中小食品企業の支援を手がけるヨシムラ・フード・ホールディングスは2024年12月19日、株式会社富強食品の発行済株式100%を譲り受けることを公表しました。取締役会決議、株式譲渡契約締結、株式譲渡実行はいずれも同日です(出典:株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス 2024年12月19日公表資料)。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス(2884・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社富強食品(中華料理用材料の製造販売(春巻きの皮を主力商品とする)) |
| 所在地 | 千葉県野田市 |
| 手法 | 株式取得。対象会社の発行済株式100%を譲り受ける。対象会社は、前身の有限会社が食品製造事業を移管するために2024年10月に設立された会社 |
| 対価 | 開示資料に取得価額の記載なし |
| 日程 | 取締役会決議・株式譲渡契約締結・株式譲渡実行 いずれも2024年12月19日 |
開示資料によれば、対象会社は2024年10月設立で、前身となる有限会社が食品製造事業を移管するために設立された会社です。前身の有限会社は1958年創業、1962年設立と記載されています。従業員数は55名(2024年8月末時点)、本社と工場は千葉県野田市にあります(出典:株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス 2024年12月19日公表資料)。
対象会社は春巻きの皮を主力商品とし、売上高全体の約6割を占め、餃子の皮や北京ダックの皮などを含めた皮製品の売上は約8割弱と記載されています(出典:株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス 2024年12月19日公表資料)。譲渡対象事業の売上高は380百万円、429百万円、510百万円と推移し、2024年12月期は売上高・営業利益ともに前期並で着地見込としています。
買い手は対象会社の強みとして、創業当初から受け継いできたレシピと製造技術により品質の高さに定評があり多くの固定客を持つこと、数多くの著名な高級中華料理店やホテルに導入され各取引先と長年にわたり取引が継続していること、手間のかかる工程を経ているため飲食店は自社で製造せず外部から購入する傾向にあることを挙げています。
取得の理由として買い手は、確立されたブランド力とニッチな市場における高いシェア、それらがもたらす事業基盤と高い利益率から今後も安定的な業績が期待できるためとしています。対象会社の高級中華料理店やホテル向けの販路に自社グループ製品を販売し、自社の国内及び海外の販売ネットワークで対象会社の製品を拡販するとしています。
中小企業の経営者は、どう読むか
渡す会社は、譲渡のために新しく作られています。前身は有限会社で、そこから食品製造事業だけを新会社へ移し、その新会社の株式を渡す形です。会社の中に事業以外のもの(不動産や別の事業、過去の経緯)があるとき、この形で「渡す部分だけ」を切り出せます。
買い手が挙げている強みは、規模ではありません。長年受け継いだレシピと製造技術、著名な料理店やホテルとの継続した取引、そして「手間がかかるから他社は自分で作らない」という事業の性質です。誰にでもできる仕事ではないことが、そのまま価値になっています。
とりわけ効くのは、外部から買う傾向があるという点です。取引先が自分でやろうとしない仕事は、代わりが見つかりにくい。自社の仕事が「なぜ他社に任されているのか」を言えると、評価の説明ができます。
決議・契約・実行が同じ日です。株主が限られていて、必要な手続が社内で済む場合、この速さで動けます。日程を左右するのは金額の大小ではなく、株主の数と必要な手続の有無です。
売上は五億円ほど、従業員は五十五名です。創業から六十年以上続いてきました。急成長している会社ではありません。それでも上場企業が全株式を取得しています。続いていること自体が評価の対象です。