宝ホールディングスは2024年10月3日、子会社である宝酒造インターナショナルの傘下2社が、国内の鮮魚仲卸2社とフィンランドの食品卸1社の発行済株式をそれぞれ100%取得し、取得を完了したと公表しました。決議は2024年9月25日の取締役会です。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 宝ホールディングス株式会社(子会社 宝酒造インターナショナルの傘下2社が取得)(2531・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社築地太田/オータフーズマーケット株式会社/Agrica Ab(フィンランド)(豊洲市場内の鮮魚仲卸・その輸出業務/食品卸売業) |
| 所在地 | 東京都江東区豊洲/フィンランド・ポルヴォー市 |
| 手法 | 株式取得(1本の開示で2件。米国子会社が国内2社の発行済株式100%、英国子会社がフィンランド1社の発行済株式100%を取得) |
| 対価 | 非公表(開示資料に「相手先との守秘義務に基づき非開示」と記載) |
| 日程 | 子会社の取締役会決議 2024年9月25日/株式取得は完了(公表 2024年10月3日) |
開示資料によれば、米国で日本食材卸を行う子会社が株式会社築地太田の400株とオータフーズマーケット株式会社の800株(いずれも議決権所有割合100%)を取得し、英国で日本食材卸を行う子会社の親会社が Agrica Ab の発行済株式100%を取得しました。取得価額はいずれも相手先との守秘義務に基づき非開示です(出典:宝ホールディングス株式会社 2024年10月3日公表資料)。
築地太田は1956年2月設立(創業1950年)、資本金20,000千円、従業員42名で、東京都豊洲市場内の鮮魚仲卸です。オータフーズマーケットは2014年6月設立、資本金8,000千円、従業員4名で、築地太田の輸出業務を担っています。両社の株式はいずれも同一の個人が100%保有していました。売上高は築地太田が直近3期で1,144,047千円、1,705,682千円、2,301,235千円、オータフーズマーケットが1,108,741千円、2,012,865千円、2,595,904千円です。売上高以外の業績と財政状態は相手先との守秘義務に基づき非開示とされています(出典:宝ホールディングス株式会社 2024年10月3日公表資料)。
Agrica Ab は1993年9月設立、資本金10,000ユーロ、従業員53名で、フィンランドのポルヴォー市に本拠を置き食品卸売業を営んでいます。株式は個人4名がそれぞれ26.67%、26.67%、26.67%、20.00%を保有していました(出典:宝ホールディングス株式会社 2024年10月3日公表資料)。
取得の理由として同社は、中期経営計画で北米・欧州での日本食材卸の拠点拡大を推進していること、鮮魚の安定的な調達ルートを確保し米国子会社の販売ネットワークを活用して日本産の鮮魚を全米に展開すること、将来的に欧州・豪州への輸出も拡大すること、フィンランドの会社を通じて北欧全域を視野に入れた市場開拓を本格化させることを挙げています。
中小企業の経営者は、どう読むか
市場の中で仲卸をする会社と、その輸出を担う会社が、同じ人の持ち物として並んでいました。商売の流れに合わせて会社を分けている形です。買い手は両方をまとめて取得しています。会社を分けて営んでいる場合、どこまでが一体で価値を持つのかを整理しておくと、相手も判断しやすくなります。
開示されたのは売上高だけで、利益と財政状態は守秘義務により非開示です。上場企業が買い手でも、売り手の希望で出す項目を絞れます。数字を全部知られたくないという要望は、この粒度で通っています。
買い手が求めたのは、仕入れそのものでした。売る力は自分たちが持っていて、足りないのは安定して仕入れられるルートだという構図です。自社が誰かの仕入れ口になれるかという見方をすると、思っていなかった相手が候補に入ります。
フィンランドの会社は、株主が数名でほぼ均等に分かれていました。持分が分散していると、全部を集めるための合意形成が交渉とは別の作業になります。家族や創業メンバーで均等に持っている会社では、早めに足並みを確認しておくことになります。
一本の開示が、国内と海外の複数の取得をまとめて伝えています。グループで同時期に複数の取得を進める会社では、開示も束ねられます。買い手の動きを追うときは、一本の開示に複数の取引が入っていることを前提に読むことになります。