メディカルネットは2025年3月27日、取締役会において、連結子会社である株式会社ミルテルについて自社が保有する株式のすべてを、同社の代表取締役である個人へ譲渡することを決議したと公表しました。これに伴い対象会社は連結対象子会社から除外されます。

開示された事実

譲受(買い手)個人(譲渡先は対象会社の代表取締役)
譲渡対象株式会社ミルテル(メディカルネットの連結子会社)(受託臨床検査事業)
所在地広島県広島市南区
手法株式譲渡(上場企業が保有する子会社株式の全部を、その子会社の代表取締役である個人へ譲渡)
対価非公表(開示資料に「株主が個人であり株式譲渡契約書における守秘義務をふまえ非公表」「公正なプロセスを経て交渉により決定」と記載)
日程取締役会決議・契約締結 2025年3月27日/株式譲渡実行日 2025年3月28日(予定)

開示資料によれば、譲渡株式数は738,133株で、譲渡前の議決権所有割合は82.5%、譲渡後は0となります。譲渡価額は株主が個人であり株式譲渡契約書の守秘義務をふまえて非公表としつつ、公正なプロセスを経て相手先との交渉により決定したとしています。対象会社の純資産は直近で141,522千円の負債超過、売上高は25,880千円(決算期変更により5か月間)、営業損失は66,125千円です(出典:株式会社メディカルネット 2025年3月27日公表資料)。

同社は2024年1月に、未病予防分野の技術を持ち受託臨床検査サービスを提供する対象会社を連結子会社化していました(出典:株式会社メディカルネット 2025年3月27日公表資料)。

譲渡の理由として同社は、新規事業の創出と事業領域の多角化を早期に実現する目的で子会社化したものの、当初の事業計画からは売上の拡大や収益化のスピードに乖離があり、想定していた歯科領域での取り組みなどのシナジーを得ることが困難な状況を踏まえ、経営資源の選択と集中を行って企業価値の向上を図るため譲渡することとしたとしています。

出典: 株式会社メディカルネット(TDnet適時開示。TDnetでの公開期間が終了しているため、URLは株探が保存する原本PDF)「連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」(2025年03月27日公表)

中小企業の経営者は、どう読むか

買収から一年あまりで、元の代表者へ株式が戻っています。買った側が「想定したシナジーを得ることが困難」と自ら書いており、うまく噛み合わなかったことを公表しています。買収がいつも思惑どおりに進むわけではないという、率直な記録です。

譲り受けたのは、その会社の代表取締役である個人でした。事業を続けたい経営者が、親会社から株式を買い戻す形です。上場企業の傘下に入ったあとに独立へ戻る道もあるということで、売る側が知っておいてよい選択肢です。

買収の目的が「新規事業の創出と多角化」と書かれています。既存の事業との接点が薄い分野へ出るための買収は、期待したつながりが生まれるかどうかに結果が左右されます。売る側としては、買い手が自社をどう使うつもりなのかを最初に確かめておくほうが、あとの見通しが立ちます。

対象会社は負債超過で、売上も大きく落ちています。この状態でも譲渡先が見つかり、事業は続きます。数字が悪いこと自体が、事業の終わりを意味するわけではありません。

この業種のM&A・事業承継のページを見る

本記事は、各社が公表した適時開示資料などの一次情報を当社が要約したものです。当社の成約実績ではなく、当社が関与した案件でもありません。記載の事実は公表日時点のもので、その後変更されることがあります。詳細は出典の資料をご確認ください。