北海道は、広い土地と豊かな一次産品、そして国内外から人を集める観光資源に支えられた地域です。その一方で、事業所が広域に分散し、人口減少と担い手不足が他地域より早く進んできたという現実もあります。「後継者がいないまま、いつまで続けられるか」——道内の経営者様から最も多く伺うのが、このお悩みです。本稿では、北海道・札幌の産業の特性をふまえながら、地方企業が第三者承継(M&A)を選択肢として考える際の要点を整理します。
北海道の産業構造とM&Aの背景
北海道の経済を支える柱は、いくつかの分野に分かれています。
まず、食品・農林水産です。農業、酪農、水産、そしてそれらを原料とする食品加工が道内各地に広がり、地域ごとに特色ある産品と加工の技術が根づいています。北海道産という産地表示そのものが、道外市場で通用する強みになってきました。
次に、観光・宿泊・飲食です。札幌、函館、旭川、道東・道南の各地に、国内外からの旅行需要を受け止める宿泊施設や飲食店、交通・体験サービスが立地しています。需要には季節の波があり、それをどう平準化するかが経営上の共通課題です。
そして、建設・インフラ関連です。広大な面積に道路・河川・上下水道・除雪といったインフラが張りめぐらされ、その維持管理を担う地元の建設・設備会社が地域ごとに存在します。加えて、札幌には道内全域を商圏とする卸売・物流・情報サービスの機能が集まっています。
これらの分野は、道外の企業にとって「自社では持ち得ない資源」を抱えています。原料の調達網、観光地の施設、地域のインフラ受注実績——いずれも新規に作ることが難しいため、承継先として関心を持つ買い手は少なくありません。全国的にも、レコフデータの調べによれば2025年の日本企業のM&A件数は5,000件を超え、2年連続で過去最多を更新しています。
道内企業に多い譲渡理由|後継者不在・人口動態・季節変動
後継者不在
帝国データバンクの2025年調査では、国内企業の後継者不在率は50.1%とされています。北海道では、ご子息・ご息女が札幌や道外の都市部で就職・定住しておられ、地元に戻る予定がないというご事情が典型的です。従業員への承継を考えても、株式の買取資金や個人保証の引受けが壁になり、話が進まないというご相談も多く伺います。
人口動態と人材の確保
地域によっては、募集をかけても応募が集まらず、既存従業員の高齢化が進むという状況が現実に起きています。仕事はあっても人がいないという状態が続けば、事業の維持そのものが難しくなります。採用力を持つ企業の傘下に入ることは、事業と地域の雇用を守る手段になり得ます。
季節変動と投資負担
観光・宿泊や建設のように、需要や稼働に季節の波がある事業では、閑散期の資金繰りと設備投資の判断が経営を左右します。施設の改修や機械の更新といった投資を、後継者が決まらないまま単独で行うのは容易ではありません。資本力のある企業と組むことで、投資と承継を同時に解決する例があります。
北海道の企業が評価されやすいポイント
道外の買い手が北海道の会社を検討する際、次のような点が評価につながりやすい傾向があります。
- 原料の調達網・生産者との関係:農水産物の安定的な仕入ルートや生産者との信頼関係は、食品事業を強化したい買い手にとって代えがたい資産です。
- 産地としてのブランド:北海道産という訴求力を持つ商品・サービスは、道外市場や販路拡大の起点になります。
- 施設・土地などの事業用資産:宿泊施設、加工場、倉庫、車庫用地など、現地で事業を営むための資産は、新規参入では代替が難しい要素です。
- 許認可・登録:食品製造業の許可、酒類製造・販売、運送業、建設業許可、旅館業など、事業に不可欠な許認可は承継の大きな動機になります。
- 地域における受注実績と信用:自治体や地元の主要企業との継続的な取引は、外部からは築きにくい参入障壁です。
準備としては、季節ごとの収益構造、拠点や施設の権利関係、主要な仕入先・受注先との取引条件を整理しておくことをおすすめします。年間を通じた収益の姿が説明できると、買い手は事業を評価しやすくなります。
相談先の選び方|地元金融機関・税理士・M&A仲介会社
地元金融機関
北海道では、地方銀行や信用金庫が広域にネットワークを持ち、地域企業の実情を理解しています。財務面の助言や、取引先を通じたご縁が期待できます。一方で、地域社会のつながりが密であるため、相談したことが伝わることを心配される方も少なくありません。相談範囲は慎重にお決めください。
顧問税理士
決算と税務の実情を把握しているため、譲渡後の手取り額の見通しや、株式・不動産の整理といった事前準備で頼りになります。個人資産と会社資産が混在している場合の整理も、早めに着手したい論点です。
M&A仲介会社・アドバイザー
買い手候補の探索、条件交渉、契約からクロージングまでを担います。北海道の会社では、有力な買い手が道外——首都圏や関西の企業であることが珍しくありません。全国の買い手にアプローチできるネットワークがあるか、そしてオンライン中心でも滞りなく進行できる体制かを確認してください。中小M&Aガイドラインの遵守宣言と手数料体系の明示は、契約前に必ずご確認いただきたい点です。
オンライン面談だから、距離は障害になりません
当社プラチナパートナーズは東京・日比谷に本社を置いていますが、ご相談はオンライン面談で全国に対応しています。北海道の経営者様にとって、相談のたびに札幌や東京へ出向くのは大きな負担です。オンラインであれば、事務所やご自宅から、必要なときに短時間でお話しいただけます。
初回のご相談では、事業の内容、株主構成、直近の決算、ご希望の時期や条件を伺い、想定される選択肢と進め方をご説明します。以降の買い手候補のご報告や条件のすり合わせも、その多くはオンラインで進行可能です。施設の確認やトップ面談など、直接お会いすべき場面では、私どもが北海道へお伺いします。距離を理由にご相談をためらう必要はありません。
まとめ|事業を閉じる前に、渡す道を考える
後継者が見つからないとき、廃業という選択が頭をよぎるのは自然なことです。しかし、廃業では従業員の雇用も、取引先との関係も、長年かけて築いた仕入ルートも失われます。第三者への承継であれば、それらを次の担い手に引き継ぎ、経営者様ご自身は対価を受け取って次の人生に進むことができます。判断材料として「廃業とM&Aはどちらを選ぶべきか」もあわせてご覧ください。
検討に適した時期は、事業が回っていて、人が残っているうちです。すぐに決める必要はありません。北海道・札幌をはじめ道内で事業承継をお考えの際は、無料相談フォーム、またはメール(info@platinumpartners.jp)よりお気軽にご連絡ください。