ケアプランを作る事業所が減っています。厚生労働省の公表統計によれば、居宅介護支援事業所は37,258で、5年間で2,026事業所(5.2%)の減少。

その一方で、介護予防支援事業所は1年で39.4%増えました。同じケアマネジメントの分野で、正反対の動きが同時に起きています。本稿ではこの変化を確認します。

本稿の数値は厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」(令和7年12月19日公表・令和6年10月1日現在)によります。制度・税務・法務の取り扱いはご状況により異なりますので、実際のご判断にあたっては顧問の専門家にもご確認ください。

5年連続で減っている

厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」(令和7年12月19日公表・令和6年10月1日現在)によれば、居宅介護支援事業所の推移は次のとおりです。

年(各年10月1日現在)居宅介護支援事業所介護予防支援事業所
令和2年(2020)39,2845,249
令和3年(2021)39,0475,280
令和4年(2022)38,5385,331
令和5年(2023)37,7845,361
令和6年(2024)37,2587,475
5年間の増減△2,026(△5.2%)+2,226(+42.4%)

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」(令和7年12月19日公表・令和6年10月1日現在)より作成

居宅介護支援事業所は5年とも減り続けています。減り幅は令和4年△509、令和5年△754、令和6年△526と、近年のほうが大きくなっています。

対照的に、介護予防支援事業所は令和5年の5,361から令和6年の7,475へ、1年で2,114事業所(39.4%)増えました。この調査の全サービス中、最も高い増加率です。

制度上、令和6年4月から居宅介護支援事業所が市町村の指定を受けて介護予防支援を行えるようになりました。統計の動きは、この改正と整合しています。ただし統計自体は理由を示すものではありません。

減少が意味すること

居宅介護支援事業所は、介護サービス全体の入り口にあたります。ケアマネジャーが作るケアプランによって、利用者がどのサービスを使うかが決まるためです。

この事業所が減っているということは、介護サービス全体にとって次の意味を持ちます。

  • 紹介元が減る。デイサービスや訪問介護にとって、利用者の入り口が絞られます
  • 1事業所あたりの担当件数が増える。ケアマネジャー1人が担当できる件数には上限があります
  • 地域によっては受け皿が不足する。全国の総数が減るなかで、撤退が集中した地域では新規の相談を受けられる事業所が限られます

他の介護サービスの承継を検討する場合も、その地域の居宅介護支援事業所の状況は無視できません。紹介元が1か所に偏っている事業所は、その1か所が撤退したときに大きく影響を受けます。

この事業の性質

居宅介護支援は、設備をほとんど持たない事業です。事務所と、ケアマネジャーがいれば成り立ちます。

そのため、事業の価値は次の2つに集約されます。

  • ケアマネジャーという人。介護支援専門員の資格者がいなければ事業が成立しません。同資料によれば、介護支援専門員は居宅介護支援事業所に16,500人、介護老人福祉施設に14,156人、介護老人保健施設に8,359人が従事しています
  • 担当している利用者。ただし利用者はケアマネジャー個人との関係で付いていることが多く、ケアマネジャーが辞めれば利用者も離れます

つまりこの事業の承継は、実質的に人の承継です。会社を引き継いでもケアマネジャーが残らなければ、引き継ぐものがほとんど残りません。譲り受ける側も、そこを最も注意して見ます。

承継のときに見られる点

評価の目は次のようなところに向きます。

  • ケアマネジャーの人数と在籍年数。主任介護支援専門員がいるかどうかは、特定事業所加算の要件に関わります
  • 担当利用者数と、要介護度の分布。報酬は要介護度によって変わります
  • 介護予防支援の指定の有無。令和6年4月以降に取得できる選択肢が広がりました
  • 併設事業所の有無。デイサービスや訪問介護を併設している場合、自社サービスへの誘導が偏っていないかが見られます
  • 加算の取得状況。特定事業所加算の区分は収入に大きく影響します
  • 地域包括支援センターとの関係。新規相談の入り口になります

単独で譲渡されることは多くありません。デイサービスや訪問介護と一体で、あるいは併設事業所の付属として扱われるのが実際です。それでも、この事業所を持っていることは利用者の入り口を持っているという意味で、譲り受ける側にとって価値があります。

分野全体は「介護業界の動向」に、実務は「居宅介護支援事業所のM&A」に整理しています。

この数字の読み方。厚生労働省の介護サービス施設・事業所調査は事業所・施設を単位に集計したものです。1つの法人が複数の事業所を運営していることがあるため、法人の数はこれより少なくなります。また調査日時点の値で、その後の開設・廃止は含みません。承継の検討で規模を見るときは、事業所の数ではなく、1つの法人がどの指定をいくつ持っているかをご確認ください。

よくあるご質問

A.厚生労働省の統計では、令和2年の39,284から令和6年の37,258へ、5年間で2,026事業所(5.2%)減っています。5年とも減少しており、近年のほうが減り幅は大きくなっています。
A.統計は数を示すだけで理由は示しません。制度上、令和6年4月から居宅介護支援事業所が市町村の指定を受けて介護予防支援を行えるようになっており、統計の動きはこれと整合しています。
A.なくなるわけではありませんが、大きく下がります。利用者はケアマネジャー個人との関係で付いていることが多く、この事業の承継は実質的に人の承継になります。引き継ぎの設計が重要です。
A.できますが、実際にはデイサービスや訪問介護と一体で扱われることが多い分野です。利用者の入り口を持つ事業所として、併設事業所とあわせて評価されます。

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Author & Supervisor

執筆・監修:株式会社プラチナパートナーズ 取締役副社長 神垣 宏康

東京都千代田区(日比谷)のM&A仲介・事業承継アドバイザリーファーム、株式会社プラチナパートナーズ取締役副社長。中小企業の事業承継・会社売却を初回相談から成約まで一気通貫で支援しています。役員紹介・会社概要はこちら