5年のなかで最も減り幅が大きい年でした。

内訳は次のとおりです。

施設の種類施設数定員在所者数
障害者支援施設2,551135,475人(入所分)145,488人(入所+通所)
地域活動支援センター2,69645,906人―(調査せず)
福祉ホーム1241,595人1,199人

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)より作成

同じ障害福祉でも、地域で暮らしながら使うサービス(共同生活援助14,241事業所、就労継続支援B型17,973事業所、生活介護10,404事業所)は増えています。入所型だけが逆方向に動いているのがこの分野の構図です。

在所率91.9%という高い水準

減っている一方で、埋まり方は高い水準にあります。

施設の種類定員在所者数在所率(令和6年)在所率(令和5年)
障害者支援施設等182,975人146,686人91.9%92.0%
老人福祉施設154,775人136,868人89.0%89.0%
有料老人ホーム712,728人591,173人87.1%84.0%
保育所等2,225,103人1,881,378人84.9%85.0%
(全施設 総数)3,506,823人2,971,644人86.5%85.8%

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)より作成

91.9%は、主な施設種別のなかで最も高い水準です。

施設が減っているのに埋まっている——これは需要が減ったから施設が減ったのではないことを示唆します。ただし統計は理由までは示しません。

制度としては、障害のある方の暮らしの場を施設から地域へ移す方向(地域移行)が長く進められてきました。グループホームが6.7%増えている一方で入所施設が減っているのは、その方向と整合する動きです。

従事者10万6千人の構成

同資料によれば、障害者支援施設等の常勤換算従事者数は105,976人です。

職種人数
総数105,976人
 生活指導・支援員等62,135人
 介護職員11,205人
 保健師・助産師・看護師5,720人
 事務員4,905人
 調理員4,574人
 サービス管理責任者4,018人
 施設長・管理者3,889人
 栄養士2,481人
 職業・作業指導員1,988人
 セラピスト1,058人
 医師・歯科医師283人

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)より作成

生活指導・支援員等が58.6%を占めます(本稿で算出)。24時間の生活を支える人手が事業の中心であることが、構成に表れています。

承継の難しさ

この分野の承継には、制度上の制約があります。

障害者支援施設の設置主体は社会福祉法人が中心です。社会福祉法人には株式がなく、株式譲渡という一般的な形は使えません。法人の合併や事業の譲渡、理事・評議員の交代といった方法になり、所轄庁の手続が関わります。

そのうえで、評価の目は次のようなところに向きます。

  • 法人が併営する事業の全体像。同じ法人が生活介護、就労継続支援、共同生活援助、相談支援などを併営していることが多くあります。施設単体では見られません
  • 定員と在所率。全国平均は91.9%です
  • 建物の築年数と修繕。入所施設は建物への依存が大きく、更新の負担が承継の判断に直結します
  • 職員の確保と年齢構成。従事者の58.6%を占める生活指導・支援員等の定着
  • 地域移行への対応。グループホーム等を併営しているか

当社にご相談いただく場合も、施設単位ではなく法人単位で全体像を確認するところから始めます。

グループホームは「障害者グループホーム業界の動向」、分野全体は「障害福祉サービス業界の動向」に整理しています。

よくあるご質問

A.厚生労働省の統計では、障害者支援施設等は令和2年の5,556施設から令和6年の5,371施設へ、5年間で185施設(3.3%)減っています。令和6年は86施設減で、5年のなかで最も減り幅が大きい年でした。
A.統計は理由を示しません。事実として在所率は91.9%と主な施設種別のなかで最も高い水準です。制度としては入所から地域生活への移行が進められており、グループホームが6.7%増えていることと合わせて読む必要があります。
A.設置主体は社会福祉法人が中心で、社会福祉法人には株式がありません。株式譲渡という形は取れず、法人の合併や事業の譲渡によることになり、所轄庁の手続が関わります。顧問の専門家にもご確認ください。
A.同じ法人が複数の障害福祉サービスを併営していることが多く、職員や建物を共用している場合は切り分けが難しくなります。法人単位で全体像を確認することをお勧めします。

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公表統計で分かるのは業界の輪郭までです。貴施設の定員・在所率・人員配置が承継の場面でどう見られるかは、決算書と体制を拝見してからお話しします。相談料・着手金・月額報酬はいただいておりません。基本合意時の中間金と成功報酬については料金体系をご覧ください。
メール(info@platinumpartners.jp)でも承ります。

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Author & Supervisor

執筆・監修:株式会社プラチナパートナーズ 取締役副社長 神垣 宏康

東京都千代田区(日比谷)のM&A仲介・事業承継アドバイザリーファーム、株式会社プラチナパートナーズ取締役副社長。中小企業の事業承継・会社売却を初回相談から成約まで一気通貫で支援しています。役員紹介・会社概要はこちら