「中小企業政策」は12項目と小さな大項目ですが、●(優先項目)が4つ付いています。 項目数に対する優先の比率では、法務に次ぐ高さです。
配点としては「M&A実務」に含まれ、中小M&A市場動向と合わせて3問程度の想定です。 少ないぶん、優先項目から出る可能性が高い範囲といえます。
優先項目は4つ
| 項目 | 優先 |
|---|---|
| M&A支援機関登録制度 | ● |
| 事業承継・M&A支援補助金制度 | ● |
| 各種ガイドライン | ● |
| 事業承継・引継ぎ支援センター | ● |
| 中小企業基本法(中小企業者の定義:資本金・従業員数) | — |
| 小規模企業者、みなし大企業等の定義/小規模企業振興基本法 | — |
| 経営承継円滑化法(事業承継税制等) | — |
| 中小企業活性化協議会/よろず支援拠点(中小機構)/事業承継ネットワーク | — |
●が付いた4つは、いずれも中小M&Aの支援体制そのものです。 制度の名前だけでなく、何のための仕組みで、誰が対象かを言えるようにしておく範囲です。
M&A支援機関登録制度|資格試験と二層構造をなす
2021年8月に創設された制度で、中小M&Aガイドラインの遵守を宣言した仲介者・FAを登録し、公表します。 登録は約3,400者(2026年3月時点)です。
この制度が重要なのは、資格試験と対になっているからです。
| 層 | 仕組み | 対象 |
|---|---|---|
| 組織 | M&A支援機関登録制度(2021年8月〜) | 仲介者・FA等の事業者 |
| 個人 | 中小M&A資格試験+合格者登録制度 | 仲介・FA業務に携わる人 |
資料2には、ガイドラインの側で登録機関に対して担当者への資格取得の推奨や、 重要事項説明を資格保持者が行うことを求める方向を検討する旨が記載されています。 2つの層がつながる設計です。
なお、募集要領が受験者数の見積りに使ったのも、この登録制度の M&A支援業務専従者数(2026年2月末時点で10,616人)でした。
事業承継・M&A支援補助金|登録が前提になる
事業承継やM&Aに要する費用の一部を補助する制度です。 M&A支援機関の活用に係る費用については、M&A支援機関登録制度に登録された機関の支援が 補助の対象となる仕組みが取られています。
つまり、登録していない仲介者・FAを使うと、依頼者が補助金を使えないという構造です。 登録制度に実効性を持たせているのは、この接続です。
補助金の枠組み・補助率・上限額・公募時期は年度によって変わります。 受験時点の最新の公募要領を確認する必要がある範囲であり、 試験では制度の趣旨と、登録制度との関係を押さえるのが実際的です。
事業承継・引継ぎ支援センター|公的機関としての役割
各都道府県に設置された公的機関です。募集要領の事業目的にも、その位置づけが書かれています。
中小企業庁において、各都道府県に設置された事業承継・引継ぎ支援センターにより、 後継者不在企業等への支援を実施しており、事業承継に関する悩みやトラブル等に係る相談対応に加えて、 事業の譲り受け及び譲り渡しに係るマッチング支援も実施している。
そのうえで、限界も明記されています。
他方で、センターのみにより全ての中小企業に対する支援を実施することは現実的ではない。 (中略)引き続き、民間のM&A支援機関による支援も強化していく必要がある。
この一文が、資格試験が作られた理由そのものです。 公的機関だけでは足りない → 民間の支援を強化する → そのためには質の担保が要る → 資格と登録で可視化する。
実務上もセンターは重要です。ガイドラインは、専任条項下のセカンド・オピニオンの相談先として 「事業承継・引継ぎ支援センター等の公的機関」を挙げ、 経営者保証についても士業等専門家(特に弁護士)やセンターへの相談を選択肢として説明することを求めています。
各種ガイドラインと、残りの項目
●が付いた「各種ガイドライン」の中心は中小M&Aガイドライン(第3版・2024年8月)です。 関連して中小PMIガイドラインなど、中小企業庁が示す指針群が含まれます。
●は付いていませんが、押さえておくべき残りの項目です。
- 中小企業基本法……中小企業者の定義(資本金・従業員数で、業種ごとに基準が異なる)。 小規模企業者、みなし大企業等の定義
- 経営承継円滑化法……事業承継税制の認定、金融支援、遺留分に関する民法の特例、所在不明株主に関する会社法の特例
- 中小企業活性化協議会/よろず支援拠点(中小機構)/事業承継ネットワーク
中小企業の定義は、補助金や税制の適用可否に直結するため、 「業種ごとに資本金・従業員数の基準が異なる」という構造は押さえておく必要があります。
なお、補助金の要件や税制の期限は改正されます。本記事は2026年9月時点の公表資料に基づく説明であり、 受験や実務にあたっては最新の一次資料をご確認ください。
この記事について(出典と免責)
本記事は、中小企業庁が公表した資料をもとに、株式会社プラチナパートナーズが作成したものです。 本試験の実施主体・運営事業者が作成・監修・承認したものではありません。
試験の名称・科目構成・出題数・出題範囲・合格基準・実施時期等は、2026年9月時点で公表されている 検討会資料および企画競争募集要領に「想定」「現状案」として示された内容です。 試験名は資料上「中小M&A資格試験(仮称)」と表記されています。実際の試験と異なる可能性がありますので、 受験にあたっては必ず公式の試験案内をご確認ください。
本記事の法務・税務・会計に関する記述は一般的な制度の説明です。 個別の案件における判断は、必ず弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご確認ください。
出典:「中小M&A市場の改革に向けた方向性について」(中小企業庁・第4回 中小M&A市場の改革に向けた検討会 資料2、2026年3月17日)/ 同 資料3「試験科目詳細」/ 「中小M&A資格試験実施事業」企画競争募集要領(中小企業庁、2026年3月27日)/ 中小M&Aガイドライン(第3版)(中小企業庁、2024年8月)/ 中小M&A専門人材(個人)向け 使命・倫理行動規範・知識スキルマップ をもとに当社が作成。
よくあるご質問
Book
この試験の勉強に使えるもの:試験範囲マップ|251項目と当社コラムの対応表で、どの項目にどの記事が対応しているか(と、当社が書けていない項目)を一覧できます。
当社取締役副社長 神垣宏康が執筆した問題集です。中小M&Aガイドライン第3版・知識スキルマップ・検討会資料「試験科目詳細」といった公表資料だけから全300問を作成し、全問に出典を明記しています。
中小M&A資格試験 合格テキスト|一次資料で体系的に学ぶ、4科目の要点
同じシリーズの基本書です(2026年10月3日刊行)。序章で制度創設の経緯・4科目と配点・合格基準・禁忌肢・CBTでの実施形式・学習プランを示し、第1章 M&A実務/第2章 中小M&A市場動向・中小企業政策/第3章 財務・税務/第4章 法務/第5章 倫理・行動規範の順に解説しています。付録は用語集・重要数値一覧・スキーム比較表・出題範囲対応表・学習記録シート。数値・期間・条文には出典を併記し、制度の数値は2026年10月1日時点です。
問題集で問われ方を確かめ、間違えた問から本書の該当節に戻る形を想定しています。付録の出題範囲対応表が、2冊の往復の索引になります。
本書は試験の実施主体・運営事業者が作成・監修したものではありません。制度の内容は2026年9月時点の公表資料に基づく「想定」「現状案」です。受験にあたっては公式の試験案内をご確認ください。