ブラザー工業は2024年3月13日、ローランド ディー.ジー.株式会社の普通株式を公開買付けにより取得することを決定したと公表しました。対象は対象者株式の全て(対象者が所有する自己株式を除く)で、東証プライム市場に上場している対象者株式を非公開化することを目的とする一連の取引の一環です。開始は前提条件の全てが充足されたことを条件として、2024年5月中旬を目途としています。
開示された事実
| 譲受(買い手) | ブラザー工業株式会社(6448・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡(売り手) | 応募株主(公開買付け) |
| 譲渡対象 | ローランド ディー.ジー.株式会社(東証プライム・コード6789)(プリンター製造販売業) |
| 所在地 | 静岡県浜松市 |
| 手法 | 公開買付けの開始予定。対象者株式の全て(対象者が所有する自己株式を除く)を取得して非公開化することを目的とし、成立後に株主を公開買付者のみとするスクイーズアウト手続を行う。開始は前提条件(競争法令等の手続完了・未公表の重要事実を認識していないこと・財政状態への重大な悪影響がないこと・先行する別の公開買付けが成立していないこと)の全てが充足された場合 |
| 対価 | 1株当たり5,200円。先行する別の公開買付け(マネジメント・バイアウトのための一連の取引の一環として実施されているもの)の買付価格1株5,035円より165円高い価格。買付予定数12,319,293株に対する買付代金は64,060,323,600円(予定) |
| 日程 | 2024年3月13日 公表/2024年5月中旬を目途に公開買付けを開始(前提条件の充足を条件)/公開買付期間は30営業日を予定(法令上の最短20営業日より長い) |
公開買付価格は1株当たり5,200円です。開示資料は、これが別の会社による先行する公開買付けの買付価格1株当たり5,035円より165円高い価格であると記載しています。先行する公開買付けは、対象者株式の全てを取得して非公開化することを目的として、マネジメント・バイアウトのための一連の取引の一環として実施されるものと記載されています(出典:ブラザー工業株式会社 2024年3月13日公表資料)
買付予定数は12,319,293株、買付予定数の下限は6,159,600株(所有割合50.00%)で、応募株券等の総数が下限に満たない場合は全部の買付け等を行いません。買付代金は64,060,323,600円(予定)で、買付予定数に公開買付価格を乗じた金額と記載されています(出典:ブラザー工業株式会社 2024年3月13日公表資料)
開始の前提条件は4つで、①国内外の競争法令等及び投資規制法令等に基づき必要となる手続が全て完了し、又は公開買付期間の末日までに完了することが合理的に見込まれると公開買付者が判断していること、②対象者が公表していない重要事実を公開買付者が認識していないこと、③対象者の財政状態に重大な悪影響を与える事由が生じていないこと、④先行する公開買付けが成立していないこと(継続している状態にあることを含む)です。放棄できるのは③に限ると記載されています。
公開買付期間は30営業日を設定する予定です。開示資料は、これが法令に定められた最短期間である20営業日に比して長い期間であると記載しています。期間中に応募株券等の総数が下限に達した場合は、その旨を公表した上で、その時点から公開買付期間として10営業日を確保できるよう期間を延長する予定とされています。
対象者は、所在地が静岡県浜松市浜名区新都田一丁目1番2号、事業内容がプリンター製造販売業、資本金が3,889百万円、設立年月日が1981年5月1日です。2023年12月31日現在の発行済株式総数は12,319,911株、対象者が所有する自己株式数は518株と記載されています(出典:ブラザー工業株式会社 2024年3月13日公表資料)
公開買付者は、2024年3月12日に市場取引の方法により当時の市場株価1株当たり5,020円で対象者株式100株を取得する旨を約定し、公表日現在その取得手続を完了していると記載されています。所有割合は0.00%です(出典:ブラザー工業株式会社 2024年3月13日公表資料)
出典: ブラザー工業株式会社「ローランドディー.ジー.株式会社株式(証券コード:6789)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(2024年03月13日公表)
中小企業の経営者は、どう読むか
同じ会社に、二つの買い手が別々の値段を出している状態です。あとから出たほうが高いです。
先に動いていたのは経営陣による買収で、こちらは事業会社からの買付けです。
上場会社では、こういう競り合いが起こります。株主は高いほうを選べます。
中小企業の譲渡でも、相手を一社に絞る前に複数と話すかどうかで結果が変わります。
一社だけと話すと、値段が相手の言い値になります。比べる相手がいないからです。
ただし複数と話せば、情報が広がる危険も増えます。どちらを重く見るかは売り手が決めます。
この買付けには、先に動いている買付けが成立していないことが条件として付いています。
買付期間も、法令の最短より十営業日長く取っています。株主が比べる時間を置く形です。