仮設機材や物流機器を手がける信和は2025年4月7日、株式会社凰金属工業との株式譲渡契約を締結することを2025年4月4日の取締役会で決定し、2025年5月1日付で子会社化することにしたと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 信和株式会社(3447・東証スタンダード・名証プレミア) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社凰金属工業(アルミサッシの加工および部材加工) |
| 所在地 | 岐阜県海津市 |
| 手法 | 株式取得(個人株主7名から全株式を取得し子会社化) |
| 対価 | 非公表(開示資料に「売主個人の所得に関する情報となるため相手先の要請により非公開。第三者機関による収益還元法の評価をもとに決定。直前連結会計年度末の連結純資産の15%未満に該当」と記載) |
| 日程 | 取締役会決議・契約締結 2025年4月4日(公表 4月7日)/2025年5月1日付で子会社化 |
開示資料によれば、取得株式数は6,400株で取得後の議決権所有割合は100.0%です。取得価額は売主個人の所得に関する情報となるため相手先の要請により非公開としつつ、公平性・妥当性を確保するため第三者機関による収益還元法の評価をもとに決定し、自社の直前連結会計年度末の連結純資産の15%未満に該当するとしています。株式の取得先は個人7名で、住所は相手先の要請により非開示です。対象会社は1977年4月設立、資本金1,000万円で、売上高は直近3期で332百万円、342百万円、385百万円、営業利益は30百万円、21百万円、38百万円です(出典:信和株式会社 2025年4月7日公表資料)。
対象会社はアルミの加工・組立に特化した事業を行い、取引先から高い加工技術に加え、製品開発段階から携わることによる工程の提案が評価されていると記載されています。
取得の理由として同社は、中期経営計画で既存事業との相乗効果が期待できる分野への投資を掲げていること、自社は鉄鋼材の加工・組立を主力としており対象会社のアルミ加工事業を取り入れて技術交流を深めることで高いレベルの技術習得や提案を実現できると考えていること、物流機器部門でアルミ素材を活かした提案を加えることで案件獲得につながることを挙げています。
中小企業の経営者は、どう読むか
取得価額を非開示にした理由が「売主個人の所得に関する情報となるため」と明記されています。価格が出れば、売主がいくら受け取ったかが分かってしまうという配慮です。譲渡代金を公にされたくないという希望には、こうした根拠の立て方があります。
価格の算定に収益還元法が使われています。会社が生み出す利益をもとに価値を測る考え方で、純資産の額とは別の物差しです。設備や在庫が少なくても、安定して利益が出ているなら値段はつきます。
株主が七名に分かれています。創業から半世紀近く経っている会社では、相続などを経て株式が広がっていることが珍しくありません。全員から同意を得るには時間がかかるので、譲渡を考え始めた時点で株主名簿を確かめることになります。
買い手は鉄を扱う会社で、対象会社はアルミを扱う会社です。同じ金属加工でも素材が違えば技術も設備も別です。買い手が「自社にない素材」を求めていることは、素材や加工の種類で差別化してきた会社にとって追い風になります。