溶接機器関連事業と平面研磨装置関連事業を手がけるOBARA GROUPは2024年11月22日、株式会社NSSK-QQの株式2,000,000株を取得し、持分比率を100%とすることを公表しました。対象会社は事業会社と国内外の子会社を傘下に持つ持株会社です。
開示された事実
| 譲受(買い手) | OBARA GROUP株式会社(6877・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社NSSK-QQ(子会社の株式会社日本エナジーコンポーネンツほか計3社)(電力会社等向け配電部品、スパイラル部品等の製造販売) |
| 所在地 | 東京都港区(持株会社)、茨城県石岡市(事業会社) |
| 手法 | 株式取得。投資ファンドが出資する持株会社の株式2,000,000株(議決権所有割合100%)を取得 |
| 対価 | 普通株式7,186百万円、アドバイザリー費用等(概算額)210百万円、合計(概算額)7,396百万円 |
| 日程 | 株式取得承認決議取締役会・株式譲渡契約締結 2024年11月22日/株式取得実行予定日 2024年12月10日 |
取得価額は普通株式7,186百万円、アドバイザリー費用等の概算額210百万円で、合計の概算額は7,396百万円です(出典:OBARA GROUP株式会社 2024年11月22日公表資料)。
対象会社は2020年12月設立、資本金10百万円で、事業内容は建設業・製造業等の事業を営む会社に対する投資事業です。公表時点の大株主は投資事業組合等3者で、持株比率は61.8%、20.2%、18.0%です(出典:OBARA GROUP株式会社 2024年11月22日公表資料)。開示資料は、対象会社が事業会社の株式取得に向けて設立された特別目的会社であるため連結経営指標を作成しておらず、記載している数値は子会社である事業会社に係る連結経営成績であると注記しています。
その事業会社は1949年12月に前身の会社として設立され、電力会社等向け配電部品、スパイラル部品等の製造販売を行っています。純資産は1,227百万円(2022年3月期)、1,504百万円(2023年3月期)、1,873百万円(2024年3月期)、売上高は4,980百万円、5,125百万円、5,927百万円です(出典:OBARA GROUP株式会社 2024年11月22日公表資料)。
取得の理由として買い手は、事業会社が送配電部品事業において電力会社等に対する長年の納入実績と高い顧客内シェアを保持しており、当該事業領域では設備更新及び増強投資が見込まれると説明しています。対象会社を子会社化することで送配電部品事業の領域に参画し、事業基盤の強化と事業ポートフォリオの拡充を図るとしています。株式取得実行予定日は2024年12月10日です。開示資料は、相手先都合により出資の総額、出資者・出資比率、国内代理人の概要を省略又は非公表としていると記載しています。
中小企業の経営者は、どう読むか
売り手は投資ファンドです。しかも買われているのは、事業を営む会社そのものではなく、その会社を持つために作られた持株会社です。ファンドが会社を買うときは、こうした器を作ることがよくあります。次の買い手は、その器ごと引き継ぎます。
その器には、実績がありません。開示資料も「特別目的会社であるため連結経営指標を作成していない」と書き、代わりに下の事業会社の数字を載せています。会社の名前や設立年だけを見ても、中身は分からないということです。どの会社が事業をしているのかを先に確かめます。
事業会社の設立は戦後すぐで、七十年以上続いています。それがファンドの傘下に入り、そこから事業会社へ移りました。長く続いた会社が、一度で最後の引き継ぎ先にたどり着くとは限りません。
買い手が挙げている理由は、電力会社への長年の納入実績と高い顧客内シェアです。売上の規模ではありません。誰に、どれだけ深く入り込んでいるかが評価されています。自社の取引先との関係の深さは、決算書には載らない資産です。
取得価額とは別に、アドバイザリー費用等の概算額が並んで開示されています。会社を買うにも売るにも、代金以外に外部への費用がかかります。手元にいくら残るかを見るなら、そこまで含めて数える必要があります。