ライフネット生命保険株式会社は2026年10月15日の取締役会で、株式会社きずな少額短期保険の全株式を取得して完全子会社化することに向け、関係当局の認可取得等を条件とする株式譲渡契約を締結することを決議したと公表しました。本取引を通じて新たに少額短期保険事業を開始する予定です
開示された事実
| 譲受(買い手) | ライフネット生命保険株式会社(7157・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡(売り手) | 個人株主(氏名・所在地は非公開。開示資料は、相手先が個人であるため所在地を非公開としていると記載)。2026年3月31日現在の対象会社の大株主は個人が84.37%、株式会社ハース・ジャパンが10.41%、個人が5.20%で、買い手は筆頭の個人株主がその他の株主から譲渡対象株式を取得することを前提に、同氏から100%の株式を取得する。買い手と当該個人株主との間に記載すべき資本関係・人的関係・取引関係その他特記すべき事項はない |
| 譲渡対象 | 株式会社きずな少額短期保険(少額短期保険業。2022年7月13日設立、資本金9,600万円(資本準備金含む)。2026年3月期の経常収益1,836千円、経常損失22,760千円、当期純損失22,951千円、純資産26,397千円、総資産27,459千円(いずれも対象会社の公開資料に基づく数値)) |
| 所在地 | 愛知県名古屋市中区錦二丁目13番30号 名古屋伏見ビル9階 |
| 手法 | 買い手が対象会社の全株式を取得して完全子会社化する株式取得。関係当局の認可取得等を条件とする株式譲渡契約を締結した。買い手は本取引を通じて新たに少額短期保険事業を開始する予定。開示資料は、2028年度を最終年度とする中期計画で「Tech & Services」「Rebranding」「Embedded」の3つの重点領域を掲げており、Embedded領域ではパートナー企業の経済圏に生命保険をシームレスに届ける取組みを推進しているとしたうえで、パートナー企業のプラットフォーム上で小口で簡便な保険商品へのニーズが高まっており、商品開発およびシステムの両面で高い柔軟性を持つ事業基盤が必要と考え、少額短期保険業の機動性を活かして各経済圏に最適化した商品を迅速に提供することがお客さま体験の向上につながると判断したと記載している。本取引の実行は、保険業法等に基づく少額短期保険業者を子会社とすることの認可等の取得をはじめとする所定の条件が充足されることを前提とする |
| 対価 | 取得株式数は212,620株で、異動前の所有株式数はなし、異動後は212,620株(議決権所有割合100%)となる。取得価額は相手先との取り決めにより非開示。開示資料は、取得価額について買い手内のデューデリジェンスの実施および直近の同様の取引事例をもとに検証を行い、金額の妥当性を確認したうえで合理的に算定していると記載している。少額短期保険事業の開始に向けた支出の見込額は、株式取得やシステム関連投資等を含み約390百万円 |
| 日程 | 取締役会決議日および株式譲渡契約締結日は2026年10月15日、株式譲渡実行日は2027年4月(予定)、事業開始日は2028年度(2029年3月期)第1四半期(予定)。対象会社は2027年度(2028年3月期)第1四半期より買い手の連結子会社となる予定 |
取得株式数は212,620株で、取得後の議決権所有割合は100%となります。取得価額は相手先との取り決めにより非開示です。開示資料は、買い手内のデューデリジェンスの実施および直近の同様の取引事例をもとに検証を行い、金額の妥当性を確認したうえで合理的に算定していると記載しています(出典:ライフネット生命保険株式会社 2026年10月15日公表資料)
少額短期保険事業の開始に向けた支出の見込額は、株式取得やシステム関連投資等を含み約390百万円です(出典:ライフネット生命保険株式会社 2026年10月15日公表資料)
対象会社は愛知県名古屋市で少額短期保険業を営み、2022年7月13日設立、資本金9,600万円(資本準備金含む)です。2026年3月期の経常収益は1,836千円、経常損失22,760千円、当期純損失22,951千円、純資産26,397千円です(出典:ライフネット生命保険株式会社 2026年10月15日公表資料)
株式取得の相手先は個人株主で、所在地は相手先が個人であるため非公開としています。買い手は、筆頭の個人株主がその他の株主から譲渡対象株式を取得することを前提に、同氏から100%の株式を取得します(出典:ライフネット生命保険株式会社 2026年10月15日公表資料)
開示資料は、中期計画で掲げる重点領域のうちEmbedded領域において、パートナー企業のプラットフォーム上で小口で簡便な保険商品へのニーズが高まっており、商品開発およびシステムの両面で高い柔軟性を持つ事業基盤が必要と考え、少額短期保険業の機動性を活かして各経済圏に最適化した商品を迅速に提供することがお客さま体験の向上につながると判断したと記載しています
取締役会決議日および株式譲渡契約の締結日は2026年10月15日、株式譲渡実行日は2027年4月の予定、事業開始日は2028年度第1四半期の予定です。本取引の実行は、保険業法等に基づく少額短期保険業者を子会社とすることの認可等の取得をはじめとする所定の条件が充足されることを前提とします。
出典: ライフネット生命保険株式会社「少額短期保険業者の株式取得(完全子会社化)を通じた新たな事業の開始に関するお知らせ」(2026年10月15日公表)・適時開示
中小企業の経営者は、どう読むか
会社を買う目的が、免許そのものにある取引です。少額短期保険という区分の事業を自分で始めるには登録が要る。既にその登録を持つ会社を買えば、申請から始めるより早い。許認可が要る業種では、会社そのものが通行証になります。
対象の会社は売上がごく小さく、損失が続いています。それでも買い手が付くのは、持っている免許と、これから乗せる商品に値段が付いているからです。自社の決算が小さくても、持っている許認可や登録が相手の入口になることがあります。
注目したいのは、契約から実行まで半年近く置いている点です。当局の認可が条件になっているためです。許認可が絡む譲渡は、当事者が合意しても自分たちだけでは終われません。渡す側は、その期間も事業と免許を維持する義務を負うのが通例です。
売り手の側の形も実務的です。筆頭の個人株主が、まず他の株主から株式を集めてから、買い手に百パーセントを渡す段取りになっています。株主が複数いる会社を売るときは、誰がいつまでに集約するのかを先に決めておかないと、買い手との契約が進みません。
値段は非開示ですが、事業開始までの支出の見込みは公表されています。会社の代金だけでなく、動かすための投資を合わせて見ているということです。買う側は総額で考えます。売る側も、相手の総予算の中で自社の代金がどの位置にあるかを意識しておくとよいでしょう。