M&A仲介会社の料金ページには、料率の表が載っています。しかしその表を眺めても、自社の場合にいくらになるのかはまず分かりません。料率のほかに、基準額の定義、最低手数料、中間金、着手金、実費——複数の要素が絡み合って総額が決まるからです。本稿では、料金表をどの順番で読めば負担額にたどり着けるかを、実際の数字を当てはめながら整理します。
料金表を読む順番は、料率からではない
多くの方が最初に見るのが料率表です。しかし料率は、読む順番としては三番目です。正しい順序は次のとおりです。
- ①成約前に発生する費用があるか——相談料、着手金、月額報酬、中間金
- ②基準額の定義は何か——株式価値のみか、負債を加えるか、オーナー受取額か
- ③料率はいくらか——金額帯ごとの料率
- ④最低手数料はいくらか——計算額が下回る場合の適用
- ⑤税別か税込か——標準税率10%の加算
- ⑥実費の扱い——別途請求されるか、含まれるか
この順序には理由があります。中小企業のM&Aでは、最低手数料が適用される案件が相応にあります。その場合、料率が何%であっても手数料は最低額です。料率を先に見ても意味がないのです。
また、①の成約前費用は、成約しなかった場合の負担に直結します。成約すれば必ず払う金額より、成約しなくても払う金額のほうが、判断としては重い——この視点を持って読んでください。
①成約前に発生する費用を洗い出す
報酬体系は、成約前に費用が発生するかどうかで大きく二つに分かれます。
| 費目 | 発生時期 | 確認すること |
|---|---|---|
| 相談料 | 初回面談時 | 無料か。無料の範囲はどこまでか |
| 着手金 | 仲介契約の締結時 | 金額。成功報酬から差し引かれるか。返金の可否 |
| 月額報酬 | 契約期間中、毎月 | 金額。何に対する対価か。期間の上限はあるか |
| 中間金 | 基本合意の締結時 | 金額の決め方。成功報酬からの控除。返金の可否 |
当社の場合、相談料・着手金・月額報酬は0円です。成約前に発生するのは基本合意時の中間金のみで、金額は成功報酬額の10%です。この中間金は成約時の成功報酬から全額を差し引きます。ただし、基本合意後に不成立となった場合、返金はいたしません。
ここで計算しておくべきなのは、成約しなかった場合に手元から出ていく総額です。仲介会社への支払いに加え、デューデリジェンスに要した専門家費用も戻りません。この金額を先に把握しておくことが、料金表を読む目的のひとつです。
②基準額の定義を確認する
次に、料率を掛ける相手を確認します。ここが違えば、同じ料率でも金額はまったく変わります。
主に三つの取り方があります。株式価値(譲渡対価)のみを基準とする方式、株式価値+負債総額を基準とする方式(移動総資産)、オーナーが受け取る総額を基準とする方式です。当社は移動総資産レーマン方式を採用しています。
同じ会社で比べてみます。株式価値2億円、負債3億円の会社の場合、株式価値ベースなら基準額は2億円、移動総資産ベースなら5億円です。料率5%を適用すると、前者は1,000万円、後者は2,500万円になります。基準の違いだけで倍以上の差が出るということです。
したがって、複数社を比較するときに料率だけを並べるのは意味がありません。基準の種類と料率をセットで見る必要があります。基準の違いは「レーマン方式の3つの基準」で詳しく整理しています。
③④料率と最低手数料を、自社の数字で計算する
ここでようやく料率です。レーマン方式は、基準額を金額帯に区切り、帯ごとに料率を掛けて合算します。当社の料率は次のとおりです。
| 基準額の帯 | 料率 |
|---|---|
| 5億円以下の部分 | 5% |
| 5億円超10億円以下の部分 | 4% |
| 10億円超50億円以下の部分 | 3% |
| 50億円超100億円以下の部分 | 2% |
| 100億円超の部分 | 1% |
注意していただきたいのは、基準額全体に一つの料率を掛けるのではないという点です。基準額が10億円なら、5億円までの部分に5%(2,500万円)、5億円を超える部分に4%(2,000万円)を掛け、合計4,500万円となります。全体に4%を掛けた4,000万円ではありません。
そして最低手数料です。当社は2,000万円(税別)としています。基準額2億5,000万円(株式価値1億5,000万円+負債1億円)の場合、計算額は1,250万円ですが、最低手数料を下回るため成功報酬は2,000万円になります。小規模な案件ほど、料率よりも最低手数料が実際の金額を決める——この構造は「最低手数料はなぜあるのか」で詳しく説明しています。
⑤⑥消費税と実費を足して、総額にする
最後に、二つの上乗せを確認します。
ひとつは消費税です。仲介手数料は課税取引で、標準税率は10%です。料金表の金額が税別なら、2,000万円は支払時に2,200万円になります。税別・税込の取り違えは、金額が大きいだけに影響も大きいので、必ず確認してください。詳しくは「M&A手数料の税込・税別」をご覧ください。
もうひとつは実費です。仲介会社が立て替えた費用(登記事項証明書の取得費、遠方への交通費など)が別途請求されるかどうかは、契約によります。金額としては大きくないことが多いのですが、定めの有無は確認しておくべきです。
さらに、仲介手数料以外に発生する費用があります。デューデリジェンスに関わる専門家費用、契約書のレビュー費用、司法書士への登記費用、譲渡後の確定申告に関わる税理士報酬などです。これらは仲介会社の料金表には載りません。全体像は「M&Aで仲介手数料以外にかかる費用」で整理しています。
自社の数字を当てはめてもらう
ここまでの手順を踏めば、料金表から総額の見込みにたどり着けます。ただし、最も確実なのは仲介会社に自社の数字で試算してもらうことです。
直近の決算書があれば、負債総額は分かります。想定される株式価値の水準についても、初回の面談で概算はお伝えできるはずです。この二つが分かれば、基準額と手数料の見込みは出せます。
試算を依頼するとき、あわせて次の質問をしてください。①成約しなかった場合に手元から出ていく金額はいくらか ②価格が想定より下がった場合、手数料はどうなるか ③手数料以外に、御社経由で発生する費用はあるか。この三つに明快に答えられるかどうかが、判断材料になります。
当社では、ご相談の初期段階で想定される手数料の水準をお伝えし、ご契約の前に総額の目安を書面でご提示しています。ご相談の段階で費用が発生することはありません。料金体系の詳細は料金体系のページにも掲載しています。
よくあるご質問
Free Consultation
料金表ではなく、自社の金額をお伝えします。
直近の決算書があれば、基準額と手数料の見込みを試算してご説明します。ご相談は無料です。
メール(info@platinumpartners.jp)でも承ります。