食品の製造販売を手がけるサンクゼールは2024年10月8日、米国子会社のSt. Cousair, Inc.が、フルーツジャムなどの加工食品事業を営むBonnie's Enterprises, LLCを取得したと公表しました。開示は英文で行われており、取得日は2024年10月4日と記載されています。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社サンクゼール(米国子会社 St. Cousair, Inc. が取得)(2937・) |
|---|---|
| 譲渡対象 | Bonnie's Enterprises, LLC(フルーツジャム・ゼリーの自社ブランドの開発・販売) |
| 所在地 | 米国マサチューセッツ州 |
| 手法 | 事業買収(加工食品販売事業の取得) |
| 対価 | 非公表(開示資料に取得価額の記載なし) |
| 日程 | 2024年10月4日 取得(2024年10月8日公表) |
開示資料によれば、買い手グループは久世福商店やサンクゼールを含む食の専門小売チェーンを国内外で約170店舗運営しています。米国子会社は販売機能に加えて商品開発機能と自社の製造設備を持ち、米国の工場で作った商品と日本から輸入した商品を米国のスーパーマーケットで販売しています(出典:株式会社サンクゼール 2024年10月8日公表資料)。取得価額は開示資料に記載がありません。
買い手は2023年6月にPortlandia Foods, Inc.の加工食品事業を取得しており、今回はそれに続く米国市場での取得と説明しています。今回の取得により、対象事業の販売網を得られること、既存の販路との併売ができること、商品を自社で製造することで製造の効率が上がることを挙げています。
対象事業は米国マサチューセッツ州を拠点に、自社ブランドのフルーツジャムとゼリーの開発・販売を手がけています。主力のフルーツジャムは通常のジャムに比べて砂糖の使用量を抑え、果実の比率を高めていること、チーズに合う独自の風味を揃えており、米国のチーズ専門店やスーパーマーケットで販売されていることが記載されています(出典:株式会社サンクゼール 2024年10月8日公表資料)。
中小企業の経営者は、どう読むか
買い手は同じ国で、同じような加工食品の事業を続けて取得しています。一度目で現地の製造と販売のしくみを手に入れ、二度目でそこに載せる商品を足した形です。買い手が既に似た会社を買っていると、引き継ぎの段取りが分かっているので、話が早く進むことがあります。
取得の理由として挙げられているのは、相手の販売網と、自社の設備で作れるようになることでした。つまり買い手は、商品と顧客を買って、作る場所は自分のものを使うという組み立てです。売り手の設備が古くても、買い手にその工程がある場合には、価格の話の中心がブランドと販路に移ります。
対象は会社そのものではなく事業です。事業を単位にして買う場合、契約や従業員や許可は自動では移らず、一つずつ移し替える作業が必要になります。誰と、どんな契約を結んでいるのかの一覧は、この形の取引では特に早く求められます。
自社ブランドの持ち主が創業者である会社では、その人の名前や顔が商品の値打ちの一部になっていることがあります。譲渡のあともブランド名を残すのか、創業者が何らかの形で関わり続けるのかは、条件として書いておくところです。