介護サービスの事業所数が全体として増えるなかで、通所リハビリテーション(デイケア)は5年続けて減っています。厚生労働省の公表統計で確認できる、はっきりした傾向です。
本稿では公表資料をもとに減少のペースを確認し、この分野の承継が通所介護(デイサービス)とどう違うのかを整理します。
本稿の数値は厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」(令和7年12月19日公表・令和6年10月1日現在)によります。制度・税務・法務の取り扱いはご状況により異なりますので、実際のご判断にあたっては顧問の専門家にもご確認ください。
8,349から8,030へ、5年続けて減っている
厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」(令和7年12月19日公表・令和6年10月1日現在)によれば、令和6年10月1日現在の通所リハビリテーションは8,030事業所で、前年より94事業所(1.2%)減少しています。介護予防通所リハビリテーションも7,978事業所で、前年より87事業所(1.1%)の減少でした。
| 年(各年10月1日現在) | 通所リハビリテーション | 介護予防通所リハ | 通所介護(参考) |
|---|---|---|---|
| 令和2年(2020) | 8,349 | 8,274 | 24,087 |
| 令和3年(2021) | 8,308 | 8,225 | 24,428 |
| 令和4年(2022) | 8,234 | 8,148 | 24,569 |
| 令和5年(2023) | 8,124 | 8,065 | 24,577 |
| 令和6年(2024) | 8,030 | 7,978 | 24,585 |
出典:厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」(令和7年12月19日公表・令和6年10月1日現在)より作成
減り方は急ではありませんが、5年間ひとつも増えた年がありません。同じ通いのサービスでも、通所介護は24,087から24,585へとわずかに増えており、方向が逆です。
なお地域密着型通所介護は19,667から18,921へ、認知症対応型通所介護は3,868から3,370へと、いずれも減少しています。通いのサービス全体が縮んでいるわけではなく、サービスの種類ごとに動きが分かれています。
担い手の79.2%が医療法人
ここがこの分野の構造を決めています。同資料によれば、通所リハビリテーションの開設(経営)主体は医療法人が79.2%、社会福祉法人8.5%、地方公共団体2.5%、社団・財団法人2.5%で、営利法人(会社)は0.0%です。
| サービス | 医療法人 | 営利法人(会社) | 社会福祉法人 |
|---|---|---|---|
| 通所リハビリテーション | 79.2% | 0.0% | 8.5% |
| 通所介護 | 7.2% | 55.0% | 34.0% |
| 地域密着型通所介護 | 3.5% | 76.6% | 12.1% |
| 訪問看護ステーション | 18.2% | 66.8% | 4.5% |
出典:厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」(令和7年12月19日公表・令和6年10月1日現在)より作成
通所リハビリテーションは、制度上、病院・診療所または介護老人保健施設でなければ提供できません。同資料の内訳でも、介護老人保健施設が経営するものが74.7%、医療施設が82.6%(※それぞれの区分内での比率)となっています。株式会社が単独で参入できる事業ではない、というのが実態です。
この違いは承継に直結します。通所介護であれば株式会社の株式譲渡で経営権が移りますが、通所リハビリテーションは医療法人や介護老人保健施設そのものの承継という話になります。医療法人は持分の定めがある法人とない法人で手順が変わり、都道府県の認可も関わります。
減少の背景として統計から言えること
公表統計は事業所数を示すだけで、減少の理由までは示しません。推測は避け、統計から言えることに限って整理します。
母体である介護老人保健施設が減っています。同資料によれば、令和2年の4,304施設から令和6年の4,214施設へ、5年間で90施設の減少です。通所リハビリテーションの多くが老健を母体としている以上、母体の減少はそのまま事業所数に効きます。
同じ期間に介護医療院は536施設から917施設へと1.7倍に増えました。令和6年3月に介護療養型医療施設が廃止されたことに伴う移行を含みます。医療系の介護資源が、通いから入所へ移っている面があることは、数字からは読み取れます。
ただし、これは全国の総数から言えることであって、個々の地域や法人の事情を示すものではありません。ご検討の地域でどうかは、個別に確認する必要があります。
承継を考えるときに見られる点
定員と建物で売上の上限が決まる事業なので、評価の目は稼働と、リハビリ専門職の配置に向きます。同資料によれば、通所リハビリテーションの従事者には理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が含まれ、介護老人保健施設全体では理学療法士15,035人、作業療法士9,313人、言語聴覚士2,892人が従事しています。
有資格者の配置は加算の要件に関わるため、職員の資格構成はそのまま収益の構造に効きます。譲渡・承継を検討される場合は、人員名簿と資格の内訳、加算の取得状況を早い段階で整理しておくと、相手方の検討が速く進みます。
通所介護の側の実務は「デイサービス(通所介護)のM&A」に、分野全体の報酬改定と人材の論点は「介護業界の動向」に整理しています。