三井松島ホールディングスは2024年1月9日、連結子会社の三生電子株式会社が米国に新たに設立した Sansei America, Inc. を通じて Saunders & Associates, LLC の持分を取得し、同社および傘下のグループ会社を子会社化することを公表しました。開示資料は、本件が適時開示基準に該当しないものの、市場・投資家に有用な情報と判断して開示することとしたと記載しています。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 三井松島ホールディングス株式会社(1518・) |
|---|---|
| 譲渡(売り手) | S&A Enterprise, LLC |
| 譲渡対象 | Saunders & Associates, LLC(水晶デバイスの計測装置の製造・販売) |
| 所在地 | 米国アリゾナ州フェニックス |
| 手法 | 持分譲渡(連結子会社の三生電子が米国に新設した Sansei America, Inc. を通じて対象会社の持分50.1%を取得し、対象会社とその傘下のグループ会社を子会社化する) |
| 対価 | 取得価格は相手先の要請により非開示。相手先は、取得実行日から3ヵ月経過後5年が経過するまでの間、Sansei America に対し、本件取得後に継続保有する持分を買い取ることを請求する権利(プットオプション)を有すると記載 |
| 日程 | 2024年1月9日 取締役会決議日・契約締結日/2024年1月31日(予定) 持分譲渡実行日 |
異動前の所有持分は0%、取得持分は50.1%、異動後の所有持分は50.1%です。取得価格は相手先の要請により非開示とされています。相手先は、本件取得実行日から3ヵ月経過後5年が経過するまでの間、Sansei America に対し、本件取得後に継続保有する持分を買い取ることを請求する権利(プットオプション)を有すると記載されています(出典:三井松島ホールディングス株式会社 2024年1月9日公表資料)
対象会社は1973年設立、所在地は米国アリゾナ州フェニックス、事業内容は水晶デバイスの計測装置の製造・販売で、主要株主は S&A Enterprise, LLC が100%です。買い手との資本関係・人的関係・取引関係は、いずれも記載すべきものはないと記載されています(出典:三井松島ホールディングス株式会社 2024年1月9日公表資料)
対象会社の連結の純資産は2020年12月期8,401千米ドル、2021年12月期11,573千米ドル、2022年12月期9,377千米ドル、総資産は同じ順に11,025千米ドル、14,411千米ドル、12,940千米ドル、売上高は12,554千米ドル、22,989千米ドル、15,002千米ドルと記載されています(出典:三井松島ホールディングス株式会社 2024年1月9日公表資料)
開示資料は、買い手グループが2018年11月に策定した中期経営計画に沿って非石炭生産事業へ投資していく方針を掲げており、本件もその一環であると記載しています。2020年4月に買い手グループに加わった三生電子は、水晶デバイスの生産設備・計測装置の製造・販売を行っていると記載されています。
日程は、取締役会決議日と契約締結日が2024年1月9日、持分譲渡実行日が2024年1月31日(予定)です。本件に伴う2024年3月期の連結業績への影響は軽微と記載されています。
出典: 三井松島ホールディングス株式会社「当社連結子会社の三生電子株式会社によるSaunders&Associates, LLCの持分取得(子会社化)に関するお知らせ」(2024年01月09日公表)
中小企業の経営者は、どう読むか
全部ではなく、過半だけを取得する形です。売り手は残りを持ったまま会社に残ります。
残った持分について、売り手が「買い取ってほしい」と言える権利が付いています。期間も区切られています。
一部だけを譲る形にすると、残りをいつ、どういう値段で動かすのかが必ず論点になります。あとで決めるのではなく、最初に決めておく話です。
この種の権利は、売り手の側の出口を確保するために置かれます。中小企業の一部譲渡でも、同じ考え方で株主間の取り決めを作ります。
海外の会社を買うため、買い手は現地に会社を新しく作って、その下で持分を持つ形にしています。誰が買うのかという器の設計です。
買う主体が親会社ではなく、グループの子会社です。買ったあとに誰が面倒を見るのかという話と、そのまま重なります。
対象会社の売上は、三期を並べると上下しています。一期だけを見て判断しない理由がここにあります。
適時開示の基準には当たらないが有用だから出す、という開示です。出す義務の有無と、伝える価値は別だという判断です。