精密減速装置を手がけるハーモニック・ドライブ・システムズは2024年10月8日、取締役会決議にもとづき、自社の主要株主である会社との連合により、2024年7月24日付で東京地方裁判所に民事再生手続の開始を申し立てた株式会社ハタ研削との間で、同社の事業に係る事業譲渡契約を締結したと公表しました。

開示された事実

譲受(買い手)株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ(主要株主との共同出資で新設する受皿会社が譲受)(6324・東証スタンダード)
譲渡対象株式会社ハタ研削の事業(精密機械・治工具・測定機器・電気電子部品・光通信関連部品の設計製造販売(難削材の高精度研削加工))
所在地長野県安曇野市
手法事業譲渡(民事再生手続中の会社の事業を、共同出資で新設する受皿会社が譲り受ける。民事再生法第42条に基づく裁判所の許可等を前提条件とする)
対価非公表(開示資料に譲渡価額の記載なし)
日程事業譲渡契約締結 2024年10月8日/事業譲渡実行 2024年10月31日(予定・民事再生法に定められた裁判所の許可等を前提)

開示資料によれば、民事再生法第42条に規定する事業譲渡にかかる裁判所の許可等を前提条件として、同社と主要株主の共同出資により新設する受皿会社が対象会社の事業を譲り受ける予定です。受皿会社への出資は同社が30%程度、主要株主が70%程度とする予定で、対象会社の従業員については受皿会社において継続雇用することを基本方針としているとしています(出典:株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ 2024年10月8日公表資料)。

対象会社は1979年9月設立、資本金60百万円、売上高800百万円(2024年1月期)で、セラミックス・ガラス・ニッケル合金などの難削材を中心に高精度研削加工に強みを持ち、産業用機械部品や半導体製造装置用部品の加工・製造と、光通信関連部品の製造を手がけています(出典:株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ 2024年10月8日公表資料)。

支援の理由として同社は、自社製品である精密減速装置の重要な部品について対象会社から長年にわたり供給を受けており、品質・価格・納期を高い次元で実現できる同社との取引関係は安定的な供給網を維持・発展するうえで欠くことのできないものであること、主要株主との連合により対象会社の事業再生を支援することが自社の企業価値の維持・向上に資すると判断したことを挙げています。

出典: 株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ(TDnet適時開示。TDnetでの公開期間が終了しているため、URLは株探が保存する原本PDF)「株式会社ハタ研削の再生支援に係る事業譲渡契約締結のお知らせ」(2024年10月08日公表)

中小企業の経営者は、どう読むか

裁判所に再生手続を申し立てた会社の事業が、その仕入先である上場企業に引き継がれています。手続に入ったあとでも、事業そのものに買い手がいれば続きます。資金が回らなくなった時点で終わりではないということです。

買い手が動いた理由は、自社の部品を作っている会社だったからです。その会社が止まれば自社の製品も作れません。仕入先の窮境は、買い手にとって自社の問題でもあります。取引先に支えられて続くという道筋は、実際にあります。

手続の中での事業譲渡なので、裁判所の許可が前提条件として明記されています。当事者だけでは日程も内容も決められません。再生の局面では、債権者と裁判所という当事者以外の関係者が入るため、通常の譲渡とは進め方が変わります。

会社の株式ではなく事業を、しかも新しく作る会社に移す形です。過去の債務を引き継がずに事業だけを動かすためで、再生の局面ではよく使われます。従業員を継続雇用することが基本方針として明記されている点も、この形の要点です。

出資は買い手が少数で、主要株主のほうが多く持ちます。一社で抱えるのではなく、複数で分担する形です。規模の大きい相手が単独で背負わない判断をすることもあり、売る側から見れば相手が一社に限られないということでもあります。

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本記事は、各社が公表した適時開示資料などの一次情報を当社が要約したものです。当社の成約実績ではなく、当社が関与した案件でもありません。記載の事実は公表日時点のもので、その後変更されることがあります。詳細は出典の資料をご確認ください。