SNSマーケティングを強みにアパレルブランドを運営するyutoriは2024年11月13日、アパレルブランド「over print」を運営する株式会社えをかくの株式を取得し、完全子会社化することを決議したと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社yutori(5892・東証グロース) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社えをかく(アパレルブランド「over print」の企画、運営) |
| 所在地 | 大阪府大阪市福島区 |
| 手法 | 株式取得(完全子会社化)。対象会社の代表者である個人株主から全株式を取得 |
| 対価 | 非公表(開示資料に取得価額の記載なし) |
| 日程 | 取締役会決議・契約締結・株式譲渡実行 いずれも2024年11月13日/みなし取得日 2024年12月31日 |
対象会社は2021年10月15日設立、資本金9百万円で、公表時点の大株主は代表者が100.00%を保有していました。買い手は900株を取得し、議決権所有割合は100.0%となります。取得価額の記載はありません(出典:株式会社yutori 2024年11月13日公表資料)。
取得の理由として買い手は、2018年の創業以来SNSマーケティングを強みにストリートブランドを中心に複数のアパレルブランドを運営してきたこと、2023年12月に東京証券取引所グロース市場へ新規上場したことを挙げ、成長戦略である「アパレル×Z世代の強化」を目的としていると記載しています(出典:株式会社yutori 2024年11月13日公表資料)。対象会社のブランドは海外向けの販売も強く、アジアを中心に海外展開していく自社との親和性が高いとしています。
両社が蓄積してきたブランド運営、商品企画、マーケティングのノウハウを互いに共有し、生産・物流管理業務及びバックオフィス業務の連携により効率的なグループ運営を目指すとしています。取締役会決議、契約締結、株式譲渡実行はいずれも同じ日付です。
対象会社は2024年12月31日をみなし取得日として連結子会社となり、連結業績への取り込みは2025年3月期第4四半期からの予定です。2025年3月期の連結業績に与える影響は軽微としています(出典:株式会社yutori 2024年11月13日公表資料)。
中小企業の経営者は、どう読むか
設立から三年ほどの会社が、上場企業のグループに入っています。歴史の長さや規模ではなく、そのブランドが誰に届いているかが引き継ぐ理由になっています。創業から日が浅い、社員が少ない、という点は、それだけで不利にはなりません。
買い手が挙げているのは、自社の成長戦略にその区画が足りていないという話です。同じ業界のなかで、自社が持っていない客層やブランドを持つ会社を迎える形です。自社の立ち位置を「誰に売っているか」で言えると、探している買い手の側から見つけてもらいやすくなります。
取締役会の決議、契約の締結、株式の譲渡実行が同じ日に並んでいます。株主が一人で、許認可の手続も必要ない場合、この形が取れます。株主が分かれている、許認可を引き継ぐ必要がある、といった事情があると日程は伸びます。自社がどちらなのかは早い段階で分かります。
取得価額は開示されていません。上場企業が買い手でも、金額が小さければ開示が求められないことがあります。同業の事例から自社の金額を推し量ろうとしても、そもそも出ていない数字が多いということです。
買い手は、ブランド運営と商品企画のノウハウを互いに共有すると書いています。引き継いだあとに何をするかを、買い手は買う前から考えています。譲渡の話をするときに、相手がその後どうするつもりなのかを聞いておくと、従業員に説明できる材料になります。