半導体・FPD向けの部品加工を手がけるマルマエは2025年3月4日、取締役会において、投資ファンドの運営会社が管理・運営その他関与するファンドなどからKMアルミニウム株式会社の株式100%を、今後設立する特別目的会社を通じて取得する株式譲渡契約を締結することを決議したと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社マルマエ(今後設立する特別目的会社を通じて取得)(6264・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | KMアルミニウム株式会社(アルミニウムのインゴット・ビレット・スラブ・合金の製造販売、高純度アルミニウム地金の製造販売(半導体スパッタリングターゲット用の超高純度アルミニウム製品ほか)) |
| 所在地 | 福岡県大牟田市 |
| 手法 | 株式取得(ファンドなどから株式100%を、買い手が今後設立する特別目的会社を通じて取得) |
| 対価 | 普通株式9,000百万円、アドバイザリー費用等の概算額90百万円、合計の概算額9,090百万円 |
| 日程 | 取締役会決議・契約締結 2025年3月4日/株式譲渡実行日 2025年4月8日(予定) |
開示資料によれば、取得株式数は13,062,703株で議決権所有割合は100%、取得価額は普通株式が9,000百万円、アドバイザリー費用等の概算額が90百万円、合計の概算額は9,090百万円です。対象会社の株式は4つのファンドがそれぞれ28.1%、23.5%、23.5%、23.4%を保有し、対象会社の取締役4名が1.5%を保有しています(出典:株式会社マルマエ 2025年3月4日公表資料)。
対象会社は1989年2月設立、資本金1,363百万円で、半導体スパッタリングターゲット用の超高純度アルミニウム製品、アルミ電解コンデンサー用の高純度アルミニウム製品、低圧鋳造鋳物製品、アルマイト製品、鍛造材等の製造販売を行っています。売上高は直近3期で12,746百万円、12,014百万円、8,588百万円、営業利益は1,331百万円、1,629百万円、921百万円です。近年は売上高が大きくても付加価値の低い素材事業の受注を縮小していると記載されています。開示時点で同社との間に仕入および販売に関する取引があるとしています(出典:株式会社マルマエ 2025年3月4日公表資料)。
取得の理由として同社は、中期事業計画で半導体製造装置用の消耗品を伸ばす戦略を掲げているものの、レガシー半導体製造装置部品については業界のルールもあり先駆企業のシェアを崩せずにいたこと、対象会社の超高純度アルミニウム製品や低圧鋳造鋳物製品が高いシェアを持ち、自社の消耗品の拡充とレガシー分野の補完を両立できることを挙げています。
中小企業の経営者は、どう読むか
買い手は、自社が直接株式を持つのではなく、これから作る特別目的会社を通じて取得するとしています。買収のためだけに会社を作る方法で、借入を使う場合などに用いられます。買い手がどの器で株式を持つかによって、売り手側の契約相手も変わります。誰と契約するのかは最初に確認する項目です。
株式を持っていたのは複数のファンドと、対象会社の取締役たちでした。役員がわずかに株式を持つ形は、ファンドの傘下にある会社でよく見られます。会社が動くときには、この少数の株式もあわせて動くことになります。
対象会社は、売上が大きくても付加価値の低い事業を自ら縮小していました。その結果として売上は減っていますが、買い手はその方向を評価しています。売上の大きさよりも、どの事業で稼いでいるかを見られるということです。売却を考えるなら、事業ごとの利益を分けて示せるようにしておくことになります。
買い手が抱えていた課題は、業界の慣行によって新規参入が難しい分野でシェアを取れないことでした。その分野で実績を持つ会社を引き継ぐことで、時間を買っています。参入障壁の内側にいる会社は、外にいる会社にとって価値があります。