病院リネンサプライや福祉用具の貸与を手がけるトーカイは2024年11月18日、2025年1月1日を効力発生日として、佐藤株式会社の福祉用具貸与・販売事業等を会社分割により承継することを決議したと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社トーカイ(9729・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 佐藤株式会社の福祉用具貸与・販売事業等(福祉用具の貸与および販売) |
| 所在地 | 福岡市博多区 |
| 手法 | 会社分割(簡易吸収分割。会社法第796条第2項に該当するため株主総会の承認を経ずに行う) |
| 対価 | 70百万円の金銭を分割会社に交付(DCF法による算定の想定レンジは45百万円〜92百万円で、協議のうえ70百万円に決定) |
| 日程 | 吸収分割契約承認役員会決議日 2024年11月16日/吸収分割契約締結日 2024年11月19日(予定)/吸収分割の効力発生日 2025年1月1日(予定) |
開示資料によれば、本件は会社法第796条第2項に定める簡易吸収分割に該当するため、株主総会の承認の手続きを経ずに行う予定です。対価として同社は分割会社に70百万円の金銭を交付します。分割会社は1959年7月設立、資本金10百万円、発行済株式総数1,000株です(出典:株式会社トーカイ 2024年11月18日公表資料)。
対価の算定について同社は、承継する事業を継続して営むことから、その事業によって得られる見込みのキャッシュフローに基づき価値を評価するDCF法を採用したこと、分割会社から提示された事業計画に自社が修正を加えた事業予測を基礎とし、事業エリアが同一であることによる効率性の向上などの相乗効果も加味したこと、算出された対価の想定レンジは45百万円〜92百万円で、協議のうえ70百万円に決定したことを記載しています(出典:株式会社トーカイ 2024年11月18日公表資料)。
承継の目的として同社は、福祉用具の貸与・販売を1996年から手がけ全国に多数の事業拠点を展開していること、九州地方でメンテナンスセンターと営業拠点を相次いで開設して体制を強化していること、分割会社が福岡県内で同様の事業を展開し地域に根差したサービスで顧客基盤を築いていることから、九州地方での顧客基盤の拡大とシェア向上を図ることを挙げています。
中小企業の経営者は、どう読むか
価格の決め方が、算定の幅まで含めて開示されています。将来の現金の流れをもとに価値を測る手法で幅を出し、そのうえで相手と協議して額を決めた、という順序です。価格は計算で一点に決まるものではなく、幅の中から交渉で決まります。
その幅は、下と上で二倍近く違います。同じ事業でも、置く前提が変われば評価はこれだけ動きます。売る側が自分の事業の価値を一つの数字だと思い込むと、提示された額に納得できなくなります。幅があることを先に知っておくほうが、話が前に進みます。
算定の前提が「分割会社から提示された事業計画に、買い手が修正を加えたもの」だと明記されています。売り手が出した計画は、そのままでは使われません。根拠の薄い見通しを出すと、修正されて評価が下がります。数字は裏づけとともに出すことになります。
会社ではなく事業を、しかも簡易吸収分割という形で移しています。買い手にとって規模が小さいため株主総会の承認が不要になる仕組みで、手続きが軽くなります。渡す側から見れば、相手の規模によって段取りの重さが変わるということです。
買い手が評価したのは、自社が拠点を増やしている地域で、相手が既に築いていた顧客基盤でした。同じ地域で同じ事業をしている会社どうしが、競うのではなく合わさっています。