資料3の「中小M&A市場におけるプレイヤー及びその役割」には、 士業等専門家・金融機関・商工団体・M&Aプラットフォーマーが並びます。
中小M&Aガイドラインの第2章も、支援機関の種類ごとに章立てされています。 誰が何をする機関かを、役割で説明できるようにしておく範囲です。
ガイドライン第2章の構成が、そのまま一覧になっている
| プレイヤー | ガイドライン | 特色 |
|---|---|---|
| M&A専門業者(仲介者・FA) | 第2章II(79〜105ページ) | マッチングやその後の諸手続の進捗管理等、総合的な支援 |
| 金融機関 | 第2章III(105ページ〜) | 融資を通じて経営状況を詳細に把握し、豊富なネットワークを持つ |
| 商工団体 | 第2章IV(109ページ〜) | 身近な相談相手。窓口機能を生かして適切な支援機関へ紹介 |
| 士業等専門家 | 第2章V(111ページ〜) | 専門的な知見を生かして手続の遂行等を支援 |
| M&Aプラットフォーマー | 第2章(後述部分) | インターネットを活用したマッチングの場 |
| 事業承継・引継ぎ支援センター | 公的機関 | 相談対応とマッチング支援 |
ガイドラインの基本姿勢は、「それぞれの役割に応じた適切な支援」を求めています。 全部を1つの機関がやるのではない、というのが出発点です。
金融機関|融資先の情報を持っているという特色
ガイドラインは、金融機関の特色を「貸付先(与信先)である顧客の詳細な財務情報等を保有している」ことに置いています。
主な支援内容として挙げられているのは次のとおりです。
- 気付きの機会の提供、「見える化」「磨き上げ」支援
- 中小M&A実行支援
- 中小M&A実行以後に関する支援(ポストM&A支援)
- M&Aに伴う経営者保証の扱いについて
最後の項目が、実務上とくに重要です。経営者保証の提供先は金融機関だからです。
ガイドラインは、最終契約の工程で「保証の提供先である金融機関等に対するM&A成立前の相談も選択肢である旨を 説明しなければならない」とし、そのうえでM&Aが成立しなかった場合における情報の扱い等の留意点も 伝えるよう求めています。
また、ガイドラインには「譲り渡し側が事業再生局面にある場合の中小M&A支援の在り方」という節もあり、 金融機関が関わる局面として整理されています。
商工団体とプラットフォーマー|入口と、場
商工団体の役割は明快です。ガイドラインは主な支援内容として 「気付きの機会の提供」と「適切な支援機関への橋渡し」の2つを挙げています。
留意点として「情報の取扱いの注意点」と「他の支援機関との連携」が置かれています。 地域に密着しているぶん、情報が漏れたときの影響が大きいという構造があります。
M&Aプラットフォーマーについては、ガイドラインが興味深い指摘をしています。
特にM&Aプラットフォームは、中小企業のみならずM&A専門業者や士業等専門家といった 他の支援機関においても活用が可能であることから、 保有する案件情報が少ない支援機関がM&Aプラットフォームを活用してマッチングを実現し、 その後の手続を自ら支援することもある。
つまりプラットフォームは、当事者同士だけの場ではなく、支援機関のインフラでもあるということです。
なお、ガイドラインの規定は「金融機関、士業等専門家やM&Aプラットフォーマー等が仲介業務・FA業務等を行う場合にも、 業務の性質・内容が共通する限りにおいて、(M&A専門業者の章に)記載する内容に準拠した対応を想定している」 とされています。肩書きではなく、やっている業務で規範が決まるという整理です。
士業等専門家|ガイドラインが最も細かく書いている
ガイドライン第2章Vは、士業ごとに支援内容を整理しています。公認会計士の節を例にとると、 次のような項目が並びます。
- 適正な財務書類の作成支援
- プレM&A支援……コーポレート・ガバナンスの構築支援/株式・事業用資産等の整理・集約/ 内部統制の構築・運営/経営者保証解除の円滑な実現に向けた支援
- バリュエーション(コストアプローチ/マーケットアプローチ/インカムアプローチ)
- 財務DD
- 債務超過企業に対する中小M&A支援
- ポストM&A支援
「プレM&A支援」に株式・事業用資産等の整理・集約が入っているのが、中小M&Aらしい点です。 株式が分散している、事業用資産が個人名義になっている——こうした状態は、売る前に整えておく必要があります。
税理士、弁護士、中小企業診断士等についても同様に節が設けられています。 試験では、どの士業がどの工程に関わるかを対応づけられることが求められる範囲です。
連携が、規範として書かれている
ガイドラインの基本姿勢の3つ目は支援機関間の連携です。
円滑に中小M&Aが進むケースにおいては、支援機関同士が相互に連携しあっている例が多い。(中略) 各支援機関は、自ら全てを抱え込むのではなく、必要に応じ、他の支援機関と積極的に連携することが望まれる。
具体例として、商工団体がセンターへつなぎ、センターが登録機関や連携プラットフォーマーへ橋渡しする流れ、 プラットフォームでマッチングした企業が契約交渉で士業の力を借りる流れが挙げられています。
そして、これは試験の合格者像と直結します。 「士業専門家と連携できる水準」——連携は、望ましい姿勢であると同時に、 独占業務に触れないための実務的な要請でもあります。
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本記事は、中小企業庁が公表した資料をもとに、株式会社プラチナパートナーズが作成したものです。 本試験の実施主体・運営事業者が作成・監修・承認したものではありません。
試験の名称・科目構成・出題数・出題範囲・合格基準・実施時期等は、2026年9月時点で公表されている 検討会資料および企画競争募集要領に「想定」「現状案」として示された内容です。 試験名は資料上「中小M&A資格試験(仮称)」と表記されています。実際の試験と異なる可能性がありますので、 受験にあたっては必ず公式の試験案内をご確認ください。
本記事の法務・税務・会計に関する記述は一般的な制度の説明です。 個別の案件における判断は、必ず弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご確認ください。
出典:「中小M&A市場の改革に向けた方向性について」(中小企業庁・第4回 中小M&A市場の改革に向けた検討会 資料2、2026年3月17日)/ 同 資料3「試験科目詳細」/ 「中小M&A資格試験実施事業」企画競争募集要領(中小企業庁、2026年3月27日)/ 中小M&Aガイドライン(第3版)(中小企業庁、2024年8月)/ 中小M&A専門人材(個人)向け 使命・倫理行動規範・知識スキルマップ をもとに当社が作成。
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中小M&A資格試験 合格テキスト|一次資料で体系的に学ぶ、4科目の要点
同じシリーズの基本書です(2026年10月3日刊行)。序章で制度創設の経緯・4科目と配点・合格基準・禁忌肢・CBTでの実施形式・学習プランを示し、第1章 M&A実務/第2章 中小M&A市場動向・中小企業政策/第3章 財務・税務/第4章 法務/第5章 倫理・行動規範の順に解説しています。付録は用語集・重要数値一覧・スキーム比較表・出題範囲対応表・学習記録シート。数値・期間・条文には出典を併記し、制度の数値は2026年10月1日時点です。
問題集で問われ方を確かめ、間違えた問から本書の該当節に戻る形を想定しています。付録の出題範囲対応表が、2冊の往復の索引になります。
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