青果の売場構築支援を手がけるイーサポートリンクは2024年10月22日、取締役会において、株式会社フロンティアから事業の一部を譲り受ける条件交渉を開始することを決議したと公表しました。決定でも基本合意でもなく、条件交渉の開始です。
開示された事実
| 譲受(買い手) | イーサポートリンク株式会社(2493・東証スタンダード) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社フロンティアの食品流通販売事業のうち青果流通販売に関する事業(青果売場構築支援事業) |
| 所在地 | 宮城県仙台市 |
| 手法 | 事業譲渡(事業の一部を譲り受ける条件交渉を開始することを決議。譲受の対象範囲も価格も未確定) |
| 対価 | 未確定(開示資料に「譲受金額に関しましては、現時点では未確定」と記載) |
| 日程 | 取締役会決議 2024年10月22日(条件交渉の開始。以降の日程は未定) |
開示資料によれば、譲受の対象は譲渡元の食品流通販売事業のうち青果流通販売に関する事業のみで、譲受事業の売上高・営業利益は現時点で未確定、譲受金額も未確定とされています。本件事業に関する資産は売場設置用のカメラや通信機器等ですが、譲受の対象とするかも現時点では未確定で、負債は譲受の対象に含まれない見込みとしています(出典:イーサポートリンク株式会社 2024年10月22日公表資料)。
譲渡元の株式は個人1名が100%保有しており、同社との間には青果流通販売の取引関係があると記載されています(出典:イーサポートリンク株式会社 2024年10月22日公表資料)。
譲受の理由として同社は、青果物を扱っていない店舗に新たに青果売場を取り入れることで売上や集客の向上につなげる売場構築を支援していること、譲受を予定する事業が自社と取引のない多くの顧客にサービスを提供し、自社が未参入の地域で事業を展開していること、新たな販売チャネルの確保と青果の商流増加が見込まれることを挙げています。
中小企業の経営者は、どう読むか
この開示は「条件交渉を始める」という段階のものです。譲り受ける範囲も、資産を含めるかも、値段も決まっていません。基本合意よりさらに前の段階でも公表されることがあるということです。
つまり、公表されたからといって成立するとは限りません。売る側も買う側も、この段階では引き返せます。逆にいえば、公表を先に済ませておけば、従業員や取引先への説明を段階的に進められるという面もあります。
譲り受ける対象が「食品流通販売事業のうち青果流通販売に関する事業のみ」と絞られています。会社ではなく事業の一部を、しかも線を引いて渡す形です。複数の商品を扱う会社が、一部だけを手放すときの標準的な組み方です。
負債は譲受の対象に含まれない見込みとされています。事業譲渡では、渡すものと残すものを契約で決められます。渡す側には、残った負債をどう処理するかという別の課題が生まれます。
買い手と譲渡元は、もともと青果の取引関係にありました。取引を通じて相手の顧客と地域を知っていたということです。取引先は、承継の相手としてもっとも情報を持っている候補です。