地方創生・DX事業を手がけるチェンジホールディングスは2024年12月17日、株式会社fundbookを完全子会社化することについて、投資家向けの補足説明資料を公表しました。開示資料は英文の参考訳を含む形で公表されています。
開示された事実
| 譲受(買い手) | チェンジホールディングス株式会社(3962・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社fundbook(M&A仲介) |
| 所在地 | 日本 |
| 手法 | 株式取得(完全子会社化) |
| 対価 | 155億円。三井住友銀行との特別当座借越契約による借入で調達し、短期借入として一部を返済したうえで長期借入へ借り換える予定 |
| 日程 | 公表 2024年12月17日(本記事は同日公表の補足説明資料に基づく) |
完全子会社化に必要な取得価額は155億円(開示資料の英文表記では15.5 billion yen)で、三井住友銀行との特別当座借越契約による借入で調達するとしています。これは短期借入で、一部を返済したうえで長期借入へ借り換える予定と記載されています(出典:チェンジホールディングス株式会社 2024年12月17日公表資料)。財務規律として、純有利子負債を自己資本の50%以内に、のれんと投資有価証券等のリスク資産を自己資本以内に収めることを挙げています。
開示資料は、本件の主要なリスクを2つ挙げています。のれんの減損リスクと、M&A仲介業界の規制強化です(出典:チェンジホールディングス株式会社 2024年12月17日公表資料)。
前者については、外部専門家を用いて事業・財務・法務のデューデリジェンスを慎重に実施し、従業員の退職率と成約率にストレスをかけたシナリオを作成して評価を算定したとしています。投資諮問委員会を3回、取締役会を4回開催し、戦略的意義・事業計画・シナジーの評価・PMIなどを議論したうえで承認したと記載されています。
後者については、日本ではM&A仲介業者に免許制度はないものの、中小企業庁が2020年3月に中小M&Aガイドラインを策定しており遵守が重要であるとし、同ガイドラインは2024年8月に第3版へ改訂されて仲介業者はこれに従うことが求められると述べています。そのうえで、法務・事業のデューデリジェンスを通じて対象会社のガイドライン遵守状況を確認し、遵守に問題がないことを確認したとしています(出典:チェンジホールディングス株式会社 2024年12月17日公表資料)。
中小企業の経営者は、どう読むか
M&A仲介の会社が、上場企業に引き継がれた案件です。仲介を頼む側から見ると、頼んだ相手の株主がいつか変わることもあるということです。担当者や社内の体制が変わる可能性があるため、契約の相手は会社であって担当者ではない、という前提で書面を読んでおく価値があります。
買い手が挙げたリスクの一つが、業界の規制強化です。開示資料は、M&A仲介に免許制度はないが、中小企業庁の中小M&Aガイドラインの遵守が求められると書いています。仲介会社を選ぶ立場からすると、ここが確かめるべき点だということが、買い手側の資料からも読めます。
しかも買い手は、調査の中で相手のガイドライン遵守の状況を確認したと書いています。会社を買う側は、その会社が守るべき決まりを守れているかを見ます。これは業種を問いません。自社に守るべき決まりがあるなら、守っている記録が資料になります。
評価は、従業員の退職率と成約率にストレスをかけた複数のシナリオで算定されています。人が辞めたらどうなるか、受注が落ちたらどうなるかを織り込んだ、ということです。人に依存する事業は、この見方をされます。
取得資金は全額が借入で、しかも短期で借りて長期に切り替える段取りまで説明されています。相手がどう資金を用意するのかは、実行までの確実性に関わります。売り手としても確かめておく項目です。