デイサービスには、定員18人を超える「通所介護」と、18人以下の「地域密着型通所介護」があります。同じサービスですが、この5年で明暗が分かれました。
厚生労働省の公表統計によれば、通所介護は24,585事業所でほぼ横ばい、地域密着型通所介護は18,921事業所で5年連続の減少。本稿ではこの差を確認します。
本稿の数値は厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」(令和7年12月19日公表・令和6年10月1日現在)によります。制度・税務・法務の取り扱いはご状況により異なりますので、実際のご判断にあたっては顧問の専門家にもご確認ください。
小さいほうだけが減っている
厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」(令和7年12月19日公表・令和6年10月1日現在)によれば、通いのサービスの推移は次のとおりです。
| 年(各年10月1日現在) | 通所介護 | 地域密着型通所介護 | 認知症対応型通所介護 |
|---|---|---|---|
| 令和2年(2020) | 24,087 | 19,667 | 3,868 |
| 令和3年(2021) | 24,428 | 19,578 | 3,753 |
| 令和4年(2022) | 24,569 | 19,394 | 3,701 |
| 令和5年(2023) | 24,577 | 19,156 | 3,505 |
| 令和6年(2024) | 24,585 | 18,921 | 3,370 |
| 5年間の増減 | +498(+2.1%) | △746(△3.8%) | △498(△12.9%) |
出典:厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」(令和7年12月19日公表・令和6年10月1日現在)より作成
通所介護は5年で2.1%増えました。ただし令和6年の増加はわずか8事業所(0.0%)で、実質的には頭打ちです。
地域密着型通所介護は5年とも減り続けています。認知症対応型通所介護はさらに減り幅が大きく、5年で12.9%減です。
小規模な事業所ほど減っている——これがこの分野の構図です。
担い手の構成も規模で違う
同資料によれば、開設(経営)主体の構成は規模によって大きく異なります。
| サービス | 営利法人(会社) | 社会福祉法人 | 医療法人 | NPO |
|---|---|---|---|---|
| 通所介護 | 55.0% | 34.0% | 7.2% | 1.5% |
| 地域密着型通所介護 | 76.6% | 12.1% | 3.5% | 5.1% |
| 認知症対応型通所介護 | 38.7% | 41.6% | 11.3% | 5.6% |
出典:厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」(令和7年12月19日公表・令和6年10月1日現在)より作成
地域密着型通所介護は営利法人が76.6%を占めます。通所介護の55.0%と比べて21.6ポイント高い。小規模で参入しやすい分だけ、民間事業者が多く入っているということです。
裏返せば、減っているのはその民間事業者です。社会福祉法人が3分の1を占める通所介護が横ばいであるのに対し、営利法人が4分の3を占める地域密着型が減り続けている。
なお通所介護の介護職員は221,372人で、訪問介護の訪問介護員520,612人に次ぐ規模です。
地域密着型という制度の壁
地域密着型サービスには、通常の介護サービスと違う点があります。指定を出すのが都道府県ではなく市町村であることです。
この違いは承継に直結します。
- 市町村ごとの指定。他の市町村で事業を広げるには、その市町村の指定が要ります
- 原則として、その市町村の住民しか利用できません。商圏が行政区画で区切られます
- 市町村の介護保険事業計画に基づく総量規制が働く場合があります。計画で見込んだ量に達していれば、新規の指定が下りないことがあります
つまり新しく参入しにくい一方、既存の指定には価値があるという構造です。事業所数が減っている地域では、残った事業所に利用者が集まる可能性もあります。
逆に、事業譲渡の形を取ると指定を取り直すことになり、総量規制に引っかかれば下りない可能性があります。だからこの分野では株式譲渡が選ばれます。
承継のときに見られる点
評価の目は次のようなところに向きます。
- 通所介護か、地域密着型か。指定権者と商圏の広さが変わります
- 定員と稼働率。この事業の収益を決める最大の指標です
- 送迎の体制。車両の台数と運転できる職員。送迎が回らなければ稼働は上がりません
- 物件の権利。賃借が多い分野です。譲渡に賃貸人の承諾が要るか
- 加算の取得状況。個別機能訓練加算、入浴介助加算など。直近の報酬改定で収入がどう動いたか
- 居宅介護支援事業所との関係。利用者の紹介経路が特定の1か所に偏っていないか
- 同一地域の競合。全国では減っていても、地域ごとの密度は別です
減っている分野は、残る側にとっては機会でもあります。近隣の事業所を引き継げば、利用者と職員をまとめて確保でき、送迎の効率も上がります。この分野で承継が起きるのは、多くがこの形です。
分野全体は「介護業界の動向」に、実務は「デイサービス(通所介護)のM&A」に整理しています。
この数字の読み方。厚生労働省の介護サービス施設・事業所調査は事業所・施設を単位に集計したものです。1つの法人が複数の事業所を運営していることがあるため、法人の数はこれより少なくなります。また調査日時点の値で、その後の開設・廃止は含みません。承継の検討で規模を見るときは、事業所の数ではなく、1つの法人がどの指定をいくつ持っているかをご確認ください。