東京海上ホールディングスは2024年11月19日、東京証券取引所プライム市場に上場するID&Eホールディングス株式会社を完全子会社化することを目的として、公開買付けを実施することを決議したと公表しました。公表時点で買い手は対象会社株式を所有していません。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 東京海上ホールディングス株式会社(8766・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | ID&Eホールディングス株式会社(東証プライム)(建設コンサルタント等を中核とする持株会社) |
| 所在地 | 東京都 |
| 手法 | 公開買付け(TOB)。完全子会社化を目的とする |
| 対価 | 1株6,500円。買付代金97,809,894,000円(買付予定数15,047,676株×6,500円)。買付予定数の下限9,988,600株(所有割合66.18%)、上限なし |
| 日程 | 取締役会決議 2024年11月19日/公開買付開始公告・届出書提出 2024年11月20日/買付け等の期間 2024年11月20日〜2025年1月15日(35営業日)/決済の開始日 2025年1月22日 |
買付価格は1株6,500円です。開示資料によれば、買い手は2024年10月16日に法的拘束力を有しない書面で1株4,700円を提案しました。これは前営業日の終値4,260円に対して10.33%のプレミアムにあたる水準です(出典:東京海上ホールディングス株式会社 2024年11月19日公表資料)。対象会社はこれに対し増額を要請し、10月22日に5,250円、10月28日に5,400円と提案が続き、最終的に11月19日の取締役会で6,500円と決定されました。
開示資料には、対象会社が第五回提案の段階でも「他の非公開化案件のプレミアム水準の近時の動向(公表前営業日株価に対するプレミアムの平均値約63%)や両社のシナジーを勘案すると、賛同の意見を表明できない」と回答したことが記載されています(出典:東京海上ホールディングス株式会社 2024年11月19日公表資料)。
買付代金は97,809,894,000円で、買付予定数15,047,676株に買付価格6,500円を乗じた金額です。買付予定数の下限は9,988,600株(所有割合66.18%)で、上限は設定されていません(出典:東京海上ホールディングス株式会社 2024年11月19日公表資料)。
買付け等の期間は2024年11月20日から2025年1月15日までの35営業日、決済の開始日は2025年1月22日です。買い手は2024年5月から7月にデュー・ディリジェンスを実施し、9月から10月に財務及び税務に関する追加の確認を行い、企業価値に特段の重大な影響を及ぼす事項は発見されなかったとしています(出典:東京海上ホールディングス株式会社 2024年11月19日公表資料)。
中小企業の経営者は、どう読むか
初回の提案から最終の価格まで、四割近く上がっています。上がった理由は毎回書かれています。対象会社が増額を要請し続けたからです。最初に出てきた金額は、結論ではありません。この案件は、その差がどれだけ大きくなり得るかを示しています。
断り方が具体的です。「他の似た案件では、公表前の株価に対する上乗せの平均はこのくらいだ」という相場の水準を示し、加えて一緒になることで生まれる価値を勘案すべきだと言っています。ただ高くしてほしいではなく、比べる基準を示して返しています。中小企業の交渉でも、根拠のある返し方をするかどうかで結果が変わります。
断るときに、対象会社は自前で助言者を置いています。証券会社と法律事務所、そして独立した委員会です。相手の言い値を判断するには、判断できる材料と人が必要だということです。規模が小さくても、相談できる相手を持っているかどうかで結果は変わります。
調べる作業は半年近くかけて行われています。しかも一度で終わらず、数か月後に財務と税務の追加確認をしています。大きな取引では、調べる工程が繰り返されます。資料を出す側は、その間ずっと説明を続けることになります。
最初の提案書は「法的拘束力を有しない書面」でした。この段階では、まだ何も約束されていません。買い手の意向表明を受け取ったときに、それがどの程度の重さを持つのかは、書面の中に書かれています。