給食を出す施設の総数は、ほとんど動いていません。厚生労働省の公表統計によれば、令和6年度末現在で94,987施設、前年度から249施設(0.3%)の減少です。

ところが内訳を開くと、需要のある場所が入れ替わっています。学校・病院・事業所が減り、高齢者施設だけが増えている。本稿ではこの移動を確認します。

本稿の数値は厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況」(令和7年10月21日公表・令和6年度末現在)によります。出典に記載のない比率は本稿で算出しました。制度・税務・法務の取り扱いはご状況により異なりますので、実際のご判断にあたっては顧問の専門家にもご確認ください。

総数はほぼ横ばい

厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況」(令和7年10月21日公表・令和6年度末現在)によれば、給食施設数の推移は次のとおりです。

年度末給食施設 計特定給食施設その他の給食施設
令和2年度94,01251,00543,007
令和3年度94,65651,08743,569
令和4年度95,15351,21443,939
令和5年度95,23651,15944,077
令和6年度94,98750,86044,127
前年度比△249(△0.3%)△299(△0.6%)+50(+0.1%)

出典:厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況」(令和7年10月21日公表・令和6年度末現在)より作成

「特定給食施設」は健康増進法に基づく区分で、継続的に1回100食以上または1日250食以上を供給する施設をいいます。全体の53.5%を占め、このうち指定施設(規模が大きく管理栄養士の配置が求められるもの)は2,663施設(2.8%)です。

総数は令和5年度をピークにわずかに減った形ですが、5年を通せばほぼ横ばいといえます。

内訳は明らかに動いている

特定給食施設を種類別に見ると、方向が分かれます。

種類令和2年度令和6年度5年間の増減構成割合
学校15,39215,310△8230.1%
児童福祉施設14,23514,436+20128.4%
病院5,5475,458△8910.7%
老人福祉施設4,9845,130+14610.1%
事業所5,2124,859△3539.6%
介護老人保健施設2,8772,796△815.5%
介護医療院82143+61(+74.4%)0.3%
一般給食センター344307△370.6%
社会福祉施設778746△321.5%

出典:厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況」(令和7年10月21日公表・令和6年度末現在)より作成

最も減ったのは事業所給食(353施設減)です。社員食堂が減っているということになります。在宅勤務の広がりを背景に語られることの多い変化ですが、統計自体は理由を示しません。

最も増えたのは児童福祉施設(201施設増)と老人福祉施設(146施設増)。率でみれば介護医療院が74.4%増と突出しています(令和6年度だけでも18施設・14.4%増)。ただし母数が143施設と小さい点には注意が要ります。

学校は5年で82施設減。統廃合が進んでいることがうかがえます。

受託事業者から見た意味

この統計は給食を出す側の施設の数であり、受託する事業者の数ではありません。ただし、受託市場の形を読むには最も直接的な指標です。

種類ごとに事業の性質はまったく違います。

  • 学校給食は自治体からの委託で、入札によって決まります。食数が読め、長期休暇には止まる。夏休みの人件費が課題になります
  • 病院・高齢者施設は365日3食。休みがなく人手が要りますが、食数が安定し、契約が長く続きます
  • 事業所給食は出社率に左右されます。5年で353施設減っており、最も縮んでいる分野です

減っている事業所給食から、増えている高齢者施設へ。受託事業者にとって、この移動は事業構成の見直しを迫るものです。だからこそ、高齢者施設の受託実績を持つ事業者が求められる場面が出てきます。

承継のときに見られる点

評価の目は次のようなところに向きます。

  • 受託先の構成。学校・病院・高齢者施設・事業所の比率。伸びている分野をどれだけ持っているか
  • 契約の期間と更新実績。単年度か複数年か。何年続いているか
  • 1施設あたりの食数と単価。特定給食施設(1回100食以上)かどうかで規模が変わります
  • 管理栄養士・栄養士・調理師の確保。指定施設では管理栄養士の配置が求められます
  • 調理場の形態。受託先の厨房で作るのか、セントラルキッチンから運ぶのか。自社設備を持つ場合は更新負担が生じます
  • 衛生管理の体制。HACCPに沿った衛生管理の実施状況
  • 食材の調達。仕入れの規模が原価を左右します

総数が横ばいの市場では、伸びるには他社の受託先を取るか、事業者ごと引き継ぐかになります。受託事業者の承継が続いているのは、この構造によるものです。

受託側の動きは「給食・弁当業界の動向」、中食は「惣菜・弁当製造業界の動向」に整理しています。

よくあるご質問

A.厚生労働省の統計では、令和6年度末現在で94,987施設、前年度から249施設(0.3%)減っています。5年を通せばほぼ横ばいですが、内訳では学校・病院・事業所が減り、老人福祉施設と介護医療院が増えています。
A.統計は理由を示しません。事実として、事業所は令和2年度の5,212施設から令和6年度の4,859施設へ、5年間で353施設減っており、特定給食施設のなかで最も減少幅が大きくなっています。
A.健康増進法第20条第1項に規定される施設で、特定かつ多数の者に対して継続的に1回100食以上または1日250食以上の食事を供給する施設をいいます。令和6年度末現在で50,860施設、うち指定施設は2,663施設です。
A.載っていません。この統計は給食を提供する施設の数であり、受託する事業者の数ではありません。ただし受託市場の形を読むには直接的な指標になります。

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Author & Supervisor

執筆・監修:株式会社プラチナパートナーズ 取締役副社長 神垣 宏康

東京都千代田区(日比谷)のM&A仲介・事業承継アドバイザリーファーム、株式会社プラチナパートナーズ取締役副社長。中小企業の事業承継・会社売却を初回相談から成約まで一気通貫で支援しています。役員紹介・会社概要はこちら