株式会社マネーフォワードが100%を出資する子会社は2024年11月13日、東京証券取引所グロース市場に上場する株式会社アウトルックコンサルティングを連結子会社とすることを目的として公開買付けを実施することを決議し、あわせて対象会社との間で資本業務提携契約を締結したと公表しました。公表時点で買い手グループは対象会社株式を所有していません。
開示された事実
| 譲受(買い手) | マネーフォワードクラウド経営管理コンサルティング株式会社(株式会社マネーフォワードが100%出資)(3994・東証プライム(親会社のマネーフォワード)) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社アウトルックコンサルティング(東証グロース)(経営管理・連結会計システムの提供) |
| 所在地 | 東京都 |
| 手法 | 公開買付け(TOB)。連結子会社化を目的とし、上場は維持する方針のため買付予定数に上限を設定。あわせて資本業務提携契約を締結 |
| 対価 | 1株1,656円。買付予定数の下限1,834,800株(所有割合50.10%)、上限2,197,400株(所有割合60.00%) |
| 日程 | 取締役会決議・資本業務提携契約締結 2024年11月13日/公開買付届出書提出 2024年11月14日/買付け等の期間 2024年11月14日〜12月11日(20営業日。対象会社の請求があれば30営業日・12月25日まで) |
買付価格は1株1,656円です。開示資料には、2024年9月25日の終値1,000円に対して65.60%のプレミアム、9月26日の終値1,002円に対して65.27%のプレミアムにあたるとの記載があります(出典:マネーフォワードクラウド経営管理コンサルティング株式会社 2024年11月13日公表資料)。
買付予定数の下限は1,834,800株(所有割合50.10%)で、少数株主からの応募を含めて総議決権の過半数を所有することを目的としています。一方で上限も設定されており、2,197,400株(所有割合60.00%)です(出典:マネーフォワードクラウド経営管理コンサルティング株式会社 2024年11月13日公表資料)。開示資料は、本公開買付けは対象会社株式の上場廃止を企図するものではなく、成立した場合も引き続き東京証券取引所グロース市場への上場を維持する方針であることを理由として挙げています。
対象会社の筆頭株主は投資事業有限責任組合で、所有株式数1,707,200株、所有割合46.62%です。この株主は保有する対象会社株式の全てについて応募することを合意しており、買付代金以外にこの株主へ付与される利益はないと記載されています(出典:マネーフォワードクラウド経営管理コンサルティング株式会社 2024年11月13日公表資料)。成立後の流通株式比率が25%を下回ると合理的に算出される場合、この株主は下回る割合に相当する株式数を売却するよう商業上合理的な範囲で努力する義務を負うとしています。
買付け等の期間は2024年11月14日から12月11日までの20営業日で、対象会社から延長を請求する旨の記載がされた意見表明報告書が提出された場合は30営業日・12月25日までとなります。開示資料は、対象会社の自主性を維持することが役員・従業員のモチベーションの維持につながり企業価値を高めるとして、現在の経営陣及び従業員に引き続き事業運営の中核として尽力してもらいたいとしています(出典:マネーフォワードクラウド経営管理コンサルティング株式会社 2024年11月13日公表資料)。
中小企業の経営者は、どう読むか
この公開買付けには上限があります。全部を買わないと決めているということです。理由は上場を続けるためです。会社を渡す形は、全部を渡して自分は抜けるか、過半を渡して一緒に続けるかを選べます。上場企業でもこの選択をしています。
売り手の筆頭株主はファンドで、持っていた株式の全部を応募しています。ファンドは一定の期間で株式を手放す前提で投資しているので、いずれ次の株主を探します。ファンドに譲渡した会社が、その後どこへ行くのかという問いへの実例です。
買い手の側は、対象会社の自主性を維持すると明記しています。経営陣と従業員に引き続き中核として関わってほしいという書き方です。買い手が経営を全部入れ替えるつもりなのか、任せるつもりなのかは、譲渡先を選ぶときの判断材料になります。
資本業務提携契約では、売上や営業利益に一定以上の変更を生じさせる決定について、事前に協議する取り決めが置かれています。過半を渡すと、日々の判断にも相手の同意が必要になる項目が出てきます。何を自分で決められて、何を相談するのかを、契約の段階で確かめておく話です。
公開買付けの期間は法令の最短の二十営業日ですが、対象会社が請求すれば三十営業日に延びる仕組みが説明されています。売り手側の株主が考える時間を確保するための制度です。中小企業の譲渡にこの制度はありませんが、考える時間を自分で確保するという発想は同じです。