会社を売却した年は、引き継ぎや生活の変化が重なり、気づけば確定申告の時期が過ぎていた、ということが起こり得ます。金額が大きい取引であるだけに、申告をしていない状態を放置するのは危険です。本稿では、申告期限を過ぎてしまった場合に生じる負担と、まず何をすべきかを整理します。

※ 本稿は一般的な税制の仕組みをご紹介するものであり、特定の取引に関する税務アドバイスではありません。税制は改正によって変わるため(本稿の記載は2026年8月時点の制度に基づきます)、適用関係は個別の事情によって異なります。実際のご検討にあたっては、必ず最新の情報をご確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。

株式譲渡の申告期限を、まず確認する

個人株主が株式を譲渡した場合、その譲渡所得は、譲渡した年の翌年の確定申告期間(原則として2月16日から3月15日まで)に申告します。給与所得だけの方であれば年末調整で完結しますが、株式の譲渡益がある年は、原則として自ら申告が必要です。

会社員として役員報酬を受け取ってきた経営者の中には、これまで確定申告をしたことがないという方もいらっしゃいます。譲渡の年だけ突然申告義務が生じるため、意識から抜け落ちやすいのです。

また、「代金の一部がまだ入金されていないから、入金後に申告すればよい」と考えてしまうケースもあります。株式の譲渡所得は原則として譲渡があった日の属する年分の所得として課税されますので、入金の時期を基準に判断すると期限を誤ることになります。分割で受け取る場合の考え方は「譲渡代金を分割で受け取る場合の税金」をご覧ください。

期限を過ぎていることに気づいたら、それ以上放置しないことが何より重要です。

期限を過ぎると、何が起きるか

期限後に申告を行う場合、本来納めるべき税額に加えて、申告が期限内に行われなかったことに対する加算税と、納付が遅れたことに対する延滞税の負担が生じます。いずれも、遅れた期間や状況に応じて計算されます。

重要なのは、税務署の調査を受ける前に自主的に申告した場合には、加算税の取り扱いが軽減される仕組みがあるという点です。つまり、気づいた時点で自ら動くかどうかで、最終的な負担が変わります。

加えて、申告がないまま時間が経過すると、住民税の課税も遅れます。後からまとめて通知が届くことになり、所得税の納付と重なって資金の負担が集中するおそれがあります。国民健康保険に加入している場合は、保険料の算定にも影響し得ます。

具体的な税率や計算方法は制度で定められており、状況によって適用も異なります。ご自身のケースについては必ず税理士にご確認ください。

気づいたときに、まずすること

期限を過ぎていることに気づいたら、次の順序で動くのが実務的です。

  • 株式譲渡契約書、代金の入金が分かる記録、取得費の根拠資料を集める
  • 仲介会社への報酬など、譲渡費用となり得る支出の請求書・領収書を探す
  • 税理士に連絡し、状況を正直に伝えて対応を相談する
  • 納付に充てられる資金の見通しを立てる

この段階で大切なのは、金額を過小に見積もらないことです。手元資金が足りるかどうか不安であっても、まず正確な税額を把握しなければ、対応の選択肢を検討することもできません。

顧問税理士が株式譲渡の申告に対応していない場合もあります。その場合は、譲渡所得の申告に慣れた税理士を紹介してもらうことも検討してください。当社でも、必要に応じて税理士等の専門家との連携をお手伝いしています。

納税資金が足りない場合

「申告はしなければならないが、納税資金が手元にない」という状況もあり得ます。譲渡代金を借入金の返済や設備の処分に充ててしまった、分割払いで残額がまだ入っていない、といったケースです。

この場合でも、申告そのものは期限に関わらず行うべきです。申告と納付は別の手続きであり、納付が難しい事情がある場合の取り扱いも制度上用意されています。申告をしないまま放置すると、選べる対応がかえって狭まります。

そもそも、こうした事態を避けるには、譲渡の段階で納税資金を分けて確保しておくことが何より有効です。代金を受け取ったら、まず納税分を別の口座に移しておく。単純ですが、確実な方法です。詳しくは「納税資金をどう準備するか」をご覧ください。

納付が難しい場合の具体的な手続きは、状況によって異なります。自己判断せず、税理士や所轄の税務署に相談してください。

売却の段階で、申告まで段取りしておく

期限後申告に至るケースの多くは、悪意ではなく段取りの問題です。譲渡が終わった時点で申告の準備まで手配しておけば、防げるものがほとんどです。

当社では、クロージングの前後に、翌年の申告に必要な資料の整理と、税理士への依頼の段取りをご確認いただくようお伝えしています。具体的には、契約書一式の保管、報酬に関する書面の保管、取得費の資料の確定、そして申告を依頼する税理士の確保です。

当社の報酬は、相談料・着手金・月額報酬が0円、成功報酬が移動総資産(株式価値+負債総額)を基準とするレーマン方式で最低2,000万円(税別)です。基本合意時の中間金は成功報酬額の10%で、成功報酬から全額を差し引きますが、基本合意後に不成立となった場合、返金はいたしません。報酬に関する書面も、申告の資料として保管しておいてください。

まとめ|放置しない、それが最善の対応

株式の譲渡があった年は、原則として翌年の確定申告期間(2月16日から3月15日まで)に申告が必要です。期限を過ぎた場合には加算税や延滞税の負担が生じますが、調査を受ける前に自主的に申告すれば取り扱いが軽減される仕組みがあります。

気づいた時点で資料を集め、税理士に相談し、正確な税額を把握する。納税資金が足りない場合も、申告自体は行う。この順序を守ることが、負担を最小限にする方法です。

そして最善は、売却の段階で申告まで段取りしておくことです。当社では、譲渡後の手続きまで見据えたご支援を行っています。まずはお気軽にご相談ください。

よくあるご質問

A.放置せず、速やかに資料を集めて税理士にご相談ください。税務署の調査を受ける前に自主的に申告した場合には、加算税の取り扱いが軽減される仕組みがあります。
A.株式の譲渡所得は原則として譲渡があった日の属する年分の所得として課税されます。入金の時期を基準に判断すると期限を誤るおそれがありますので、契約内容を踏まえて税理士にご確認ください。
A.申告と納付は別の手続きです。納付が難しい事情がある場合の取り扱いも制度上用意されていますので、申告をしないまま放置するより、まず申告を行い、税理士や所轄の税務署に相談することをおすすめします。

Free Consultation

申告まで見据えた売却の進め方を、無料でご相談いただけます。

秘密厳守・成功報酬型。税理士等の専門家とも連携して検討をお手伝いします。基本合意時の中間金と成功報酬については料金体系をご覧ください。
メール(info@platinumpartners.jp)でも承ります。

無料相談を申し込む

Author & Supervisor

執筆・監修:株式会社プラチナパートナーズ 取締役副社長 神垣 宏康

東京都千代田区(日比谷)のM&A仲介・事業承継アドバイザリーファーム、株式会社プラチナパートナーズ取締役。成功報酬型のもと、中小企業の事業承継・会社売却を初回相談から成約まで一気通貫で支援しています。役員紹介・会社概要はこちら