東部ネットワークは2024年3月1日、テーエス運輸株式会社の株式を取得して子会社化すると公表しました。取得するのは90,000株で、取得後の議決権所有割合は100%となります。取得前の所有株式数は0株です。取得の相手先は日本エア・リキード合同会社で、対象会社の株式を100%保有しています。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 東部ネットワーク株式会社(9036・東証スタンダード) |
|---|---|
| 譲渡(売り手) | 日本エア・リキード合同会社(対象会社の株式100%を保有。産業・医療用ガスおよびガス関連機器の製造販売等) |
| 譲渡対象 | テーエス運輸株式会社(液化酸素、液化窒素、液化アルゴン、その他高圧ガスの輸送(特定貨物自動車運送事業)) |
| 所在地 | 兵庫県尼崎市 |
| 手法 | 株式譲渡(90,000株・議決権所有割合100%を取得して子会社化)。株式譲渡契約に基づき、実行日までの間に売主により対象会社の債務超過状態が解消される予定 |
| 対価 | 取得価額は、相手先との株式譲渡契約上の秘密保持義務に係る情報であるため開示されていない。第三者機関によるデュー・ディリジェンスの実施と株式価値算定を行い、価格の妥当性を検証するための手続を踏まえて決定したと記載 |
| 日程 | 2024年3月1日 臨時取締役会決議・株式譲渡契約締結/2024年4月8日 株式譲渡実行(予定) |
対象会社は、所在地が兵庫県尼崎市南塚口町四丁目3番23号、主たる事業が液化酸素、液化窒素、液化アルゴン、その他高圧ガスの輸送(特定貨物自動車運送事業)、資本金が45百万円、設立年月日が1968年4月24日です(出典:東部ネットワーク株式会社 2024年3月1日公表資料)
対象会社の財政状態は、2023年12月期末の純資産が▲443百万円、総資産が318百万円です。純資産は2021年12月期末が▲461百万円、2022年12月期末が▲453百万円で、3期とも負の値です。経営成績は2023年12月期が売上高669百万円・営業利益33.6百万円・当期純利益20.4百万円で、2021年12月期の売上高632百万円・営業利益5.8百万円から増加しています(出典:東部ネットワーク株式会社 2024年3月1日公表資料)
開示資料は、同日締結した株式譲渡契約に基づき、株式譲渡実行日までの間に売主である日本エア・リキードにより、対象会社の債務超過状態は解消される予定であると記載しています。
買い手と対象会社の取引関係について、買い手の連結子会社である魚津運輸株式会社を通じて産業・医療用ガスの運送業務を受託していると記載されています。資本関係・人的関係については特筆すべき事項はないとされています。
開示資料は取得の理由について、買い手が2023年11月7日に公表した長期ビジョンで資本業務提携やM&Aを機動的に実行する方針を掲げていること、注力する3つの事業セグメントのうち自社輸送では高付加価値な産業用資材や新エネルギーの輸送事業強化を目指し、2022年に東北三光(セメント輸送)と魚津運輸(産業用ガス、水素輸送)を子会社化してきたことを挙げています。対象会社は荷主である日本エア・リキードの主力事業所に営業拠点を有していると記載されています。
取得価額は、相手先との株式譲渡契約上の秘密保持義務に係る情報であるため開示されていません。日程は、2024年3月1日が臨時取締役会決議日と株式譲渡契約締結日、2024年4月8日が株式譲渡実行予定日です。
出典: 東部ネットワーク株式会社「テーエス運輸株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」(2024年03月01日公表)
中小企業の経営者は、どう読むか
対象会社は三期続けて純資産が負でした。帳簿の上では、資産より負債が多い状態です。
それでも売上は伸びており、利益も出ています。赤字で債務超過になったのではありません。
開示は、実行の日までに売主がこの状態を解消すると書いています。親会社が貸していた分の処理です。
中小企業でも同じ形があります。社長からの借入が積み上がって、帳簿が債務超過に見える会社です。
事業は回っているのに、数字だけが悪く見えます。買い手は最初の資料でそこを見ます。
だから、売る前に貸付の整理をします。放棄するのか、資本に振り替えるのか、返すのか。
どれを選ぶかで税金の扱いが変わります。整理の方法は税理士と先に決めておきます。
値段は秘密保持の約束で出ていません。帳簿が負でも、事業に値段が付くことはあります。