リースとレンタルは、企業の設備投資を資産を持たずに実現する仕組みです。したがって、この業界の数字は、日本企業の設備投資の姿をそのまま映します。公益社団法人リース事業協会の統計を軸に、現在地を確認します。

数字で見るリース・レンタル業界の現在地

リース事業協会「リース統計(2024年度)」(2025年5月29日公表)によると、2024年度のリース取扱高は5兆847億円で前年度比9.8%増リース設備投資額は4兆6,710億円で前年度比8.0%増となりました。取扱高・設備投資額ともに3年連続の増加です。

また、民間設備投資に占めるリース設備投資額の割合であるリース比率は4.34%とされています。企業の設備投資の約4%がリースを利用している計算になります。

連結ベースでは、2024年度のリース設備投資額は10兆3,799億円(前年度比12.8%増)で、内訳は国内6兆7,088億円(7.5%増)、海外3兆6,711億円(23.9%増)です。海外の伸びが際立っており、事業の広がりが国内にとどまらないことがうかがえます。

機種別・企業規模別に見た内訳

同じ統計から、機種別の動きを見ると、増減がはっきり分かれています。

機種2024年度の前年度比
情報通信機器18.9%増
商業及びサービス業用機器13.6%増
輸送用機器12.3%増
工作機械1.0%増
事務用機器0.5%増
医療機器0.3%減
土木建設機械4.5%減
産業機械9.7%減

情報通信機器の二桁増は、企業のデジタル投資が続いていることを示します。一方、産業機械と土木建設機械の減少は、製造業と建設投資の動きを反映していると読めます。実際、業種別では「製造業」が2.8%減と3年ぶりの減少、「非製造業」が9.8%増と3年連続の増加となっています。

企業規模別では、全体の5割強を占める「中小企業(資本金1億円以下及び個人事業者)」が9.0%増で3年連続の増加、「大企業(資本金1億円超)」が3.9%増で3年連続の増加、「官公庁・その他」が32.3%増で2年連続の増加でした。リースの利用者の過半が中小企業であるという構造は、この業界を考えるうえで重要な前提です。

2027年4月|新リース会計基準という転換点

この業界にとって、近い将来の大きな論点が新しいリース会計基準です。新リース会計基準は、2027年4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用されるとされており、企業の準備状況に応じて2025年4月1日以後開始する事業年度からの早期適用も認められています。

この基準の最大のポイントは、これまでオフバランス処理が可能だったオペレーティング・リースについても、原則として資産・負債として貸借対照表に計上(オンバランス化)される点です。

影響は借手側の企業に及びます。これまで費用として処理していたリース料が、使用権資産と負債として計上されることで、総資産が増え、自己資本比率などの財務指標が変わります。借入契約に財務制限条項が付されている企業では、事前の確認が必要になる場面も想定されます。

リース会社から見れば、顧客企業の会計処理が変わることで、リースを選ぶ理由の一部——オフバランス効果——が失われることになります。今後は、資金繰り、事務負担の軽減、機器の管理・入替の容易さといった、会計処理以外の価値をどう提示するかが問われます。

会計基準の適用範囲、経過措置、税務上の取扱いは個別の事情によって異なります。実際の対応にあたっては、必ず顧問の会計専門家にご確認ください。

経営環境の変化|金利・与信・資産効率

リース・レンタル事業は、資産を保有して収益を上げる事業です。したがって、経営の要点は次の三つに集約されます。

  • 調達コスト——資金を調達して資産を購入する構造上、金利環境の変化が収益に直結します。
  • 与信——契約先の信用力が、そのまま回収リスクになります。中小企業の利用が過半を占める構造では、与信管理の精度が事業の安定性を決めます。
  • 資産効率——レンタルの場合は特に、保有資産の稼働率が収益を左右します。稼働していない機械は、そのまま費用だけを生みます。

加えて、リース期間満了後の物件の処理——再リース、中古売却、廃棄——をどう設計しているかも、収益に影響します。中古市場での換価性が高い機種を扱っている事業者は、この点で優位に立てます。

事業承継の観点|資産・契約・与信管理

帝国データバンクの2025年調査によると、国内企業の後継者不在率は50.1%です。リース・レンタル業は資産を抱える事業であるため、承継の際には財務の中身が特に丁寧に見られます。

