中堅・中小企業への事業投資を手がけるセレンディップ・ホールディングスは2024年11月5日、子会社の株式会社アペックスが株式会社トライシスを連結子会社化することを公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | セレンディップ・ホールディングス株式会社(子会社の株式会社アペックスが取得)(7318・東証スタンダード) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社トライシス(ゲーム・アプリ・電子玩具を中心としたIT業務の受託開発) |
| 所在地 | 北海道札幌市豊平区 |
| 手法 | 株式取得(子会社が取得し連結子会社化。同社からは孫会社にあたる) |
| 対価 | 非公表(開示資料に取得価額の記載なし) |
| 日程 | 公表 2024年11月5日(みなし取得日は2025年3月期第3四半期会計期間末) |
開示資料によれば、対象会社は1994年9月設立、資本金1,000万円、従業員約20名(2024年6月末)で、売上高は107百万円(2024年6月期)です。取得価額の記載はありません(出典:セレンディップ・ホールディングス株式会社 2024年11月5日公表資料)。
対象会社は1994年にコンシューマーゲームの受託開発会社として設立され、30年以上ゲームプログラミング業界で活動してきたと記載されています。買い手となる子会社は試作開発・デザインサービスを提供し、自動車メーカーを中心に車載の操作画面の開発支援を進めてきたものの、顧客のニーズに応えるための技術者確保が課題だったとしています。
取得の理由として同社は、買い手となる子会社が対象会社のゲームアプリ開発技術を活用できること、対象会社は買い手の自動車を中心とする顧客基盤を活用できることを挙げています。今後の見通しとして、買い手の操作画面開発の売上高を3年以内に現状の1.5倍以上に、対象会社の売上高を3年以内に2倍以上にすることを目指すとしています。
中小企業の経営者は、どう読むか
ゲームの受託開発をしてきた会社が、自動車の操作画面を作る会社に引き継がれます。業種はまったく違いますが、画面を作る技術という点で重なります。自社の技術が「何を作る技術」なのかを抽象化して言えると、思っていなかった業界が買い手候補に入ります。
買い手が抱えていた課題は、仕事はあるのに技術者が足りないことでした。人を採るより、人がいる会社を引き継ぐほうが早いという判断です。技術者を抱えている会社は、規模が小さくても引き合いがあります。
売上は一億円ほど、従業員は二十名ほどです。それでも上場企業のグループに入り、しかも売上を数年で倍にする目標まで開示されています。買い手が伸ばす前提を持っているなら、小さいことは不利になりません。
買い手は上場企業本体ではなく、その子会社です。売り手から見れば契約の相手方は子会社になります。誰と契約し、誰が親会社として後ろにいるのかは、最初に確認しておく項目です。