自動車の装備品を製造するイクヨは2025年3月26日、取締役会において株式会社アプレの株式の53.81%を取得し、子会社化することを決議したと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社イクヨ(7273・東証スタンダード) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社アプレ(貴金属の買取り、販売等(スクラップを含む多様な貴金属の仕入、精錬、リユース)) |
| 所在地 | 東京都台東区 |
| 手法 | 株式取得(投資事業有限責任組合から株式の53.81%を取得し子会社化。残りの株式は株主との協議が整った場合に取得する可能性があると記載) |
| 対価 | 最大3,860百万円を予定(取得にかかる諸費用等を含む。基準時点の株式価値に取得日までの資産・負債等の変動に応じた調整を行ったうえで最終決定) |
| 日程 | 取締役会決議 2025年3月26日/株式譲渡契約締結日 2025年3月31日/株式譲渡実行日 2025年8月末日 |
開示資料によれば、取得株式数は606,273株で取得後の議決権所有割合は53.81%、取得価額は最大3,860百万円を予定しており、取得にかかる諸費用等を含むこと、基準時点の株式価値に取得日までの資産・負債等の変動に応じた調整を行ったうえで最終決定することが注記されています。譲渡元は投資事業有限責任組合で、残りの株式は対象会社の代表者が保有しており、今後株主との協議が整った場合には取得する可能性があるとしています。株式の取得資金は手元資金で対応する予定です(出典:株式会社イクヨ 2025年3月26日公表資料)。
対象会社は1998年2月設立、資本金80百万円で、売上高は直近3期で78,681百万円、119,947百万円、163,732百万円、営業利益は676百万円、942百万円、921百万円です(出典:株式会社イクヨ 2025年3月26日公表資料)。
取得の理由として同社は、自動車業界が電動化促進など構造変革の時代を迎えていること、資源循環の取り組みを重要な項目としていること、スクラップを含めて多様な貴金属の仕入・精錬・リユースに強みを持つ対象会社をグループに取り込むことが、将来のバッテリ式電気自動車をベースとしたレアアースのサプライチェーン進出への布石になると考えていることを挙げています。
開示資料には、業界を限定せず事業戦略に沿ったM&Aのために情報収集をしていたところ、同社代表者が以前勤務していた証券会社の知人からファンド運営会社の紹介を受け、そのファンドが株式を保有していた対象会社を紹介され、翌月中旬に協議を開始した経緯が記載されています。その後、第三者機関からの株式価値算定書とデューデリジェンス報告書を参考に諸条件を検討して決定に至ったとしています。
出典: 株式会社イクヨ(TDnet適時開示。TDnetでの公開期間が終了しているため、URLは株探が保存する原本PDF)「株式会社アプレの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」(2025年03月26日公表)
中小企業の経営者は、どう読むか
開示に、相手と出会った経緯が具体的に書かれています。代表者の元同僚からファンドの運営会社を紹介され、そのファンドが持っていた会社を紹介された、という流れです。仲介会社を通さない紹介の連鎖でも案件は成立します。ただしこの経路は相手の数が限られるため、比べる機会は少なくなります。
取得したのは過半を少し超える分だけで、残りは対象会社の代表者が持ち続けます。開示では、今後協議が整えば取得する可能性があるとしています。いきなり全部を渡さず、経営に残りながら段階的に移る形です。残った株式をいつどう扱うかを最初に決めておかないと、後で立場が曖昧になります。
価格が「最大」という形で示され、実行日までの資産・負債の変動に応じて調整すると書かれています。契約から実行まで数か月あるため、その間の増減を精算する仕組みです。渡す側にとっては、実行までの資金の動かし方が最終の受取額に響くということです。
契約から実行まで五か月近くが置かれています。買い手が上場企業で、対象会社の規模も大きいため、手続きや条件の充足に時間がかかります。譲渡を決めてもすぐに現金が入るわけではないという前提で、資金計画を立てておくことになります。