アパレル関連資材や自動車内装部品を手がけるモリトは2024年11月19日、株式会社Ms.IDの普通株式100株を取得し、同社とその子会社である株式会社シーティー・アソシエイツを連結子会社とすることを決議したと公表しました。対象会社の株式は公表時点で投資事業有限責任組合が100%を保有しています。

開示された事実

譲受(買い手)モリト株式会社(9837・東証プライム)
譲渡対象株式会社Ms.ID(子会社の株式会社シーティー・アソシエイツを含む)(服飾雑貨の製造・輸入・販売(EC及び実店舗)、国内外向けニット製品の企画・製造・販売)
所在地福岡県福岡市博多区
手法株式取得。投資事業有限責任組合から普通株式100株(議決権所有割合100%)を取得し、対象会社とその子会社を連結子会社化
対価非開示(守秘義務履行のため非開示。外部専門家等における適切なデューデリジェンスを実施し双方協議のうえ妥当な価格を算出して決定、取得価額は軽微基準の範囲内と記載)
日程取締役会決議 2024年11月19日/契約締結 2024年11月19日(予定)/株式譲渡実行 2024年12月25日(予定)

対象会社は2013年2月1日設立、資本金5百万円で、服飾雑貨の製造・輸入・販売をECと実店舗で行っています。売上高は2,921百万円(2022年8月期)、3,352百万円(2023年8月期)、3,400百万円(2024年8月期)、営業利益は430百万円、470百万円、461百万円です(出典:モリト株式会社 2024年11月19日公表資料)。

子会社は2001年5月1日設立、資本金10百万円で、国内外向けのニット製品の企画・製造・販売を行っています。売上高は439百万円、496百万円、493百万円、営業利益は38百万円、41百万円、▲19百万円と記載されています(出典:モリト株式会社 2024年11月19日公表資料)。

取得価額は、守秘義務履行のため開示を控えるとされています。開示資料は、取得価額の検討に際して外部専門家等における適切なデューデリジェンスを実施し、双方協議のうえ妥当な価格を算出して決定したとしたうえで、取得価額は軽微基準の範囲内であると記載しています(出典:モリト株式会社 2024年11月19日公表資料)。

取得の理由として買い手は、中期経営計画の投資戦略でM&Aを重点施策の一つと位置付け、ニッチトップ企業であること、自社グループ事業とのシナジーが見込めること、事業面で安定性が見込めることを基本要件として検討してきたと説明しています。対象会社は「ECファッション」「アクセサリー」「海外展開高級ニット」「ECプラットフォーム事業」の4つの事業の柱を持つとしています。株式譲渡実行日は2024年12月25日を予定しています。

出典: モリト株式会社(TDnet適時開示。TDnetでの公開期間が終了しているため、URLは株探が保存する原本PDF)「株式会社Ms.IDの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」(2024年11月19日公表)

中小企業の経営者は、どう読むか

売り手は投資ファンドです。ファンドは一定の期間で株式を手放す前提で投資しているので、いずれ次の株主を探します。この案件では、その次の株主が同じ業界の事業会社でした。ファンドに渡した会社が、その先どうなるのかという問いへの実例の一つです。

買い手は、探す条件を先に決めていました。その分野で強い地位にあること、自社との相乗効果が見込めること、事業が安定していることの三つです。買い手には要件があります。自社がその要件のどれに当てはまるのかを言えると、話が早く進みます。

取得価額は非開示ですが、上場企業の開示の基準に照らして「軽微基準の範囲内」だと書かれています。金額を出さなくても、どのくらいの規模かは制度の言葉から伝わります。開示資料は、書いていないことも含めて読むものです。

子会社のほうは直近期に営業損失を出しています。それでも一緒に引き継がれています。グループの中に赤字の会社があることは、譲渡ができない理由にはなりません。全体として何を評価されているかが決まれば、話は進みます。

対象会社の純資産は、直近期に前の期より減っています。数字が動いた理由は開示資料に書かれていません。自社の数字に前年と大きく違う動きがあるなら、その理由を自分の言葉で説明できるようにしておくほうがよいという話です。買い手は必ず聞きます。

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本記事は、各社が公表した適時開示資料などの一次情報を当社が要約したものです。当社の成約実績ではなく、当社が関与した案件でもありません。記載の事実は公表日時点のもので、その後変更されることがあります。詳細は出典の資料をご確認ください。