日本の病床は、22年で29万7千床減りました。厚生労働省の公表統計によれば、平成14年の1,839,376床から令和6年の1,542,357床へ、16.1%の減少です。

ただし減ったのは主に病院ではありません。病院の病床が10.5%減にとどまるのに対し、一般診療所の病床は63.1%減っています。本稿ではこの移動を確認します。

本稿の数値は厚生労働省「令和6(2024)年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況」統計表1(令和7年9月26日公表・各年10月1日現在)によります。増減率は本稿で算出しました。一般病床・療養病床は平成15年の医療法改正で区分が変わったため、平成17年以降を比較しています。制度・税務・法務の取り扱いはご状況により異なりますので、実際のご判断にあたっては顧問の専門家にもご確認ください。

減ったのは診療所の病床

厚生労働省「令和6(2024)年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況」統計表1(令和7年9月26日公表・各年10月1日現在)によれば、病床数の推移は次のとおりです。

各年10月1日現在病床 総数病院一般診療所歯科診療所
平成14年(2002)1,839,3761,642,593196,596187
平成20年(2008)1,756,1151,609,403146,568144
平成26年(2014)1,680,7121,568,261112,36487
令和2年(2020)1,593,6331,507,52686,04661
令和6年(2024)1,542,3571,469,84572,45161
22年間の増減△297,019△172,748△124,145△126
増減率△16.1%△10.5%△63.1%△67.4%

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況」統計表1(令和7年9月26日公表・各年10月1日現在)より作成

減った29万7千床のうち、12万4千床(41.8%)が一般診療所の病床です(本稿で算出)。病床全体に占める一般診療所の割合は、10.7%から4.7%へ下がりました。

施設の数も同じ方向です。有床診療所は平成14年の16,178から令和6年の5,415へ、22年で3分の1になりました(66.5%減)。

とくに療養病床を有する一般診療所は2,675から431へ、83.9%減。ほぼ消えたと言ってよい水準です。

病院の中でも種類によって違う

病院の病床を種類別に見ると、さらに分かれます。

病床の種類平成17年令和6年増減率
一般病床904,199879,728△2.7%
療養病床359,230268,521△25.3%
精神病床354,296316,147△10.8%
結核病床11,9493,508△70.6%
感染症病床1,7991,941+7.9%

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況」統計表1(令和7年9月26日公表・各年10月1日現在)より作成

一般病床はほとんど減っていません(2.7%減)。大きく減ったのは療養病床(25.3%減)と結核病床(70.6%減)です。

感染症病床だけが増えています(7.9%増)。感染症病床を有する病院も平成14年の294から令和6年の380へ増えました。

もう一つ、増えているものがあります。地域医療支援病院は43から707へ、16.4倍。地域の医療機関を支える役割を担う病院が、制度の後押しもあって大きく増えました。

病床が持つ意味

これらの数字は、医療機関の承継において決定的な意味を持ちます。

病床は、原則として新たに増やせません。都道府県が定める基準病床数を超える区域では、新規の許可が下りません。全国の病床が22年で16.1%減ってきたのは、政策としてそう進められてきた結果でもあります。

つまり既存の病床は、それ自体が希少な資源だということです。入院機能を持ちたい事業者にとって、既存の医療機関を引き継ぐことが実質的に唯一の手段になります。

これが、医療機関の承継で「病床を持っているかどうか」が最初に確認される理由です。同じ規模の医療機関でも、病床の有無と種類によって、引き受け手の顔ぶれがまったく変わります。

逆に、病床を返上すれば元には戻せません。有床診療所が22年で3分の1になったということは、一度失われた病床がそのまま戻っていないということでもあります。

承継のときに見られる点

評価の目は次のようなところに向きます。

  • 許可病床数と、実際に稼働している病床数。許可はあるが休床している病床があれば、その扱いが論点になります
  • 病床の種類。一般・療養・精神・感染症。一般病床はほぼ維持され、療養病床は25.3%減っています
  • 地域の基準病床数との関係。その区域が病床過剰地域か、まだ余裕があるか
  • 病床機能報告の区分。高度急性期・急性期・回復期・慢性期のどれか。地域医療構想の方向と自院の位置づけ
  • 病床利用率。令和6年の病院全体は77.0%です
  • 返上の履歴。過去に病床を減らしていれば、戻せない前提で考えます

病床は貸借対照表には載らない資産です。だからこそ、決算書だけを見ていては医療機関の価値は測れません。許可の内容と地域の状況を合わせて見る必要があります。

病院は「病院業界の動向」、有床診療所は「有床診療所の動向」、診療科は「診療科の動向」に整理しています。

よくあるご質問

A.厚生労働省の統計では、病床総数は平成14年の1,839,376床から令和6年の1,542,357床へ、22年間で16.1%減っています。ただし病院の一般病床は平成17年比で2.7%減にとどまり、大きく減ったのは療養病床と一般診療所の病床です。
A.統計は理由を示しません。事実として、一般診療所の病床は196,596床から72,451床へ63.1%減り、施設数も16,178から5,415へ66.5%減っています。とくに療養病床を有する一般診療所は2,675から431へ83.9%減りました。
A.都道府県が定める基準病床数を超える区域では、新規の許可は原則として下りません。このため既存の病床を引き継ぐことが入院機能を持つ実質的な手段になります。地域により取り扱いが異なりますので個別にご確認ください。
A.許可はあるが稼働していない病床の扱いは、承継の場面で論点になります。再稼働できるかどうかは人員体制と地域の状況によりますので、個別に確認が必要です。

Free Consultation

許可病床と地域の状況から、確かめませんか。

病床は貸借対照表に載らない資産です。貴院の許可病床・稼働・地域での位置づけが承継の場面でどう見られるかは、決算書と体制を拝見してからお話しします。相談料・着手金・月額報酬はいただいておりません。基本合意時の中間金と成功報酬については料金体系をご覧ください。
メール(info@platinumpartners.jp)でも承ります。

無料相談を申し込む

Author & Supervisor

執筆・監修:株式会社プラチナパートナーズ 取締役副社長 神垣 宏康

東京都千代田区(日比谷)のM&A仲介・事業承継アドバイザリーファーム、株式会社プラチナパートナーズ取締役副社長。中小企業の事業承継・会社売却を初回相談から成約まで一気通貫で支援しています。役員紹介・会社概要はこちら