「自分は受けられるのか」「受けるべきなのか」——この2つを、公表資料の記載から整理します。

先に答えを書くと、受験資格は設けられていません。 そして受験者の見積りは約1万人。その根拠になっている数字も公表されています。

募集要領が定める「受験者像」

企画競争募集要領は、主な受験対象を次のように定めています。

仲介者・FA等のM&A専門業者又は支援機関(金融機関、士業等専門家、M&Aプラットフォーム等)に所属する仲介・FA業務に関わる者、並びに今後中小M&Aの仲介・FA業務を行おうとする者を主な受験対象とする。また、商工団体や事業会社において中小M&Aに携わる者等についても、受験を広く推奨する想定である。

並べ直すと、対象は5層あります。

  • 仲介会社・FA会社に所属し、仲介・FA業務に関わる人
  • 金融機関で中小M&Aを扱う人
  • 士業等専門家
  • M&Aプラットフォーム事業者
  • 今後、中小M&Aの仲介・FA業務を行おうとする人

さらに、商工団体・事業会社で中小M&Aに携わる人にも受験が推奨されています。

受験資格は設けられていない

公表資料には、実務経験年数や保有資格などの受験要件を設ける旨の記載はありません。

そのうえで、難易度は次のように定義されています。

M&A実務を行っている者であれば、把握しておくことが期待される基本的な水準(一般的な社会人が一定期間の学習を行えば合格できる水準)

「今後行おうとする者」が明記されていることと合わせて読むと、業界に入る前に取れる資格として設計されていることが分かります。 これは、未経験からM&Aアドバイザーを目指す人にとって意味のある変化です。 これまでは「経験がないと評価されない」しかなかったところに、経験の前に示せるものができます。

一方で、科目免除は立ち上げ期には設けられません。 弁護士・税理士・公認会計士などの資格を持っていても、4科目すべてを受験することになります。

受験者は約1万人と見積もられている

募集要領は、受験者数の見積りの根拠をこう書いています。

M&A支援機関登録制度におけるM&A支援業務専従者数等である約10,000人をベースとして見積りを行うこととする。

実際の数字も掲載されています。2026年2月末時点のM&A支援業務専従者数は合計10,616人。主な内訳は次のとおりです。

都道府県専従者数
東京都6,497人
大阪府859人
愛知県377人
福岡県303人
埼玉県199人
神奈川県185人
兵庫県140人

6割以上が東京に集中しています。島根県8人、鳥取県15人、奈良県16人という県もあり、 地域によっては専従者がほとんどいません。中小企業の事業承継は全国の課題ですが、支援する人は偏在している、というのがこの表の意味です。

なお募集要領は、想定以上の受験希望者が出ることも見込んで、会場確保に余裕を持たせるよう運営事業者に求めています。

受けるべきかどうか|判断材料になる2つの検討事項

現時点で義務化の決定はありません。ただし、資料2には注視すべき記載が2つあります。

ひとつは、中小M&Aガイドラインの側での検討です。

「M&A支援機関登録制度」の登録機関に対して、自社の担当者への当該資格取得の推奨や重要事項説明を当該資格保持者が行うことを求めるなど、資格の浸透を通じた市場の健全化を図ることを検討。

重要事項説明は、秘密保持契約の締結時とアドバイザリー契約の締結時に行われる、案件の入口の手続きです。 これを資格保持者が行うことになれば、資格がないと案件を受けられない場面が生まれます。

もうひとつは、合格者登録制度です。登録すると氏名がデータベースで公表されます。 依頼者の側から見れば、担当者の名前で検索できるようになるということです。

この記事について(出典と免責)

本記事は、中小企業庁が公表した資料をもとに、株式会社プラチナパートナーズが作成したものです。 本試験の実施主体・運営事業者が作成・監修・承認したものではありません。

