運送業などの東部ネットワークは2026年9月29日、株式会社福興商会が自動車整備事業以外の事業等を切り離す会社分割(新設分割)を実施することを前提とし、分割後に自動車整備事業が残留した同社の全株式を既存株主から取得する株式譲渡契約の締結と子会社化を決議したと公表しました。

開示された事実

譲受(買い手)東部ネットワーク株式会社(9036・東証スタンダード市場)
譲渡(売り手)株式会社福興商会の株主(個人4名・相手先の要望により氏名と持株比率は非開示)
譲渡対象株式会社福興商会(自動車整備事業)
所在地東京都墨田区
手法株式取得(会社分割を伴う。対象会社が自動車整備事業以外の事業等を切り離す新設分割を実施することを前提に、分割後に自動車整備事業が残留した対象会社の全株式400,000株・議決権所有割合100%を既存株主から取得)
対価1,430百万円
日程2026年9月29日 取締役会決議・株式譲渡契約締結/2026年12月1日 株式譲渡実行予定

開示資料によれば、異動前の所有株式数は0株、取得株式数は400,000株、異動後は400,000株(議決権所有割合100%)です。取得価額は1,430百万円です。日程は、取締役会決議と株式譲渡契約締結が2026年9月29日、株式譲渡実行予定日が2026年12月1日です(出典:東部ネットワーク株式会社 2026年9月29日公表資料)。

対象会社は1950年12月設立、資本金20百万円で、株主は個人4名が100%を保有しています(相手先の要望により非開示)。直近3期の売上高は2023年12月期が381百万円、2024年12月期が396百万円、2025年12月期が423百万円、純資産は同順に762百万円、802百万円、840百万円です。開示資料には、これらは会社分割前の数値であり、2025年12月期実績を基にした概算で会社分割後の純資産は394百万円、総資産は422百万円、売上高は380百万円になる見込みと記載されています(出典:東部ネットワーク株式会社 2026年9月29日公表資料)。

買い手は、対象会社が70年以上の歴史を持つ自動車整備会社であり、東京都江東区東雲に整備工場を構え、長年にわたる取引先との信頼関係を背景に安定した受注基盤を構築していること、指定自動車整備事業の認証を受ける指定工場として大型車を中心とした車検整備に対応できる強みを有していることを挙げています。両社の車両整備ノウハウの共有や経営資源の最適活用により生産性の向上を図るとしています。

出典: 東部ネットワーク株式会社(TDnet 適時開示。東京証券取引所 適時開示情報閲覧サービス)「会社分割を伴う株式会社福興商会の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」(2026年09月29日公表)

中小企業の経営者は、どう読むか

買う前に、売り手の側で会社を分けています。買い手が欲しいのは整備事業だけで、それ以外は残す形です。会社の中に買い手の関心外の事業や資産があるとき、先に切り離してから譲るという段取りがあります。

開示資料は、分割前の数字と分割後の見込みの数字を並べて書いています。分けたあとに残るのがどれだけかを示さなければ、買い手が何を買ったのか読み手に伝わらないためです。自社を譲るときも、切り離した後の姿で数字を作れるかが問われます。

株主は個人が四名で、氏名も持株比率も本人たちの要望で伏せられています。売り手が個人のとき、名前が出ないようにしてほしいという希望は珍しくありません。それが通るかどうかは、取引の規模と買い手の開示義務によって決まります。

買い手が挙げた強みは、設備そのものより「その認証を持っていること」と「長く続く取引先」でした。整備の仕事は資格と認証がないと受けられない部分があるので、それを持っていること自体が値打ちになります。許認可が事業の前提になっている業種では、承継できるかどうかを早めに確かめることになります。

契約から実行まで二か月ほど空いています。あいだに会社分割の手続きが入るためです。分けてから渡す形は、そのまま渡すより工程が増え、期間も長くなります。

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本記事は、各社が公表した適時開示資料などの一次情報を当社が要約したものです。当社の成約実績ではなく、当社が関与した案件でもありません。記載の事実は公表日時点のもので、その後変更されることがあります。詳細は出典の資料をご確認ください。