障害児の通所支援は、いま最も伸びている福祉分野のひとつです。厚生労働省の公表統計によれば、令和6年10月1日現在で放課後等デイサービスは22,643事業所(前年比7.2%増)、児童発達支援は14,855事業所(同10.8%増)。

利用者はさらに速く増えています。放課後等デイサービスの利用実人員は1年で76,347人増えました。本稿ではこの伸びの実態を確認し、承継の観点で何が焦点になるかを整理します。

本稿の数値は厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)によります。制度・税務・法務の取り扱いはご状況により異なりますので、実際のご判断にあたっては顧問の専門家にもご確認ください。

事業所も利用者も、二桁に近い伸び

厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)によれば、障害児通所支援等の事業所数は次のとおりです。

事業の種類令和5年令和6年増減数増減率
放課後等デイサービス21,12222,643+1,521+7.2%
児童発達支援13,41214,855+1,443+10.8%
保育所等訪問支援2,7003,257+557+20.6%
障害児相談支援9,1039,548+445+4.9%
居宅訪問型児童発達支援310332+22+7.1%

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)より作成

同資料によれば、増減率が最も高いのは保育所等訪問支援の20.6%、次いで児童発達支援の10.8%です。全事業種の中でこの2つが1位・2位を占めています。

利用者も伸びています。令和6年9月中の利用実人員は、放課後等デイサービスが633,631人(前年557,284人)、児童発達支援が272,333人(前年233,601人)。放デイだけで1年に76,347人、13.7%の増加です。

利用回数は減っている

ただし、伸びの中身を見ると別の動きがあります。

令和5年令和6年
放課後等デイサービス 利用実人員557,284人633,631人
 利用者1人当たり利用回数6.8回6.4回
児童発達支援 利用実人員233,601人272,333人
 利用者1人当たり利用回数5.5回5.2回
保育所等訪問支援 利用実人員20,875人26,227人
 利用者1人当たり訪問回数1.6回1.6回

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)より作成

人数は増え、1人当たりの利用回数は減っています。放デイは6.8回から6.4回へ、児童発達支援は5.5回から5.2回へ。

報酬は利用回数に応じて発生するため、この2つは打ち消し合います。利用者数の伸びがそのまま収入の伸びになるとは限らない、というのが数字から言えることです。

統計は理由までは示しませんが、事業所が増えて1人の利用者が複数の事業所を使い分ける形になれば、1事業所あたりの回数は減ります。ご検討の地域で何が起きているかは、個別に確認が必要です。

人の規模と職種の構成

同資料によれば、常勤換算の従事者数は放課後等デイサービスが130,073人、児童発達支援が80,327人です。

職種放課後等デイサービス児童発達支援
総数130,073人80,327人
 児童発達支援管理責任者21,554人12,203人
 児童指導員54,789人26,158人
 保育士29,609人26,071人
 障害福祉サービス経験者4,554人2,958人

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在)より作成

放課後等デイサービスは居宅介護事業に次いで従事者数の多い事業です(居宅介護事業155,444人、放課後等デイサービス130,073人、共同生活援助事業110,028人)。

職種の構成では、放デイは児童指導員が42.1%を占め、児童発達支援では保育士の比率が高くなっています。児童発達支援管理責任者は指定の要件に直結する職種で、確保できるかどうかが事業の継続を左右します。

承継のときに見られる点

評価の目は次のようなところに向きます。

  • 児童発達支援管理責任者の在籍。指定の要件です。欠員が生じると減算や指定の効力に関わるため、在籍状況は必ず確認されます
  • 定員と実利用者数、稼働率。1人当たり回数が下がっている分野なので、延べ利用回数の推移が見られます
  • 送迎体制。車両と運転できる職員の確保。加算にも関わります
  • 物件の権利。賃借が多い分野です。譲渡に賃貸人の承諾が要るか
  • 相談支援事業所・学校との関係。利用者の紹介経路
  • 報酬改定への対応。加算の取得状況と、改定で収入がどう動いたか

伸びている分野は、参入が続いている分野でもあります。1人当たり利用回数の低下は、その影響が既に数字に出ていることを示しています。「増えているから安泰」とは読めない、というのがこの分野の実情です。

分野全体の動きは「障害福祉サービス業界の動向」に、実務は「放課後等デイサービス・児童発達支援のM&A」に整理しています。

よくあるご質問

A.厚生労働省の統計では、事業所数は21,122から22,643へ7.2%増、利用実人員は557,284人から633,631人へ13.7%増えています。一方で利用者1人当たり利用回数は6.8回から6.4回へ減っています。全国の総数から「増えすぎ」を判定することはできません。
A.報酬は利用回数に応じて発生します。同統計では利用者数が増える一方、1人当たり利用回数は減っています。この2つは打ち消し合うため、利用者数の伸びがそのまま収入の伸びになるとは限りません。
A.指定基準上の要件に関わる職種であり、欠員の状態が続くと減算や指定の効力に影響します。具体的な取り扱いは自治体により異なりますので、顧問の専門家にもご確認ください。
A.できる場合が多いものの、賃貸借契約に譲渡や転貸の制限があると賃貸人の承諾が必要になります。株式譲渡か事業譲渡かによっても取り扱いが変わります。

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Author & Supervisor

執筆・監修:株式会社プラチナパートナーズ 取締役副社長 神垣 宏康

東京都千代田区(日比谷)のM&A仲介・事業承継アドバイザリーファーム、株式会社プラチナパートナーズ取締役副社長。中小企業の事業承継・会社売却を初回相談から成約まで一気通貫で支援しています。役員紹介・会社概要はこちら