ホテル事業を手がけるポラリス・ホールディングスは2024年10月15日、ホテル運営会社である株式会社ミナシアを株式交換により完全子会社化する契約を締結したと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | ポラリス・ホールディングス株式会社(3010・東証スタンダード) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社ミナシア(リミテッドサービスホテルの運営) |
| 所在地 | 東京都千代田区 |
| 手法 | 株式交換(買い手を株式交換完全親会社、対象会社を株式交換完全子会社とする)。対価は買い手の株式と金銭の組み合わせ |
| 対価 | 対象会社株式1株につき買い手株式0.097株と金銭。現金対価の総額50億円、株式対価の総数105,820,691株 |
| 日程 | 契約締結 2024年10月15日/株式交換承認株主総会決議日 2024年12月12日(予定)/効力発生日 2024年12月27日(予定) |
買い手は国内外で52ホテル9,046室(運営予定客室数を含む)を運営し、対象会社は全国の主要都市で39ホテル5,180室のリミテッドサービスホテルを運営しています。両社を合わせると91ホテル14,226室の規模になると記載されています(出典:ポラリス・ホールディングス株式会社 2024年10月15日公表資料)。
対価は現金と株式の組み合わせです。対象会社株式1株につき買い手株式0.097株と金銭が割当交付され、現金対価の総額は50億円、株式対価の総数は買い手株式105,820,691株とされています。取得する対象会社株式は1,090,934,967株です(出典:ポラリス・ホールディングス株式会社 2024年10月15日公表資料)。
買い手は2024年6月7日付でスターアジアグループと共同で、対象会社の全株式を保有するための特別目的会社である合同会社Corridaに一部出資し、同月26日付で資本業務提携契約を締結していました。今回はより強固な資本関係の下での一体的な経営を行うため、株式交換を通じて全株式を取得することを決定したとしています。
株式交換比率の算定にあたっては第三者算定機関が起用され、上場会社である買い手については市場株価基準法、類似企業比較法及びDCF法、非上場会社である対象会社については市場株価が存在しないことから類似企業比較法及びDCF法が採用されたと記載されています。株式交換の効力発生には株主総会の承認が必要で、決議は2024年12月12日を予定しています(出典:ポラリス・ホールディングス株式会社 2024年10月15日公表資料)。
中小企業の経営者は、どう読むか
この案件で対価になっているのは、現金だけではありません。譲渡する側は、対価の一部として買い手の株式を受け取ります。会社を手放したあとも買い手の株主として残るという形です。受け取った株式の価値はその後の株価で動きますから、現金で受け取るのとは性質が違います。
現金と株式を組み合わせる形は、買い手が手元の現金を使いきらずに大きな相手を迎えられる方法でもあります。売り手にとっては、いくらを現金で受け取り、いくらを株式で受け取るのかが交渉の対象になります。対価の総額だけでなく、その中身を確かめる必要があります。
買い手と対象会社は、いきなり全株式のやり取りをしていません。共同出資と資本業務提携を先に置き、そのうえで全株式の取得に進んでいます。段階を踏む形は中小企業のM&Aでも使われます。まず一部の資本を入れて一緒に仕事をし、互いに確かめてから全部を渡すという順番です。
非上場である対象会社の価値は、類似する上場企業との比較と、将来生み出す現金の見込みから算定されています。株価という答えが無い会社は、この二つの考え方で値付けされます。自社の数字がどちらの方法でどう見られるのかは、譲渡を考える前に知っておくほうが有利です。
株式交換は、株主総会の承認を経て効力が発生します。契約の締結から効力発生までに二か月以上が置かれています。対価に株式を使うと、買い手側の手続が日程を決めます。現金で買う場合より時間がかかると考えておくほうが実際に近いです。