神戸製鋼所は2024年9月30日、持分法適用関連会社である関西熱化学株式会社の出資持分を追加取得し、連結子会社化することを決議したと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社神戸製鋼所(5406・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 関西熱化学株式会社(製鉄用コークスの製造販売、ガス・コールタールなどの化成品の製造販売ほか) |
| 所在地 | 兵庫県尼崎市 |
| 手法 | 株式の追加取得(持分法適用関連会社を連結子会社化。議決権所有割合24.0%から75.0%へ。売り手は既存株主の三菱ケミカル株式会社) |
| 対価 | 非開示(開示資料に「株式取得の相手先との守秘義務を踏まえて開示を差し控えさせていただきますが、客観的な基準に基づき算定した合理的な価格として、当社と三菱ケミカル株式会社との間で決定・合意いたしました」と記載) |
| 日程 | 2024年9月30日 取締役会決議・契約締結/2024年10月31日 株式譲渡実行予定 |
開示資料によれば、異動前の所有株式数は2,880,000株(議決権所有割合24.0%)、取得株式数は6,120,000株、異動後は9,000,000株(議決権所有割合75.0%)です。取得価額は相手先との守秘義務を踏まえて開示を差し控えるとしつつ、客観的な基準に基づき算定した合理的な価格として当事者間で決定・合意したと記載されています。日程は、取締役会決議日と契約締結日がいずれも2024年9月30日、株式譲渡実行日が2024年10月31日の予定です(出典:株式会社神戸製鋼所 2024年9月30日公表資料)。
対象会社は1956年8月1日に三菱化成工業株式会社(現三菱ケミカル株式会社)、買い手、旧尼崎製鉄株式会社の3社共同出資により設立されました。資本金は60億円で、取得前の株主構成は三菱ケミカル株式会社51.0%、買い手24.0%、神鋼商事株式会社15.0%、大阪ガス株式会社10.0%です。直近3期の売上高は2022年3月期が97,632百万円、2023年3月期が153,038百万円、2024年3月期が131,519百万円です(出典:株式会社神戸製鋼所 2024年9月30日公表資料)。
対象会社は買い手の製鉄所の隣地にコークス製造工場を持ち、現在も買い手へコークス等を供給しています。買い手はこの関係をさらに強化することを目的に相手先と出資比率の変更に合意したとし、製鉄業に不可欠なコークス及び燃料ガスの製造をグループ内に取り込み、鋼材の一貫生産体制を強化すると説明しています。取得前から買い手は対象会社へ石炭を支給し、対象会社からコークスを購入していたと記載されています。
中小企業の経営者は、どう読むか
この取引は、外部の第三者に売ったのではなく、もともと一緒に会社を持っていた株主のあいだで持分が動いた形です。共同で出資して作った会社では、どこかが抜けたいと言ったとき、まず残りの株主が買い手の候補になります。
買い手はもともと少数の株主で、取引先でもありました。仕入先の持分を増やして自分のグループに入れるという形で、買うのは事業ではなく、供給を確実にする立場です。誰が自社の株を欲しがるかを考えるとき、取引先は近いところにいます。
価額は守秘義務で非開示ですが、開示資料はわざわざ「客観的な基準に基づき算定した合理的な価格」と書いています。金額を出さない代わりに、決め方の筋が通っていることを示す書き方です。非上場の株式では市場価格が無いので、どう算定したかが根拠になります。
買い手は取得前から役員を派遣し、取引もありました。相手の中身を長く見てきた買い手は、調べる期間が短くて済みます。一方で、関係が近いからこそ価格の決め方に客観性が求められるという面もあります。
共同出資の会社では、持分の比率と、実際に誰が事業を動かしているかがずれていることがあります。比率を変える話は、誰が決めるのかを変える話です。定款や株主間の取り決めに、譲渡するときの手続きが書かれていないかを先に確かめることになります。