M&A仲介の料金体系を見ていると、「月額報酬」「リテイナーフィー」という項目に出会うことがあります。契約している間、毎月一定額を支払う費用です。一回あたりの金額は大きく見えなくても、期間が長引けば積み上がります。

本稿では、月額報酬が何に対する対価なのか、どういう構造の費用なのかを整理し、契約前に確認しておきたい点をご説明します。手数料の全体像は「M&A仲介手数料の相場とレーマン方式の計算方法」をご覧ください。

【当社の料金体系】相談料・着手金・月額報酬は0円です。費用が発生するのは、基本合意時の中間金(成功報酬額の10%)と、成約時の成功報酬のみ。成功報酬は移動総資産レーマン方式(基準額=株式価値(譲渡対価)+負債総額)で算定し、最低報酬は2,000万円(税別)です。料率は基準額5億円以下5%/5億円超10億円以下4%/10億円超50億円以下3%/50億円超100億円以下2%/100億円超1%。中間金は成約時の成功報酬から全額差し引きますが、基本合意後に不成立となった場合は返金いたしません。詳細は料金体系をご覧ください。

月額報酬(リテイナーフィー)とは

月額報酬は、仲介契約またはアドバイザリー契約を締結してから終了するまでの間、毎月支払う費用です。リテイナーフィーとも呼ばれます。着手金が「契約時に一度だけ」の費用であるのに対し、月額報酬は期間に応じて発生し続ける点が特徴です。

金額の水準や、そもそも設定するかどうかは会社によって異なります。成功報酬から差し引く扱いにしている会社もあれば、差し引かない会社もあります。M&A仲介では設定していない会社も多く、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)として関与する場合に見られることが比較的多い費目です(「M&A仲介とFAの違い」)。

当社は月額報酬をいただいておりません。相談料・着手金も0円で、費用が発生するのは基本合意時の中間金(成功報酬額の10%)と成約時の成功報酬のみです。

何に対する費用なのか

月額報酬は、成約という結果ではなく、期間中に継続的に行われる業務に対する対価と位置づけられます。具体的には次のような作業が想定されます。

  • 買い手候補の継続的な探索とアプローチ
  • 財務資料の整理、企業概要書の更新
  • 買い手候補からの質問対応、面談の設定
  • 進捗の報告、条件面の助言
  • 専門家との連絡調整

これらは成約しなければ報酬にならない、という考え方も成り立ちますが、実際には相応の工数がかかります。月額報酬を設定する会社は、「結果が出る前の稼働にも対価を払っていただく」という立場を取っているわけです。この考え方自体は不合理ではありません。

一方で、売り手の立場から見ると、成約に至らなかった場合は「支払ったが結果は出なかった」という形になります。ここが月額報酬の評価が分かれる理由です。

期間が延びるほど負担が増えるという構造

月額報酬を検討する際に必ず押さえておきたいのが、この費目が期間に比例して増えるという点です。

M&Aの検討開始から成約までにかかる期間は、案件によって幅があります。買い手候補がすぐに見つかることもあれば、複数の候補と交渉を重ねて時間を要することもあります。当初の想定より長引くこと自体は珍しくありません(「M&Aにかかる期間」)。

つまり、月額報酬がある契約では、期間が延びるという不確実性が、そのまま売り手の費用増につながります。しかも、期間をコントロールできるのは主に仲介会社の側です。この構造上のねじれをどう見るかは、契約前に考えておくべき点です。

なお、これは「月額報酬がある会社が期間を引き延ばす」という意味ではありません。多くの会社は誠実に業務を進めています。ただ、制度としてそういう構造になっていることは、契約する側として理解しておくべきだと考えます。

当社が月額報酬を0円にしている理由

当社が月額報酬を設定していないのは、次の理由からです。

  • 利害を揃えたい:成約しなければ当社に報酬は生じません。早く、良い条件でまとめることが当社の利益にも一致します。
  • 売り手の資金負担の順序:譲渡代金が入る前に継続的な支出があると、資金繰りの負担になります。成約に近づくにつれて費用が発生する設計のほうが自然だと考えています。
  • 判断の自由を保ちたい:月額報酬があると、「ここまで払ったのだから続けなければ」という心理が働きやすくなります。売り手には、いつでも立ち止まる自由があるべきです。

当社の費用は、基本合意時の中間金(成功報酬額の10%)と成約時の成功報酬のみです。中間金は成功報酬から全額差し引きますので、総額が増えるものではありません。ただし、基本合意後に不成立となった場合、中間金は返金いたしません。この点は契約前に書面でご説明しています。

契約前に確認したいこと

月額報酬が設定されている契約を検討する場合、次の点を書面で確認しておくことをおすすめします。

  • ①金額と支払期間:毎月いくらか。上限や支払回数の上限はあるか。
  • ②成功報酬から差し引かれるか:差し引かれるなら前払いに近く、差し引かれないなら純粋な追加負担です。
  • ③契約期間と更新の条件:自動更新か、更新のたびに合意が必要か。
  • ④中途解約の条件:解約できるか、解約時に精算はどうなるか、違約金の定めはあるか。
  • ⑤何をしてもらえるのか:月額報酬に対応する業務の内容と報告の頻度。「毎月何が行われるか」が明確でないと、対価の妥当性を判断できません。

とくに④は重要です。成果が見えないまま費用だけが続く状況になったとき、抜け出す手段があるかどうかを事前に確認しておくべきです。

まとめ|「毎月」だからこそ、総額で考える

月額報酬は、期間中の継続的な業務に対する対価です。設定すること自体に不合理はありませんが、期間が延びるほど負担が増えるという構造は理解しておく必要があります。金額の大小だけでなく、成功報酬から差し引かれるか、中途解約できるか、毎月何をしてもらえるかまで含めて確認してください。

当社は相談料・着手金・月額報酬すべて0円の成功報酬型です。費用は基本合意時の中間金と成約時の成功報酬のみで、成功報酬は移動総資産レーマン方式・最低2,000万円(税別)で算定します。ご契約前には、貴社の場合の手数料総額の目安を書面でご提示します。他社と比較検討されている段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。

よくあるご質問

A.会社によって異なります。差し引く扱いにしている会社もあれば、差し引かない会社もありますので、契約書で必ず確認してください。差し引かれない場合は、成功報酬に純粋に上乗せされる負担になります。当社は月額報酬をいただいておりません。
A.そうとは限りません。月額報酬は期間中の継続的な業務に対する対価であり、設定すること自体は不合理ではありません。重要なのは、金額・期間・成功報酬との関係・中途解約の条件・毎月受けられる業務の内容を、契約前に書面で確認することです。
A.ございません。相談料・着手金・月額報酬はすべて0円です。費用が発生するのは基本合意時の中間金(成功報酬額の10%)と成約時の成功報酬のみで、中間金は成功報酬から全額差し引きます(基本合意後に不成立となった場合、返金はいたしません)。ただし、基本合意後に不成立となった場合は返金いたしません。

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相談料・着手金・月額報酬は0円です。基本合意時の中間金と成功報酬については料金体系をご覧ください。ご決断を急がせることはありません。
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Author & Supervisor

執筆・監修:株式会社プラチナパートナーズ 取締役副社長 神垣 宏康

東京都千代田区(日比谷)のM&A仲介・事業承継アドバイザリーファーム、株式会社プラチナパートナーズ取締役。成功報酬型のもと、中小企業の事業承継・会社売却を初回相談から成約まで一気通貫で支援しています。役員紹介・会社概要はこちら