整理しておきたい論点は次のとおりです。

  • 保有資産の実態——資産台帳と現物の一致、機種ごとの取得年・簿価・稼働状況。長期にわたり稼働していない資産が簿価で残っていないかは、必ず確認されます。
  • 契約の内容——契約先ごとの残存期間、月額、中途解約条項、再リースの状況。将来キャッシュフローの見通しに直結します。
  • 与信と債権——延滞債権の有無と金額、貸倒引当金の計上方針、保証の取得状況。
  • 資金調達——借入の残高と条件、金融機関との関係、経営者保証の有無。経営者保証については「経営者保証の解除」もご参照ください。
  • 許認可・登録——扱う物件によっては、別途の許認可や登録が必要になる場合があります。
  • 保守・整備の体制——レンタル事業では、機械の整備を自社で行っているかどうかが稼働率と収益性を左右します。

資産の評価方法については「時価純資産法とは」でも整理しています。

まとめ|契約が回っているうちに

リース・レンタル業界は、取扱高が3年連続で増加し、中小企業の利用も伸びています。一方で、2027年4月からの新リース会計基準の適用は、顧客がリースを選ぶ理由そのものを変える可能性があります。金利環境の変化も、調達コストを通じて収益に効いてきます。

資産が稼働し、契約が回っているうちであれば、事業には引き継ぐ価値があります。資産の更新を止め、契約が減り始めてからでは、評価される要素が減っていきます。制度変更を控えたいまは、自社の資産と契約の実態を棚卸しする好機でもあります。

当社プラチナパートナーズは、成功報酬型のもと、リース・レンタル業を含む中小企業の事業承継・会社売却をご支援しています。資産と契約の整理から、守秘義務を徹底のうえ対応いたします。

本稿の記述は執筆時点(2026年9月)の公表資料に基づきます。最新の情報は各所管官庁の公表をご確認ください。

よくあるご質問

A.顧客がリースを選ぶ理由の一部が変わります。新リース会計基準は2027年4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用されるとされ、2025年4月1日以後開始する事業年度からの早期適用も認められています。最大のポイントは、これまでオフバランス処理が可能だったオペレーティング・リースについても原則として資産・負債として貸借対照表に計上される点です。借手側では総資産が増え、自己資本比率などの財務指標が変わります。今後は資金繰り、事務負担の軽減、機器の管理・入替の容易さといった会計処理以外の価値をどう提示するかが問われます。適用範囲や経過措置は顧問の会計専門家にご確認ください。
A.買い手が必ず確認する項目ですので、先に把握しておくことが重要です。リース・レンタル業は資産を抱える事業であるため、承継の際には財務の中身が特に丁寧に見られます。資産台帳と現物が一致しているか、機種ごとの取得年・簿価・稼働状況はどうか、長期にわたり稼働していない資産が簿価で残っていないか——ここが揃っていないと、評価の見直しを求められて交渉が長引きます。処理するかどうかは税務上の影響も伴いますので、実態の把握を先に済ませたうえで、具体的な処理方法は税理士にご確認ください。
A.扱いは案件ごとに交渉されます。資産を購入するために資金を調達する構造上、この業種では借入残高が大きくなりやすく、金融機関との関係も事業の一部です。整理しておくべきは、借入の残高と条件、金融機関との関係、経営者保証の有無です。参考として、金融庁の公表では経営者保証に依存しない融資の割合は2024年度上期で52%とされています。譲渡にあたって保証をどう解除するかは金融機関との協議事項になりますので、残高と条件の一覧ができた段階で早めに論点として乗せてください。
A.リース期間満了後の物件の処理をどう設計しているかは、収益に影響する要素として説明できます。再リース、中古売却、廃棄のいずれを選ぶかによって回収額が変わり、中古市場での換価性が高い機種を扱っている事業者はこの点で優位に立てます。機種別の実績として、満了後の処理内訳と平均的な回収状況を示してください。あわせて、レンタル事業では機械の整備を自社で行っているかどうかが稼働率と収益性を左右しますので、保守・整備の体制もセットで整理すると、資産効率の説明に厚みが出ます。

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Author & Supervisor

執筆・監修:株式会社プラチナパートナーズ 取締役副社長 神垣 宏康

東京都千代田区(日比谷)のM&A仲介・事業承継アドバイザリーファーム、株式会社プラチナパートナーズ取締役。成功報酬型のもと、中小企業の事業承継・会社売却を初回相談から成約まで一気通貫で支援しています。役員紹介・会社概要はこちら