試験の名称・科目構成・出題数・出題範囲・合格基準・実施時期等は、2026年9月時点で公表されている 検討会資料および企画競争募集要領に「想定」「現状案」として示された内容です。 試験名は資料上「中小M&A資格試験(仮称)」と表記されています。 実際の試験と異なる可能性がありますので、受験にあたっては必ず中小企業庁および試験運営事業者の 公式の試験案内をご確認ください。

出典:「中小M&A市場の改革に向けた方向性について」(中小企業庁・第4回 中小M&A市場の改革に向けた検討会 資料2、2026年3月17日)/ 同 資料3「試験科目詳細」/ 「令和7年度補正中小企業活性化・事業承継総合緊急支援事業(中小M&A資格試験実施事業)に係る企画競争募集要領」(中小企業庁、2026年3月27日) をもとに当社が作成。

よくあるご質問

A.公表資料に受験要件を設ける旨の記載はありません。主な受験対象は仲介者・FA等のM&A専門業者や支援機関(金融機関、士業等専門家、M&Aプラットフォーム等)に所属し仲介・FA業務に関わる者、および今後中小M&Aの仲介・FA業務を行おうとする者とされています。
A.「今後中小M&Aの仲介・FA業務を行おうとする者」が主な受験対象に明記されています。難易度も「一般的な社会人が一定期間の学習を行えば合格できる水準」と定義されています。
A.募集要領はM&A支援機関登録制度におけるM&A支援業務専従者数(2026年2月末時点で10,616人)をベースに、約10,000人を想定して見積もるとしています。
A.2026年9月時点で義務化の決定はありません。ただし資料2には、M&A支援機関登録制度の登録機関に対し、担当者への資格取得の推奨や重要事項説明を資格保持者が行うことを求める方向を検討する旨が記載されています。

Book

この試験の勉強に使えるもの:試験範囲マップ|251項目と当社コラムの対応表で、どの項目にどの記事が対応しているか(と、当社が書けていない項目)を一覧できます。

中小M&A資格試験 合格問題集|一次資料で解く、全300問

当社取締役副社長 神垣宏康が執筆した問題集です。中小M&Aガイドライン第3版・知識スキルマップ・検討会資料「試験科目詳細」といった公表資料だけから全300問を作成し、全問に出典を明記しています。

本編180問(M&A実務55/市場動向・政策17/財務・税務37/法務32/倫理・行動規範39)+本試験と同じ60問・科目配分の模擬試験2回120問。各問に解説と出典。禁忌肢が想定される問題の明示と、付録に禁忌肢チェックリスト。付録の出題範囲対応表は、資料3の小項目から問番号を引ける形にしてあります。

中小M&A資格試験 合格テキスト|一次資料で体系的に学ぶ、4科目の要点

同じシリーズの基本書です(2026年10月3日刊行)。序章で制度創設の経緯・4科目と配点・合格基準・禁忌肢・CBTでの実施形式・学習プランを示し、第1章 M&A実務/第2章 中小M&A市場動向・中小企業政策/第3章 財務・税務/第4章 法務/第5章 倫理・行動規範の順に解説しています。付録は用語集・重要数値一覧・スキーム比較表・出題範囲対応表・学習記録シート。数値・期間・条文には出典を併記し、制度の数値は2026年10月1日時点です。

問題集で問われ方を確かめ、間違えた問から本書の該当節に戻る形を想定しています。付録の出題範囲対応表が、2冊の往復の索引になります。

本書は試験の実施主体・運営事業者が作成・監修したものではありません。制度の内容は2026年9月時点の公表資料に基づく「想定」「現状案」です。受験にあたっては公式の試験案内をご確認ください。

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Author & Supervisor

執筆・監修:株式会社プラチナパートナーズ 取締役副社長 神垣 宏康

東京都千代田区(日比谷)のM&A仲介・事業承継アドバイザリーファーム、株式会社プラチナパートナーズ取締役副社長。中小企業の事業承継・会社売却を初回相談から成約まで一気通貫で支援しています。役員紹介・会社概要はこちら