中堅・中小企業への事業投資を手がけるセレンディップ・ホールディングスは2024年10月23日、新設するセレンディップSPC1号株式会社を通じてエクセル・グループの株式を取得し、子会社化することを決議したと公表しました。

開示された事実

譲受(買い手)セレンディップ・ホールディングス株式会社(新設するセレンディップSPC1号株式会社を通じて取得)(7318・東証スタンダード)
譲渡対象エクセル・グループ(エクセルホールディングス株式会社、エクセル株式会社、株式会社エクセル製作所ほか国内5社・海外4社)(3次元ブロー成型による自動車部品ダクト等の樹脂成型品の開発・製造)
所在地東京都中央区(持株会社)、千葉県松戸市、群馬県桐生市
手法株式取得。新設する特別目的会社(買い手55%・商工中金キャピタル45%の出資予定)を通じ、個人株主からグループの株式を取得して100%を現金対価で取得
対価非開示(売り手からの要請により非開示。第三者機関によるデューデリジェンスを実施のうえ株式価値算定を行い、当事者間で合意した金額を現金対価で支払うと記載)
日程取締役会決議・契約締結 2024年10月23日/株式譲渡実行 2024年12月4日(予定)/みなし取得日 2024年12月末(予定)

対象グループは国内5社及び海外4社の計9社で構成され、連結売上高111億円、連結営業利益8億円、総資産134億円、純資産104億円と、買い手の設立後で最大のM&Aになると記載されています。対象グループは非上場で連結決算を行っていないため、この数値は各社直近年度の決算数値から主要な内部取引を消去した簡易的な連結数値(参考値)であるとの注記が付されています(出典:セレンディップ・ホールディングス株式会社 2024年10月23日公表資料)。

対象グループの中核会社は1970年2月設立で、純資産3,827百万円、売上高6,432百万円(いずれも2023年7月期)、製造会社は1971年4月設立で純資産1,463百万円、売上高4,657百万円(同期)と記載されています。タイの製造会社は2003年2月設立で、売上高899百万Baht(2023年12月期)です(出典:セレンディップ・ホールディングス株式会社 2024年10月23日公表資料)。

取得対価は、売り手からの要請により非開示とされています。開示資料は、独立した第三者機関によるデューデリジェンスを実施したうえで株式価値算定を行い、当事者間で合意した金額で100%の株式を現金対価で取得すると記載しています(出典:セレンディップ・ホールディングス株式会社 2024年10月23日公表資料)。売り手は個人で、氏名・住所は非開示とされています。

取得は新設する特別目的会社を通じて行われ、株式取得日までに買い手と商工中金キャピタルによる増資を計画し、出資比率は買い手55%、商工中金キャピタル45%となる見込みとしています(出典:セレンディップ・ホールディングス株式会社 2024年10月23日公表資料)。同社がファイナンシャル・スポンサーとして出資参加するのは初めてと記載されています。今後の見通しとして、負ののれんが発生し特別利益として計上する見込みであるものの、その他の影響を含め精査中としています。

出典: セレンディップ・ホールディングス株式会社(TDnet適時開示。TDnetでの公開期間が終了しているため、URLは株探が保存する原本PDF)「エクセル・グループの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」(2024年10月23日公表)

中小企業の経営者は、どう読むか

取得価額が開示されていません。しかも理由が明記されています。売り手からの要請です。上場企業が買い手であっても、売り手が望めば金額を出さない形は取れます。金額を知られたくないという希望は、実務では珍しくない相談です。

売り手は個人で、氏名も住所も非開示です。国内と海外にまたがる九社のグループを、個人のオーナーが持っていたという構図です。会社の数や海外拠点の有無は、引き継ぐ相手を探せるかどうかを決める条件にはなりません。

対象グループは連結決算を行っていません。買い手は各社の決算を集め、内部取引を消して参考値を作っています。グループで事業をしていても、全体でいくらなのかを示す資料が社内に無いという状態は、中小企業ではよくあります。譲渡を考えるなら、まずここを整えるだけで相手の理解が早くなります。

買い手は自社だけで買っていません。金融機関系の投資会社と組み、共同出資の会社を作って取得しています。買い手の側にも資金の都合があり、一社で抱えきれない規模なら誰かと組みます。売り手から見れば、相手が誰と組んでいて、実際に株主になるのはどの会社なのかを確かめる場面です。

取得価額は開示されていませんが、負ののれんが発生する見込みだと書かれています。負ののれんは、引き受けた純資産よりも支払った金額が少ないときに生じるものです。金額そのものを出さずに、会計の言葉から性質だけが伝わる形になっています。開示資料は、書いていないことも含めて読むものだという例です。

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本記事は、各社が公表した適時開示資料などの一次情報を当社が要約したものです。当社の成約実績ではなく、当社が関与した案件でもありません。記載の事実は公表日時点のもので、その後変更されることがあります。詳細は出典の資料をご確認ください。