ニデックは2024年12月27日、株式会社牧野フライス製作所に対し公開買付けの開始予定についての意向表明書を提出したと公表しました。開示資料は、前提条件のすべてが充足され又は買い手により放棄されたことを条件として、2025年4月4日に公開買付けを開始する予定であると記載しています(出典:ニデック株式会社 2024年12月27日公表資料)。
開示された事実
| 譲受(買い手) | ニデック株式会社(6594・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社牧野フライス製作所(東証プライム)(工作機械の製造) |
| 所在地 | 東京都 |
| 手法 | 公開買付け(TOB)の開始予定についての意向表明。買い手は意向表明書の提出とこの公表に先立ち、対象会社との間で本取引に関する協議の申入れ等は行っていないと明記している。これは決定ではなく、開始の予告です |
| 対価 | 1株11,000円。基準日(2024年12月26日)終値7,750円に対して41.94%、1ヶ月終値単純平均7,112円に対して54.67%、3ヶ月6,552円に対して67.89%、6ヶ月6,313円に対して74.24%のプレミアム。買付代金257,276,492,000円(予定)。買付予定数の下限11,694,400株(議決権の過半数)、上限なし |
| 日程 | 意向表明書の提出・公表 2024年12月27日/公開買付けの開始予定 2025年4月4日(前提条件がすべて充足され、または買い手により放棄された場合)/公開買付期間 31営業日(下限に達した場合は10営業日を確保できるよう延長) |
買付価格は1株11,000円です。基準日である2024年12月26日の終値7,750円に対して41.94%、直近1ヶ月間の終値単純平均7,112円に対して54.67%、3ヶ月間の6,552円に対して67.89%、6ヶ月間の6,313円に対して74.24%のプレミアムを加えた価格とされています(出典:ニデック株式会社 2024年12月27日公表資料)。買付代金は257,276,492,000円(予定)です。
買付予定数の下限は11,694,400株で、自己株式を控除した株式数に係る議決権の数の過半数となる議決権数に単元株式数を乗じた株式数です。上限は設定されていません(出典:ニデック株式会社 2024年12月27日公表資料)。
開示資料は、買い手が意向表明書の提出とこの公表に先立ち、対象会社との間で本取引に関する協議の申入れ等を行っていないと明記しています。その理由として、経済産業省が2023年8月31日付で公表した「企業買収における行動指針」において上場会社の経営支配権を取得する買収一般に「株主意思の原則」や「透明性の原則」が求められていることを踏まえ、提案段階から透明性あるプロセスを通じて株主に状況を伝えるためとしています(出典:ニデック株式会社 2024年12月27日公表資料)。
また開示資料は、仮に対象会社の取締役会及び特別委員会から賛同を得られない場合であっても、前提条件のすべてが充足され又は放棄された場合には予定どおり公開買付けを開始する予定であると記載しています。公開買付期間は31営業日で、期間中に応募株券等の数が買付予定数の下限に達した場合は、その公表日の翌営業日から10営業日を確保できるよう期間を延長するとしています(出典:ニデック株式会社 2024年12月27日公表資料)。
中小企業の経営者は、どう読むか
これは買収の決定ではありません。「こういう条件で公開買付けを始めるつもりだ」という意向の表明です。しかも相手に事前の打診をせず、いきなり公表しています。買い手から突然こうした話が来ることもあるという実例です。
事前に相談しなかった理由も書かれています。国の指針が、買収の提案では株主の意思と透明性を重んじるよう求めているためだ、と。誰に対して説明する取引なのかという問いに、買い手が自分の立場を示しています。
そして、相手の取締役会が賛同しなくても始めるとしています。上場企業では、会社の経営陣が反対しても株主が応じれば取引が成立し得ます。株式が広く分かれている会社では、経営陣の意向だけで守れない場面があるということです。
中小企業では事情が違います。株式が一人か数人に集まっているため、株主が応じなければ取引は成立しません。だからこそ、誰が株式を持っているかが会社を守る手段にもなります。自社の株主名簿は、そういう意味も持っています。
提示されたのは、六か月平均の株価に対して七割を超える上乗せです。市場の値段と、買い手が払う値段は別だということです。ただし、上乗せが大きいことは、その会社の値段が正しいかどうかとは別の話です。